アイヌ文化の歴史と復興への取り組み【北海道エリア】
アイヌ文化の歴史と復興への取り組み【北海道エリア】

こんにちは、ライターの「ゆいと」です!

北海道の地名にも大きく影響を与えているこの土地独自の「アイヌ文化」。「札幌」や「小樽」など、現在も残っている北海道の約8割の地名がアイヌ語に由来するとも言われています。

ということで今回は、長い間道民の生活に根付いてきたアイヌ文化について深掘りしていきたいと思います!

アイヌ文化の起源とその特徴

アイヌ文化の起源については未だ明確な答えが見つかっていません。しかし、現存する書物で最も古いものでも1300年代中期に書かれたものであることから、遅くとも鎌倉時代にはアイヌ文化が形成されていることが分かっています!

アイヌ文化が始まる前、東北地方北部から北海道南部にかけて土器を使って採集・漁狩猟を生業としていた擦文(さつもん)文化が根付いていました。

擦文文化の大きな特徴は住居にあります。サケやマスなどの川魚に加え、アワやキビなどの穀物を主食にしていたことから、多くが河口付近に住居を構えていたのです。

そして、もう1つこの時代に栄えていた文化があります。それがオホーツク文化です。オホーツク文化はその名の通りオホーツク海沿岸地域で栄えていた文化で主に海岸線で漁猟中心の生活をしていたことから「海洋の民」と呼ばれることもしばしばあります。

この2つの文化は互いに繁栄していた時代が重なっており、その範囲はそれぞれ北と南に拡大していきました。こうして時代が進むと次第に擦文文化とオホーツク文化の両方の特徴を持った人々が現れます。これが後にアイヌ文化となっていくのです。

こうした陸での狩猟・採集そして海や川での漁猟を組み合わせた伝統的な生活様式は長い間根強く北海道の地で続いてきましたが、明治時代に入ると次第に陰りが見えてきます。

アイヌ文化の衰退とその社会的な影響

アイヌ文化は明治時代の同化政策によって北海道を開拓する過程で衰退していくことになります。開拓が進むにつれ、アイヌ民族に対して狩猟などの伝統的な暮らしに規制をかけていきました。こうしてアイヌの人々は生活様式を強制され、アイヌ文化は徐々に勢力を落としてしまったのです。

それと同時に長い間北海道で根付いてきたアイヌ文化の特徴的な言語であるアイヌ語も衰退していきました。その勢いは止まらず現在は消滅危機言語となっています。
言語が消滅してしまうということはその言語の世界観、そしてその言語を扱う文化の消滅を表します。実際に現在アイヌ語を話すことができる人はわずかで、日常的に使用する人も限られているのです。

また文化が消滅することで、その土地で生きるための知恵や人々の価値観が同時に失われることになります。
民族の知恵の中には天然資源の持続可能な利用方法や生態系保護に関する情報も含まれており、多くの貴重な生態系が今なお存在している北海道にとって、アイヌ文化の保護はそれら生態系の保護にも繋がっていきます。

アイヌ文化を守る取り組み

アイヌ文化を守るため、世界中で多くの取り組みが行われています。そのうちの1つが、2019年に開発されたアイヌ語の学習コンテンツ「Ainu on Drops」。このアプリの開発によって世界中誰でもアイヌ語を学習できるようになり、アイヌ語への理解を深めるきっかけとなることが期待されているのです!

またアイヌ政策推進会議・アイヌ民族文化祭・アイヌ語弁論大会のような年間行事が日本国内だけでなく世界中で開催されており、世界中にアイヌの文化の推進を図っています。

こうした活動を通して一人一人がアイヌへの関心を持ち、アイヌ文化衰退の流れを少しでも緩和できるように国境を超えて復興に力を注いでいます!

終わりに

2009年にはユネスコの無形文化遺産に登録されるなど世界的な注目も集まりつつあるアイヌ文化ですが、問題解決へはまだ道半ばです。

ちなみに、漫画「ゴールデンカムイ」では今回紹介したアイヌの人々の生活がリアルに描かれており、より深くアイヌ文化を知ることができます。
興味を持った方は是非読んでみてください!

最後までお読みいただきありがとうございました!

参考

・PR TIMES 全世界で約1,500万人が利用する 言語を学び文化を守る言語学習アプリ『Drops』 UNESCOの国際先住民族言語年(IYIL2019)の活動の一環として「アイヌ語」学習コンテンツをリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000043420.html
・公益財団法人アイヌ民族文化財団 アイヌ民族〜歴史と文化
https://www.ff-ainu.or.jp/web/learn/culture/together/files/rekishi_bunka.pdf
・北海道歴史・文化ポータルサイト AKARENGA 北と南が出会うーオホーツク文化・擦文文化
https://www.akarenga-h.jp/hokkaido/jomon/j-05/