補助金,交付金,違い
(写真=Song_about_summer/Shutterstock.com)

国や多くの自治体において、事業者を下支えしたり、その事業を発展させたりなど、さまざまな目的で補助金や交付金が給付されている。支給の対象になるのであれば積極的に補助金や交付金を利用したほうが、企業にとっては資金面で有利になる。しかし「補助金と交付金の違いや補助金などを受け取るにはどうすればよいか分からない」という人も少なくないだろう。

そこで今回は補助金と交付金の違いや補助金を受け取るまでの流れについて解説する。

補助金とは?

補助金とは、国や地方公共団体が特定の事務または事業補助など、各種の行政目的のために交付される金銭その他のもので主に経済産業省が管轄するものを指す。補助金の性格として次の3つが挙げられる。

  1. 公益性があると認められる事務、事業に給付される
  2. その事務、事業の実施に使用するための金銭である
  3. 財政援助の作用を持つ

「財政援助の作用を持つ」とは、返済の義務がないということだ。補助金はあくまで事業の推進を補助することを目的に給付するお金であるため、返済の義務はない。ただし数十万円から数百万円におよぶものまであり、給付を受けるには審査が必要だ。また補助金を給付目的以外に使用した場合には、罰則が科される。

補助金は「小規模事業経営支援事業費等補助金」や「市町村水道総合対策事業補助金」、公告やCMなどでもよく見かける「軽減税率対策補助金」など、その種類はさまざまだ。補助金と似ているものに助成金というものもある。助成金も補助金と同じく国や地方公共団体から給付される返済の義務がない金銭その他のものであるが、厚生労働省が管轄しているのが特徴だ。

助成金は事業というよりも人を雇ったり研究開発をしたりするなどの目的に対して給付される。審査の必要がなく、一定の条件を満たした場合に必ず支給されるのが補助金とは異なる点だ。厳密にいうと補助金と助成金は違うものだが、補助金として支給されるものの中に助成金があったり、その逆のケースもあったりするなど、実質的には同様の意味合いで取り扱われている場合も多い。

交付金とは?

交付金とは、国などが特定の目的のもとに交付する金銭のことだ。広い意味で使われる言葉で、補助金も交付金に含まれるという考え方もある。ただし実務上は、交付金といえば国から地方自治体に義務的に交付される金銭のことを指す。地方自治体はそのお金を目的に沿った団体や組合などに対して報償とし一方的に交付する。

交付金は「東日本大震災復興交付金」「地域経済循環創造事業交付金」「電源三法交付金(原発交付金)」など多種多様だ。よく交付金と間違えられるものに、負担金というものがある。負担金とは、国に一定の義務や責任のある事務、事業について、国が義務的に負担する給付金のことだ。交付金と異なるのは「負担金は法律で国の負担であることが定められている」という点である。

なお、負担金には地方公共団体の事業費を国が負担するものも含まれているのが特徴だ。また、地方公共団体が各種団体への会費など、法令上の特定の事業に対して一定額を負担するものも負担金とする場合がある。

補助金と交付金の違いは?

今まで説明してきた補助金と交付金の違いを表にまとめると、次のようになる。

項目 補助金 交付金
補助金 助成金 交付金 負担金
支給の対象 特定の事業 特定の目的(投資・支出) 一定の事業全体 一定の事業全体
支給元 国・地方公共団体・各種団体 国・地方公共団体・各種団体 国・地方公共団体 原則 国
支給先 一般企業 一般企業 一定の企業・団体 地方公共団体・各種団体
返済の要・不要 不要 不要 不要 不要
審査 不要(ただし申請は必要) 不要(ただし申請は必要) 不要(ただし申請は必要な場合が多い)
金額 数十万円~数百万円程度 数十万円~億単位のものまでさまざま
補助率 2分の1~3分の2程度 全額給付が多い
期間 半年程度の短期が多い 複数年にまたがる場合が多い

上記は、一般的なものをまとめた表だ。名称は補助金だが内容は助成金であるなど、使われている名称が混在したり、特別な補助金や交付金には特定の条件があったりする。そのため、あくまでも目安として利用し、詳細は各補助金や交付金の内容を都度確認することが必要だ。

補助金や助成金を受けるためのプロセス5ステップ

支給の対象が一般企業となっているものは、交付金よりも補助金のほうがはるかに多い。そこで補助金を受けるための一般的なプロセスについて解説していく。主な流れは下記の5つだ。

  1. 補助金を知る
  2. 申請する
  3. 補助金交付の決定
  4. 事業の実施
  5. 補助金の交付

以下、それぞれの詳細を解説する。

1. 補助金を知る

まずは「補助金とはどのようなものか」「自社に合った補助金があるのか」などを知るところから始めることが必要だ。国土交通省や経済産業省、内閣府などの各省庁、都道府県や市区町村などの地方自治体のホームページには、現在募集している補助金の情報が掲載されている。自社が行っている事業に関係する省庁や所在地の自治体のホームページを常に確認し、補助金の情報を得ることが重要だ。また後述するように補助金の情報をまとめたホームページなどもある。

