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1. 一般社団法人への財産移転による課税逃れを防止

改正点

・個人から一般社団法人への贈与時の課税規定の明確化
・同族経営の一般社団法人の役員が死亡した場合は相続税を課税

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税理士:古尾谷 裕昭
社団法人は、企業の株式に当たる持ち分が存在しないため、相続税はかからない制度となっています。役員の人数や親族の割合に関する定めもありませんでした。これを悪用して、親が代表者の社団法人に資産を移し、子どもを代表に就かせることで課税を逃れるケースが増えたのです。今回の改正ではこの穴が塞がれ、きちんと相続税が課されるようになります。

2. 中小企業を継承する際の相続税の優遇処置を拡充

改正点

・特例が認められた会社の非上場株式を贈与や相続で取得した場合、贈与税・相続税を猶予する制度を創設

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税理士:三ツ本 純
企業を継承した際にかかる「相続税」の税負担が、10年間の特例として大幅に要件緩和されることになりました。これにより、非上場株式を贈与や相続で取得した場合、そのすべての株式が納税猶予の対象となるようになりました。条件を満たせば、事業を継承した場合、贈与税や相続税の支払い負担がゼロになります。また、関連するほかの要件も緩和されています。

3. 税制改正のポイントは増税と相続税逃れの防止

去る12月14日に与党・自民党が発表していた「平成30年度税制改正の大綱」が閣議決定されました。

この後、2月下旬頃「税制改正法案」として国会に提出され、衆議院と参議院の各委員会で審議採択が行なわれ、成立すれば公布され、4月1日から施行されます。

つまり、審議の過程で細かい部分が修正される可能性はありますが、大筋では大綱に沿った改正が行われることになります。

さて、今回の税制改正では富裕層への所得税増税が大きな話題になっていますが、相続と贈与に関する部分でも3つの大きな改正が盛り込まれています。

ポイントは、一般社団法人を設立して相続税の課税を逃れたり、住宅を贈与して宅地にかかる相続税を減らしたりする節税策が広まっているため、これらの基準を厳格化することで、課税逃れを防止する内容になっています。

4. 「小規模宅地等の特例」適用基準の厳格化

改正点

・相続開始前3年以内に3親等内の親族または親族の経営する法人などが所有する家に住んだことがある場合は適用除外
・相続開始時に住んでいた家を過去に所有していたことがある場合は適用除外
・相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等は貸付事業用宅地等の範囲から除外

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税理士・元国税調査官:桑原 弾
故人の自宅の土地を親族が相続した場合、一定の条件に該当すれば330平方メートルまで相続税評価額を8割減らせる制度です。別居家族であっても持ち家に住んでいなければ、特例の適用を認められる規定があるため、これを悪用して課税逃れするケースが増えていました。今回の改正で別居家族に対する規定が厳しくなり、こうした課税逃れはできなくなります。

◼︎例) 改正後に小規模宅地等の特例を受けられないパターン

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(画像=相続サポートセンター) ※ 改正後に小規模宅地等の特例を受けられないパターン

5. 法の抜け穴を塞ぎ課税逃れを防止

今回の税制改正のひとつめのポイントは、一般社団法人を利用した課税逃れを防止したことです。

社団法人の設立件数が急激に増加するなど、明らかな課税逃れが横行していました。

そのため、自民党税制調査会の宮沢洋一会長が「一般社団法人の問題は放置できない」と発言するなど、大きく問題視されていました。

ふたつ目のポイントは、故人の自宅の土地を相続する際、評価額80%減となる特例を悪用した節税策を防止したことです。

この特例を受けるために、持ち家を贈与するといった節税策が広まっていたのですが、適用基準が厳格化され封じられました。

3つ目のポイントは、贈与や相続で中小企業を継承する際にかかる税金を大幅に緩和したことです。これにより、事業の継承がスムーズに行われることが期待されています。
(提供:相続サポートセンター