矢野経済研究所
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新規開業クリニックの主要医療ICT機器のうち、電子カルテの導入率は全体で95%、予約システムの導入率は62%

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、新規開業クリニックにおける医療機器・サービス利用状況等に関する法人アンケート調査を実施した。ここでは、主要医療機器の導入率と開業時の課題についての分析結果を公表する。

主要医療機器の導入率(単数回答)

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開業時における課題(複数回答)

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1. 調査結果概要

2019年11月~12月に実施した2019年に新規開業したクリニック(東京都・大阪府・兵庫県・京都府)99件への主要医療機器の導入状況に関するアンケート調査の結果、全体で電子カルテや予約システムの導入率が高いことが示された。また、開業時における課題(複数回答)としては全体で「人材確保」が47%と半数近くに達しているという結果であった。

2. 注目トピック

電子カルテ・予約システムの導入率は高く、Web問診システムは徐々に導入へ

本アンケート調査における医療機器の各々の導入状況について、ここでは主要医療ICT機器である電子カルテ、予約システム、Web問診システムについて、以下、分析結果を公表する。

本調査結果から、電子カルテの導入率は全体で95%となっており、他の主要医療機器と比較して特筆して高く、本調査対象の新規開業クリニックにおいてはほぼ導入しているという結果であった。

予約システムの導入率は全体で62%となった。新規開業クリニックにおいては患者の来院タイミングの平準化(患者の待ち時間短縮)や他院との差別化(集患)などを目的に導入するケースが増えていると考える。また、開業時における課題として挙げられる人材確保の問題(本調査の回答比率47%)からも導入を必要とするクリニックが一定程度存在するものと推察する。

一方で、Web問診システムについては導入率は9%と低い結果であった。Web問診システム(患者が事前にスマートフォン等で問診を入力するシステム)は、2018年頃より普及し始めてはいるものの、普及時期を考えると、まだ本格的な導入時期には至っていないものとみられ、こうした状況が導入率の低さに影響しているものと考える。