YOASOBIからガンダムまで幅広くカバー。“アニオタ”フルート演奏で多くの人を楽しませたい
益子友里(ますこゆり)さんは武蔵野音楽大学を卒業後、フランスに留学してフルート奏者として活動されています。インスタグラムでの発信も精力的に行っており、YOASOBIやAdoなどの人気アニソンをフルートで演奏している投稿は、高い関心を集めています。今後は世界を視野に入れた活動を目指す益子さんに、フルート奏者として歩んできた道のりを伺いました。

幼い頃から音楽とともに歩んだ人生

YOASOBIからガンダムまで幅広くカバー。“アニオタ”フルート演奏で多くの人を楽しませたい

私が音楽を始めたのは、5歳ごろにピアノを習い始めたことがきっかけです。小学校では音楽クラブに入ってピアノを演奏し、中学校でフルートを始めました。

小学生の頃は、ピアニストになることが夢でしたが、中学生の時に出会った私よりもピアノが上手な同級生の存在が、その夢を諦めるターニングポイントとなりました。「中学生でこれだけ弾けないといけないんだ」と痛感し、フルートに転身することを決意。それからは、フルートの腕を磨くことに注力してきました。

高校3年生で進路を決める際、「やっぱり音楽をやりたい」という思いが芽生え、武蔵野音楽大学への進学。卒業後はフランスに留学して、フルート奏者として活動してきました。

現在は、オンライン配信やリアルコンサート、ライブなどで音楽活動をしています。アニメが好きなので、インスタグラムでアニメの主題歌などのアニソンをフルートで演奏することもあります。

“終わりがない”音楽への探求心

YOASOBIからガンダムまで幅広くカバー。“アニオタ”フルート演奏で多くの人を楽しませたい

フルートは、音色がすごくきれいな楽器です。多くの人は、ゆったりとした優雅なイメージで捉えがちですが、実は楽器の中で最も速いパッセージが吹けるのがフルートなのです。激しい曲も演奏できるなど、表現の幅が広いのがフルートの大きな魅力です。

私がフルート奏者を続けているのは、楽器自体の面白さだけでなく、「音楽そのものが楽しくて仕方ない」という強い思いがあるからです。音楽には正解も終わりもなく、常に探求し、成長し続けられるという点に魅力を感じています。

技術的な面だけでなく、楽曲の表現やフルートの音色の深さは、奏者の精神状態やメンタルと深く結びついています。音楽は、演奏者の感情までも表現するのです。

また、他の演奏者の演奏を聴くことで、自分に足りないものが見えてきたり、新しい音楽の発見があったりします。そのたびに「自分の音楽はもっと深められる」と感じ、レッスンを通じて改善点を見出しながら、音楽を洗練させていくのです。

音楽家といってもさまざな人がいるのですが、私は、コンクールだと緊張してしまって、がちがちに固まってしまうんです。それよりも「楽しんでもらいたい」という思いが強いので、コンサートの方が向いているタイプです。

フランスに留学していたとき、留学中の最後の大事な試験前に大スランプになってしまい、音が出なくなったことがありました。そのときフランス人の先生に「日本人は練習し過ぎだから、もっとリラックスした方が良いよ」と言われたことがありました。

それからは、毎日9時間くらい練習していたのを3時間ぐらいに減らして、公園で散歩したり、ボーッとしたりする時間を増やしました。そうすると一気に音が出るようになったんです。

今でも本番前には、ヨガをしたり、カフェに行ったりして、リラックスする時間を必ず取るようにしています。自分の技術力だけではなく、こうやってメンタルを整えることも、音楽にはとても大切だと学んだ経験です。

アニメ×フルートで、たくさんの人に音楽の魅力を届けたい

YOASOBIからガンダムまで幅広くカバー。“アニオタ”フルート演奏で多くの人を楽しませたい

私がアニソンを吹いてインスタグラムで発信しているのは、フルートの音色やクラシック音楽に馴染みのない人にも、多様な音楽に触れてもらいたいという思いがあるからです。アニメだったら取っ付きやすいと思い『アニオタフルート演奏』と名乗るようになりました。

最近では、YOASOBIやAdoなどの人気アニソン、私の大好きな『ガンダム』『エヴァンゲリオン』などのロボットアニメの曲を演奏しています。ライブ配信で「フルートは聞いたことがないけどアニメが好き」という方が来てくれることは、大きな喜びです。

今後の目標は、フランスで開催される日本文化の祭典『ジャパンエキスポ』に参加することです。音楽家仲間と書道家の友人とグループを結成し、アニソンの演奏と書道のパフォーマンスをしようと考えています。

ジャンルの垣根を越えて多様な人々と共演することで、より多くの人に音楽を”日常の楽しみ”のひとつとして感じてもらえたらと思います。海外でのパフォーマンスにも注目が集まるのではないかと思っているので、日本国内だけでなく、世界中の人々に音楽を楽しんでもらえたら嬉しいですね。