パーソル総合研究所(東京・港、萱野博行社長)が各種SNS・ブログ・掲示板・レビューサイト等のデータを収集・分析した「はたらくソーシャル・リスニング/24年4月」によると、2023年度の急上昇ワードは「ガラスの崖」であることが明らかとなった。(文:日本人材ニュース編集部

2023年度の各種SNS・ブログ・掲示板などで投稿急上昇ワードは「ガラスの崖」

2023年度(2023年4月1日~2024年3月31日)において、前年同期からの投稿増加率が最も高かったのは「ガラスの崖」となった。低迷期にある企業が起死回生策として女性をトップなどの幹部に登用する傾向で、女性活躍の失敗リスクを高めるものとして注目される。

2022年度のメンション数は1000だったのに対し、2023年度は2万3850となり、増減率は2385.0%増だった。

次いで、増税の一環として「通勤手当課税」の案が話題となった「通勤手当」(増減率1506.5%増)、2024年4月よりドライバーの時間外労働時間が制限されることの影響や企業の対策が広く議論された「2024年問題」(増減率821.6%増)が続いた。

【投稿増加率上位ワード トップ5】
ガラスの崖 増減率2385.0%増
通勤手当  増減率1506.5%増
2024年問題 増減率821.6%増
ソーシャルスキル 増減率482.4%増
在留資格  増減率455.4%増

一方、前年同期からの投稿減少率が最も高かったのは「産後パパ育休」で増減率は82.5%減だった。2022年度のメンション数は8万9050だったのに対し、2023年度は1万5600にとどまった。

「産後パパ育休」 (22年10月施行)や、「パワハラ防止法」(大企業2020年6月、中小企業は2022年4月から)など、法改正や制度改定などの直後の時期から減少している形となった。

【投稿減少率上位ワード トップ5】
産後パパ育休  増減率82.5%減
通称使用    増減率74.5%減
パワハラ防止法 増減率73.6%減
就職留年    増減率70.9%減
インフレ手当  増減率63.9%減

また、「賃上げ」関連ワードをピックアップして分析してみると、「賃上げ」言及投稿数は22年度から23年度で156%増加していた。とりわけ23年11月、24年3月に急激な増加が見られた。

23年度の「賃上げ」言及投稿に含まれる他のワードを可視化してみると、賃上げが「必要」とする政府の方針に触れたうえで、実現方法やそのボトルネックについて議論する投稿が目立った。

パーソル総合研究所では、「春闘での大企業の賃上げが話題になる一方で、下請けとなる中小企業への支援や、国民生活に直結する減税を求める声が多い」と指摘する。

調査は、2022年度(2022年4月1日-23年3月31日)と2023年度(2023年4月1日-24年3月31日)の投稿データを比較し、SNS分析ツール Quid Monitor(TDSE株式会社提供)を使用して分析した。

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