矢野経済研究所
(画像=PIXTA)

2018年度の低温物流市場規模は前年度比105.4%の1兆7,500億円

~冷凍食品需要の増加、ドラッグストアなど販売チャネル拡大により堅調に推移~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、低温物流市場を調査し、市場規模、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。

低温物流市場規模推移・予測

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1.市場概況

2018年度の低温物流市場規模を日系低温物流事業者の国内外での販売高ベースで、前年度比105.4%の1兆7,500億円と推計した。冷凍技術の発達による品質の向上などを背景に、国民一人当たりの冷凍食品の消費量は年々増加しており、現在、各地の冷凍冷蔵倉庫は満庫状態に近い。さらに、これまで成長してきたCVS(コンビニエンスストア)や食品スーパー、宅配便のクール便などに加え、低温食品の流通チャネルとしてドラッグストアが拡大をみせており、市場は好調に推移した。

2.注目トピック

冷凍食品需要の拡大に伴い、冷凍冷蔵倉庫の庫復量はピークを迎える

肉類や冷凍食品、氷菓(アイスクリーム)の消費量や取扱数量の増加に比例して、冷凍冷蔵倉庫の需要は年々高まりをみせており、都市部を中心として全国的に冷凍冷蔵倉庫の庫腹量がひっ迫している。一部の大手冷凍冷蔵倉庫事業者では、都市部において冷凍冷蔵倉庫の新設を進める動きがみられた。
また、大規模イベント前は一時的に在庫が増えると一般的に言われる。2020年は、従来通り夏需要に向けての在庫の溜め込みに加え、春先から東京オリンピック・パラリンピック開催需要に向けた入庫がさらに上乗せされ、在庫率が高まり昨年以上に冷凍冷蔵倉庫の庫腹量はひっ迫した状態になる見込みである。

3.将来展望

少子高齢化に伴い国内消費動向は縮小傾向にあるが、冷凍食品需要の高まりや食肉文化の浸透により、低温食品の市場規模は今後も拡大していく見通しである。さらに2020年には、東京オリンピック・パラリンピック開催による需要拡大も期待されている。
また、2020年以降も人件費の高騰や労働基準法改正の影響により、物流費の上昇が想定され、2021年度の低温物流市場規模を日系低温物流事業者の国内外での販売高ベースで、2018年度比117.7%の2兆600億円になると予測する。