贈与にも税金がかかることをご存知でしたか。
一定額以上の贈与をしている人は、贈与税支払いの対象となっているかもしれません。
贈与税は一定期間を経過すると、時効にかかり以降支払う必要がなくなるのですが、万一支払い漏れが発覚した場合には、追加のペナルティを支払うことになるかもしれません。
今回は、贈与税の時効に関して、何年で時効にかかることになるのか、並びにペナルティがあるとしたらどのようなものがあるかについて中心にまとめていきます。
贈与税を支払う予定の方は、是非ご覧頂き、納税の知識を深めて頂ければ幸いです。
1. 贈与税の時効はどのように考えれば良いか?
贈与税の時効はどのように成立するのでしょうか。
時効の成立の仕方についての流れと仕組みについて詳しくまとめていきます。
1-1. 贈与税の期間はいつか?
贈与税の支払いは、贈与があった時から6年間経過すると時効にかかります。
つまり、贈与の6年後には贈与税を支払う必要がなくなるということです。
時効にかかると、贈与税を支払うという義務が消滅するわけです。
ただし、この6年間という期間ですが、贈与税を支払う者が、わざと贈与税を支払うことを隠していた場合には、1年期間が追加されて、7年間経過しないと時効にかからないことになりますので注意しなければいけません。
1-2. 時効はいつから数えるか
それでは、この時効の期間のスタートはいつからと考えれば良いのでしょうか。
時効の期間を数え始める起算点は、3月16日ということになっています。
毎年3月15日が贈与税の申告期限となっていますので、新しい申告期間の初日から時効を数え始めるということになります。
例えば、平成30年8月30日に贈与を行った場合には、平成30年8月30日から数え始めるのではなく、平成31年3月16日から数え始めるということになります。
1-3. 現実には時効にかかることは難しい
時効については、民法という法律にも規定があるので、少し知識のある方もいらっしゃるかもしれません。
税金の支払いには、時効の中断効力により、現実的には時効にかかるケースはほとんどないと考えられます。
税金を滞納してしまうと、税金の督促状のようなものが届くことになりますので、これにより途中まで進行していた時効は最初から計算されることになってしまいます。
例えば、平成30年8月30日に贈与を行った場合、3年後の平成33年に税金の督促状が届くと、平成33年3月16日から改めて、時効の期間を数え始めなければいけないということです。
つまり、税金の時効成立は極めて難しいということですね。
2. 贈与税の時効が問題とならないパターン
一方で、そもそも贈与税の時効が問題とならないことがあります。
具体的には、以下の場合に当てはまる事例です。
1.贈与を受けた者が贈与を受けたと認識していないとき
2.贈与を受けた者がもらい受けた財産を自由に処分することが出来ないとき
上記のような場合、「贈与」という行為が法律上発生していないことになり、財産は贈与を受けたものではなく、依然として贈与をした者が所有していることになります。
贈与税の納付に関してよくある事例ですが、相続対策として家族で非課税の限度において、子供・孫等に無断で贈与を行った場合には、贈与を受けた者は何も知らされずに財産が渡っているわけですが、この場合贈与が成立していないことになり、財産は贈与をしようとした者の財産と考えられてしまいます。
贈与をする場合は、贈与をする者と受ける者との間で贈与の認識を一致させておかなければいけないことを覚えておきましょう。
3. 税務署に知られるタイミング
贈与税の未払いは、時効にかかる前に税務署にばれてしまう場合もあります。
具体的には、以下の場合について見ていきます。
3-1. 売買をしたとき
不動産を購入したときには、法務局にて登記手続きをすることになります。
この登記手続きの申請が完了すると、税務署にも通知がされることになっています。
この際に、税務署からの調査により、不確かな情報の回答をしてしまうと贈与税の未払いが見つかることがあります。
3-2. 相続が起こったとき
相続が生じたときにも相続の申告をする際に、税務署から税務調査が入ることがありますので、未払いの贈与税の支払いがある場合にはばれてしまうリスクがあります。
相続対策のために、贈与をしている人もこの時に発見されることになりますので、贈与税の支払いには十分注意するようにしてください。
4. 贈与税未払いに対するペナルティとは?
贈与税の支払いを滞納した場合、何かペナルティはあるのでしょうか。
気になる支払期限を超過した場合の対応についてまとめていきます。
4-1. 贈与税支払いを過ぎてしまった場合には?
贈与税の支払いをしなかった人には、残念ながらペナルティが発生してしまいます。
そのペナルティの中身は、(1)延滞税、(2)無申告加算税、(3)過少申告加算税などの税金が追徴されることになってしまいます。
それでは、各種税金について見ていきます。
延滞税は、申告期限翌日より発生してしまう税金になります。
税率は申告期限の2ヶ月を過ぎるか否かで変わってくるため、申告日が長引けば長引くほど多くの追加税金を支払わなければいけないことになります。
延滞税とは別に無申告加算税という税金も納めなければいけません。
これは税金を申告しなかった分に対して、追加で課税され納める税金となります。
過少申告加算税とは、税金納付の手続き自体は行ったが、納付額が本来の額よりも少なかった場合において支払うべき税金となります。
他にも悪質な税金支払いを隠ぺいした場合には、追加で思い税金が課せられる恐れがありますので十分に注意しなければいけません。
4-2. 贈与税の時効を狙うよりも素直に納めましょう
贈与税に関しては、ばれた時のリスクは非常に高いものです。
上記で見たようなペナルティを支払うと、想像以上に負担の重い出費となってしまいます。
万一、未払いが発覚した際には、素直に認めて未払い分を納税することで、通常よりも少ない額の追徴で済むこととなります。
これを防ぐためにも贈与税に係る知識を少しでも増やし、場合によっては税金のかからない贈与の仕方があることも知りましょう。
ご存知の方も多いかと思いますが、毎年110万円までの範囲であれば、贈与は非課税として考えられます。
また、身近な人への生活費の援助としての贈与の場合には、贈与税がかからないこともあります。
具体的にどのような場合に贈与税が非課税となるかについては、税理士等に相談の上確認するようにしてください。
5. まとめ
贈与税の時効は、原則として6年で消滅することが分かりました。
一方で、贈与税の時効を成立することは極めて稀であり、贈与税が未払いであることがばれるリスクの高いことがお分かり頂けたのではないでしょうか。
また、将来贈与税の未払いが発覚した場合には、税務署より追加で支払わなければいけない税金が何種類もあります。
これらをすべて支払うことを考慮すると、事前に正しく贈与税を納めるほうが得策ではないでしょうか。
非課税枠も利用しながら正しく贈与税の申告を行いましょう。
何かわからない点があれば、税理士等の専門家に相談すると親切に教えてくれるでしょう。
(提供:相続サポートセンター)