2. 申請する

申請したい補助金を見つけたら、申請書を作成して事務局などに申請を行う。申請書の用紙や募集要項などは、助成金のホームページからダウンロードが可能だ。募集要項には必要書類や申請の期限などの詳しい内容が記載されているため、申請前に不備がないか十分に確認しておこう。

3. 補助金交付の決定

補助金の申請が終わったら、事務局が補助金を交付する企業を決定する。ただし、決定までには以下のような3つのプロセスを踏むことが必要だ。

・審査
事務局は受け取った申請書を受理し、内容を審査する。多くの場合、審査委員会を別で設けて審査を行う。申告書の内容をもとに審査を行い、交付を受ける事業(企業)を選定する。

・採択
「審査が通れば終わり」というわけではなく、選定された企業はその後何回か事務局とやりとりを行う。各補助金事務局から、選定結果通知とともに補助金交付規程や補助金交付申請書を受け取る。補助金交付規程を確認したら、補助金交付申請書と経費相見積もり(書)を作成。作成した書類を再度、補助金事務局に提出する。

・交付
補助金事務局は、提出された補助金交付申請書と経費相見積もり(書)を確認し、問題がなければ交付決定通知書を発行。この交付決定通知書を受け取ると、補助金交付の決定となる。

4. 事業の実施

補助金は、該当事業を実施して初めて交付される。そのため、該当事業はまず自己資金で行うことになるのだ。交付決定された内容で事業をスタートし、事業の途中で実施状況について事務局のチェックを受けなければならない。原則、交付時の計画を勝手に変更することはできないため、途中で変更が必要な場合は補助金事務局へ計画変更申請を行い、審査・承認される必要がある。

5. 補助金の交付

事業が終了したら、実施した内容やかかった経費を報告するため、実績報告書や経費エビデンス(証跡)を作成し、補助金事務局に提出する。

※補助金の対象となる経費に関しては、領収書などの証拠書類を保管しておかなければならない。

補助金事務局は、提出された書類をもとに実施状況を確認。その際にヒアリングなどが行われることもある。きちんと実施されたと確認されれば、補助金の額が確定し、補助金額確定通知が発行されるという流れだ。補助金額確定通知を受け取ったら請求書を補助金事務局に発行し、補助金の受け取りが可能になる。

なお補助金の交付後も一定期間は補助金の対象となる領収書や証拠書類の保管、定期的な事業状況の報告が必要になるため、念頭に置いておこう。今回紹介したプロセスは、あくまで一般的な流れである。補助金の種類によっては、プロセスが異なる場合もあるので注意が必要だ。

※助成金の場合は、審査など一定のプロセスが省略される。ただし実際には補助金と助成金の名称が混在している支給も多いため、助成金という名称でも審査が必要なケースもある。

補助金を受け取る際の注意点5つ

ここまでは補助金を受け取るまでの流れについて解説してきた。補助金を受け取るまでには多くのプロセスがあるが、手続きが若干複雑になっているため、注意すべき点がいくつかある。ここでは補助金を受け取る際の主な注意点を5つ説明していく。

  1. 提出書類に注意する
  2. 資金繰りに注意する
  3. 当初の事業内容とずれないように注意する
  4. 募集期間と事業期間に注意する
  5. 補助金受給後のモニタリング期間に注意する

1. 提出書類に注意する

補助金の申請から交付を受け取るまでには、各プロセスでいくつもの書類を提出する必要がある。提出書類に漏れがあると、補助金の交付までに時間がかかったり、そもそも補助金の交付が受けられなかったりする可能性も出てくるのだ。そのため必ず要項などを確認して提出書類の漏れを防ぐことが重要となる。プロセスごとの一般的な提出書類は、以下の通りである。

補助金 提出書類一覧
プロセス 提出書類
申請時 応募申請書 事業計画書 経費明細書 事業要請書
採択時 交付申請書 選定結果通知書 補助金交付規程
実施時 計画変更申請
報告時 実績報告書 経費エビデンス
請求時 請求書

2. 資金繰りに注意する

補助金は、事業を実施しない限りは交付されない。そのため先に経費の出費が生じ、中には数百万円程度の先払いが必要になることもある。補助金の対象になる事業以外にも、通常の事業の経費や給料の支払いなどの出費があるのが一般的だ。そこで資金繰りが悪くならないように、きちんと資金計画を立てておくことが重要になる。

また当初の資金計画とずれが生じた場合は、金融機関からの融資が必要なのかどうかを精査し、資金がショートしないような対策を立てておくことも必要だ。

3. 当初の事業内容とずれないように注意する

補助金を受けるには、最初に申請を行い補助金交付が決定したのち実際に事業を行う。そのため最初の計画と実施後の事業内容にずれが生じてしまう場合もあるだろう。もし補助金を本来の目的や趣旨と違った使い方をした場合には、補助金が出なかったり、補助金の一部を返納することが必要だったりすることもある。

