ワタミは10月25日、米国・サブウェイ社とマスターフランチャイズ契約を締結し、日本サブウェイを子会社化すると発表した。フランチャイズ展開のノウハウを吸収するとともに、海外進出の促進やワタミファームの有機野菜を使った商品開発などを進める。今後10年間で250店の出店を予定しているほか、2025年2月か3月には都内に新たなフラグシップ店の出店も計画しているという。
同日、都内で行われた会見で、渡邊美樹会長兼社長は「居酒屋というイメージから、サブウェイのワタミという代名詞に変え、若年層からの支持を得たい。サブウェイには大きな可能性を感じており、ワタミらしさを発揮しながらサブウェイの挑戦を支えていく」と語った。
サブウェイは2024年9月時点で世界に約3万7,000店を出店している。3年間で20社以上とのマスターフランチャイズ契約を締結しており、今後は1万店舗以上の出店も計画しているという。
なぜファストフードチェーンの展開に着手するのか。渡邊会長兼社長は「ワタミで進めている産業モデルの推進や、日本では今後も円安が進むなどの要因がある」と話す。
「居酒屋や寿司は今のところ順調に推移しているものの、日本の市場は小さくなってきており、どこもレッドオーシャン化している。今後の拡大は難しいと感じている」(渡邊会長兼社長)。
一方で、サブウェイは日本国内ではまだ市場の大きくないサンドウィッチのファストフード業態で、今後世界的に高まると見られる健康志向などにアプローチできる可能性を持つという。また、テイクアウトやデリバリーといった、ワタミが持つ既存の業態とは異なる展開も進められる可能性がある。さらに、「マクドナルドに対抗できるのはサブウェイだ」(渡邊会長兼社長)と力を込める。
マクドナルドは日本で約2,900店、世界では約4万店を展開している。一方のサブウェイは、日本においては2024年9月時点でわずか178店舗しかない。
また、「同じハンバーガーをこれから展開しても、到底追いつけるはずがない。違った対立軸として、世界的にニーズの高まっている健康需要にも応えられるサンドウィッチという選択肢は可能性がある」と語る。
また、ワタミでは全国7か所に有機農業を行っている拠点を持っており、そこで採れたレタスや玉ねぎ、トマトなどをメニューとして採用するほか、焼肉事業などで培った和牛の調達を活かしたローストビーフのメニュー化なども視野にあるようだ。渡邊会長兼社長は「和風の味をサブウェイで広められれば、今よりもより美味しくできるとも思った」と話す。
今後は国内の外食事業で売上高3,000億円を目指しており、サブウェイだけで2,000億円を稼げる状態を目指しているという。出店についても、商業施設や駅前の路面店、大学内キャンパスなどへの出店を計画している。
渡邊会長兼社長は「サブウェイの展開で、ワタミのブランドを若者にも人気のブランドにできれば」と語った。
サブウェイのジョン・チッジーCEOは「ワタミに加わってもらうことは私としてもワクワクしている。ブランドの近代化やデジタル化の加速に加え、シナジーの発揮など、可能性は無限だと思っている」と述べた。