筆者は高級フルーツショプ、英語教育、講演活動など複数ビジネスを手掛けている。どのビジネスにも共通して感じるのは、「女性客を意識してビジネスをせよ」ということだ。
マーケティングの世界では、女性の購買決定権は8割を超えているというが、筆者は自身が手掛けるすべてのビジネスにおいてそれを実感している。そしてこれは新規顧客開拓だけでなく、リピート購入時においても最重要となる。
ここからは、男性を優遇するより、女性を優遇する方がビジネス上の合理的メリットが得られる話をしていきたい。
購入者名が男性でも商品を選ぶのは女性
筆者が経営している高級フルーツショップでは、自分で食すために購入する顧客は1割に満たず、9割が贈答用である。また、個人ではなく法人顧客も多い。
法人顧客からの購入の際、熨斗(のし)に書かれる名前は「代表取締役社長:〇〇(男性名)」と希望されるのだが、電話やメールでの相談、問い合わせは女性である。男性社長から、取引先の男性社長へのギフトとして使っていただいているのだが、実際にサイトを見て購入を決定するのは総務部や秘書室の女性社員というわけだ。
この話はフルーツに限ったことではない。筆者が手掛けるオンライン英語多読講座の受講生も半数以上が女性だ。サイトへの流入比率も、女性が半数を超えている。売上の半分以上を女性が占めているので、筆者は男性であるものの、女性に訴求できるマーケティングを意識しなければ、売上の低下は避けられないのである。
また、セミナーも同様に女性参加者が多い。筆者は年に数回、自主開催でセミナーに登壇している。テーマは「英語」「人工知能」「ビジネススキル」などいかにも男性が好みそうで、女性が敬遠しそうなものばかりだが、会場に来てみるとこれまた7割が女性で驚かされてしまう。
そして「セミナー開催のたびにリピートしてくれる」というのも女性なのだ。しかし、他社で開催する講演にゲスト登壇する際は9割が男性だということもあるので、筆者が知らず知らずのうちに女性顧客を意識したマーケティングをしている結果かもしれない。
このように、あらゆるビジネスにおいて女性の存在は決して無視できない。男性が手掛けるビジネスは、往々にして男性顧客に訴求しやすい、データやロジック攻めになりがちだがそれでは女性顧客を失ってしまう。