そのため事業を実施していくうちに当初の事業内容とずれが生じそうになった場合は、できるだけ早く補助金事務局などの関係機関に相談することが肝要だ。疑問点や不安な点がある場合も同様である。せっかくの補助金だからこそ、有効に活用するため抜けがないように注意したい。

4. 募集期間と事業期間に注意する

補助金を受けるためには、対象の補助金のスケジュールに合わせることが必須である。その中で特に注意が必要なのが、募集期間と事業期間だ。

・募集期間
募集期間とは、補助金の申し込みを受け付ける期間のことである。補助金の中には、募集期間が1ヵ月程度と短いものも多い。補助金を知ったのが募集期間の途中であった場合は、締め切りまでさらに短期間となってしまうことも考えられる。補助金の募集を知ってから事業の計画を立てていたのでは、間に合わない可能性もあるのだ。

そこで「普段からどのような事業をしたいのか」といった構想や、計画を立てておくことが重要になる。その上で該当する補助金があれば事業を実行すると考えておけば、募集期間が短くてもスムーズに申し込めるだろう。

・事業期間
事業期間とは、補助金の事業を行う期間のことである。具体的には、補助金の交付決定通知がされてからの期間のことを指す。ただし、事業期間外で支出した経費は補助金の対象にならないため、注意が必要だ。補助金の交付決定通知がされる前に支出した経費や、事業期間終了後に支出した経費には、補助金が出ない。そのため、事業期間で支出できるように留意し、あらかじめ計画しておくことが重要になる。

5. 補助金受給後のモニタリング期間に注意する

補助金を受けるための注意点は、受給前だけではなく受給後にもある。例えば、補助金受給後のモニタリング期間だ。補助金受給後には、5年間程度のモニタリング期間がある。本来、補助金は公益性があると認められる事業に給付されるものだ。事業期間にだけ公益性があり、補助金を受け取った後に公益性がなくなったのでは、当初の目的と違ってしまう。

そこで補助金受給後にモニタリング期間を設け、この間に一定以上の収益が認められた場合は補助金の額を上限として国に納付する仕組みになっている。モニタリング期間については、一定以上の利益を計上しないようにチェックしていくことも必要だ。

補助金・助成金を探せるサイト2選

補助金や助成金は、原則として各省庁や地方自治体などのホームページに公表されている。あらかじめ申し込みたい補助金や助成金が分かっている場合は、すぐに目当ての情報にたどり着くことができるだろう。しかしそうでない場合は複数のホームページを確認しないといけないため、手間や時間がかかってしまいがちだ。

そこで利用したいのが、これらの補助金や助成金の情報がまとめて記載されているサイトだ。補助金や助成金を探せる公的なサイトとして「ミラサポ」と「J-Net21」がある。ここでは、それぞれに詳細を確認しておこう。

1. ミラサポ

「ミラサポ」は中小企業庁の委託事業として、中小企業や小規模事業者向けに事業に役立つ情報を提供しているサイトである。会員登録(無料)をすると、さまざまなコンテンツが利用可能になる。ミラサポでできる主なことは、以下の通りだ。

  • ニュースやメールマガジンなどで、自社に必要な情報が得られる
  • 補助金の虎の巻、公共機関の使い方などで、さまざまな施策やツールについて理解できる
  • 成功事例などで他社の取り組みを知ることができる
  • 年3回まで専門家の派遣や事業展開のサポートツールなどを利用できる
  • よくある質問などで、中小企業の困りごとの解決方法を検索できる

補助金については「ものづくり補助金」「小規模事業者補助金」「IT導入補助金」の3つの情報を確認することが可能だ。詳しくは以下のホームページで確認できる。

「ミラサポ」TOPページ
「ミラサポ」補助金・助成金ヘッドライン

2. J-Net21

「J-Net21」は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する中小企業や小規模事業者、創業予定者向けのポータルサイト。公的機関の支援情報が中心となっているが、その他にも経営に関するQ&Aや、数多くの企業事例などが利用できる。「J-Net21」で注目したいのが、支援情報ヘッドラインだ。支援情報ヘッドラインでは、国や都道府県等の中小企業向けの支援施策情報がまとめられている。以下のような情報が検索可能だ。

  • セミナー・イベント
  • 補助金・助成金・公募
  • 調査・報告書・お知らせ

このうち「補助金・助成金・公募」は、もともとミラサポで検索が可能だったが、2019年8月時点では支援情報ヘッドラインに統合されている。各省庁や地方公共団体のホームページなど、複数のサイトへ補助金の情報を確認しにいく手間が省けるので便利だ。詳しくは以下のホームページで確認できる。

「J-Net21」TOPページ
「J-Net21」支援情報ヘッドライン

返済の必要のない補助金や交付金は、企業にとても有利な制度である。しかし、自ら情報を獲得していかないと、知らないまま募集期限が過ぎてしまうことも多い。自社に必要な補助金を逃さないためにも、補助金と交付金の違いや注意点を理解し「ミラサポ」や「J-Net21」などのホームページで、常に補助金などの情報を確認しておきたい。

文・長谷川よう(金融ライター)