旭山動物園〜旭山のガウディ計画〜【北海道エリア】
旭山動物園〜旭山のガウディ計画〜【北海道エリア】

こんにちは。よさこい大好きライターのかすみです。
先日私はよさこいの衣装を作るために札幌にお邪魔させていただきました!3月後半で晴れだったのですが、路肩には2メートル以上の雪が積まれていて、北海道の雪の多さに驚きました。
そんな雪の多い北海道の中でも、大雪山の懐に抱かれた旭川市の豆知識について今回はご紹介していきます!

旭山動物園の魅力

旭川は北海道のほぼ中央に存在し、雄大な自然に囲まれた地域です!旭川市の中でも特に有名なのが、旭山動物園です!

旭山動物園の特徴は動物たちの動きがダイナミックに見えること。
なぜダイナミックに見えるのでしょうか?

それは、ズバリ行動展示をしているからです!

「行動展示」とは動物の凄さ、美しさ、尊さを見せるための展示方法です。
動物が本来持っている「走る・飛ぶ・泳ぐ・捕食する」といった"動く瞬間"のすごさ、美しさ、そして尊さを来園者に見てもらうために、動物本来の動きを"引き出す"展示をしています。

ではなぜ行動展示をしているのでしょうか?
それはかつて、旭山動物園が閉園の危機に面したことが原因でした。

閉園の危機!?旭山動物園の苦難

旭山動物園は1967年7月、開道百周年に当たる年に札幌市円山動物園、おびひろ動物園に次ぐ北海道で3番目の動物園としてオープンしました。当時の動物園の物珍しさも相まって入場者数は順調に推移し、初年度はおよそ46万人を集め、毎年40万人前後の入場者数を誇っていました。

しかし、物珍しさがなくなると来客数は減少していきます。遊園地を併設し来客が一時的には上がったものの、長くは続きませんでした。

そして、最も大きな打撃を与えたのは、1944年に起こったエキノコックスの感染です。

野生のキタキツネの侵入により、動物園で飼育されていたローランドゴリラやワオキツネザルに寄生虫“エキノコックス”が感染し死亡しました。園側は人への感染を予防するために一時閉園を決定し、それに伴い人々は動物園から離れていくことに。この年、動物園への入場者は年間28万人とピークの半分以下にまで落ち込んでしまいました。

市の予算で運営されていた動物園には市議会議員からも廃止の声が上がり、動物園は存亡の危機に立たされていました。

そんな閉園の危機に立たされた動物園を救ったのは、今の旭山動物園における行動展示につながる14のスケッチだったのです。

動物園を救った14のスケッチ

動物園新しく就任した園長は、飼育員達から彼らが長年構想していた動物展示のアイデアを集めました。それを、まとめたのが14のスケッチです。

飼育員たちが考えた14のスケッチを元に、今の行動展示は作られたのです!

アザラシが上下に泳ぐ習性が見られる筒状の水槽や、猿がロープを渡る様子がダイナミックに見られるサル山など、臨場感あふれる展示方法は飼育員たちによる動物観察の集大成ともいえます。

どのようにして14のスケッチは作られたのか

遊園地と動物園が併設されていた1986年頃から飼育係達は、動物園への思いや夢について色々話し合っていました。これらをイラストにまとめて14のスケッチは完成したのです。

【14のスケッチの中身紹介〜「ほっきょくぐま館」を例に〜】

旭山動物園〜旭山のガウディ計画〜【北海道エリア】

こちらの2つのイラストは実際に構想段階で飼育員によって作成されたスケッチです。このイラストに描かれている泳ぐホッキョクグマの様子はスケッチの構想のとおり実現しました。

2つのイラストはそれぞれ、新しく「ほっきょくぐま館」を建てた場合(左図)と元々ある建物を改造した場合(右図)です。
新しく建てる場合は放飼場を2か所作る予定でした。2ヶ所ではそれぞれ異なる展示を行おうとしていたのです。

現在の施設はこの左側のイラストをもとに「足下から見るホッキョクグマ」など、3次元展示のアイデアが加えられています。実際に作られた「ほっきょくぐま館」のうち2ヶ所の展示場所の1つでは巨大プールを設置し、ホッキョクグマのプールは迫力満点の水中飛び込みや優雅に泳ぐ姿を間近で観察することが出来ます。

もう一方では、堀を利用し、檻のない放飼場になっており、陸上でのホッキョクグマを観察できます。この場所には、「シールズアイ(カプセル)」があり、アザラシの視点からホッキョクグマを観察することができます。アザラシは自然界ではホッキョクグマの捕食対象なので、シールズアイから除くと捕食される獲物のような気持ちで、ドキドキしますね。

このように、現在の旭山動物園を形作る元になったスケッチは、全部で20枚以上にのぼると言われています。

スケッチの中には、未だに完成していないものもあります。
今現在も構想が続いており、未来への可能性に溢れた14のスケッチは、アントニ・ガウディが構想し着工から140年経った現代においても未だ建設が進んでいるサクラダファミリアのガウディ計画のようですね!

まとめ

いかがでしたか?
今の旭山動物園はかつての飼育係の思いや夢が形になったんですね!

それを今の旭山動物園の関係者が引き継ぎ、進化を続けています!果たしてスケッチが完成するのはいつになるのか?楽しみです!ここでは紹介しきれなかったスケッチは、旭山動物園のホームページから見ることが出来ます!

旭山動物園を訪れる際には当時のスケッチと比較しながら見てみるのも面白いと思います!

以上ライターのかすみでした。

参考

・動物園のイノベーション「行動展示」,旅探たびたん, https://www.homemate-research-zoo.com/useful/13999_zoo_084/
・旭山動物園はなぜ成功したのか?「行動展示」への動物園改革
https://allabout.co.jp/gm/gc/313415/#2
・旭山市旭山動物園,旭山動物園ヒストリー•14のスケッチ, https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/2200/p008762.html
・あさひやま動物園チャンネル,
https://asazoo.com/polar-bear/