中小企業,補助金,助成金
(写真=wrangler/Shutterstock.com)

補助金・助成金の中には、中小企業を積極的に支援しているものがある。国や自治体を中心に数多くの制度があるため、要件に該当する企業も多いはずだ。そこで今回は、特に押さえておきたい補助金・助成金制度をケース別に紹介しよう。

雇用に関する補助金・助成金

人材の雇用にはコストが発生するが、雇用を対象とした支援制度も少なくない。その中でも、特にチェックしておきたい3つの制度を見ていこう。

1.トライアル雇用助成金

この制度は、35歳未満の人材を雇用する際、原則3ヵ月間のトライアルを実施することで、1人あたり月額4万円の支援を受けられるものだ。さらに、対象となる人材が母子家庭の母、もしくは父子家庭の父にあたる場合は、月額5万円に増額される。

ただし、要件に該当する雇用者であり、かつ雇用者本人がトライアル雇用を希望する必要がある。要件は細かく定められており、以下でその一部を紹介しよう。

・紹介日時点で、就労経験がない職業に就くことを希望している
・学校卒業後3年以内で(紹介日時点)、卒業後安定した職業に就いていない
・紹介日前日の時点で、離職期間が1年を超えている

上記を見てわかるとおり、育児のために退職した女性やフリーターなど、さまざまな人材が対象となる。ほかにも要件が定められているため、対象人材の雇用を検討している企業は厚生労働省の公式ページで確認しておこう。

実施者 厚生労働省
対象者 ・3ヵ月のトライアル雇用をする事業者
・雇用者がトライアルを希望している事業者
・その他、雇用者に関する要件あり
支給金額
(中小企業)
1人あたり月額4万円(最長3ヵ月間)。
母子家庭の母、父子家庭の父を雇用する場合は、月額5万円。
公式ページ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/trial_koyou.html

2.特定求職者雇用開発助成金

もともとは「三年以内既卒者等採用定着奨励金」として実施されていた、既卒者や中退者の採用・定着を目的にした制度。名称は変わったが支給金額に大きな違いはなく、要件を満たした中小企業には以下の金額が支給される。

対象者 1年定着後 2年定着後 3年定着後
既卒者
(卒業後3年以内)
50万円(※) 10万円 10万円
高校中退者
(中退後3年以内)
60万円(※) 10万円 10万円

※「若者雇用促進法に基づく認定企業(ユースエール認定企業)」の場合は、10万円が加算される

この制度は「既卒者コース」と「高校中退者コース」に分けられており、それぞれに要件が定められている。また、従来の制度から要件がやや変更されているため、公式ページでしっかり確認しておこう。

実施者 厚生労働省
対象者 ・既卒者や高校中退者を採用する事業者
・上記の人材を、1年以上定着させた事業者
・これまで既卒者や高校中退者を、新卒枠で採用したことがない事業者
支給金額
(中小企業)
1人あたり年間10万円~70万円。
人材が定着した年数によって変わる。
公式ページ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158397.html

3.雇用調整助成金

経済上の理由により、現在の事業活動や雇用を維持することが難しくなった事業者は、ぜひこの制度を確認しておきたい。売上高や生産量など細かい要件が定められているが、雇用を維持した企業に対して以下の金額が支給される。

対象となる費用 支給金額
【1】教育訓練の実施費用 1人あたり1,200円(1日)
【2】休業を実施した場合の休業手当
【3】教育訓練を実施した場合の賃金相当額
【4】出向を行った場合の出向元事業主の負担額
中小企業は左記費用の3分の2
(それ以外の企業は2分の1)
※対象労働者1人あたり8,335円が上限(1日)

従業員に対して「一時的な雇用調整(休業や教育訓練など)」の実施が必要になる点は、この制度で注意しておきたいポイントだ。しかし、上記【1】~【3】は3年間で最長150日分(年間では最長100日分)、上記【4】も最長1年間支給されることを考えれば、受給を目指して計画を立てる価値はあるだろう。

実施者 厚生労働省
対象者 ・経済上の理由で、雇用の維持などが難しくなった事業者
・一時的な雇用調整を実施する事業者
・その他、経営状況や雇用に関する要件あり
支給金額
(中小企業)
一時的な雇用調整の内容により異なる。(1人あたり1日8,335円が上限)
教育訓練を実施した場合は、1人あたり1日1,200円を加算。
公式ページ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

人材教育に関する補助金・助成金