季節の変わり目で注意しなければいけないのが、健康管理です。体の不調には、さまざまな原因が考えられますが、今回はメンタル面に焦点を当て不調になる原因について解説します。
あわせて予防方法も紹介しますので、春を気持ちよく過ごすためにも対策しておくとよいでしょう。
目次
春にメンタル不調になる原因とは?
春先は、メンタル不調になる人が増える季節といわれています。本来なら寒い冬が終わり、木々に花が咲き始めることから前向きな気持ちになるはずですが、季節の変わり目により逆に体調を崩しやすい時期でもあるのです。
春にメンタル不調になる主な原因としては、以下の4つが挙げられます。
生活環境の変化
人間にとって生活環境が変わることは、ストレスの大きな原因となります。4月は新たな年度になることから、慣れ親しんだ環境が大きく変わることで過度な緊張を感じる季節です。担当者が代わったり、新たな人との付き合いが始まったりなど、人間関係がメンタル不調を引き起こす可能性は十分にあります。
気温の寒暖差や気象病
朝晩の寒暖差が大きいこともメンタル不調につながる原因になります。また低気圧と高気圧が頻繁に入れ替わる季節でもあり、自律神経が変化についていけない人もいるでしょう。
気圧の変化によって頭痛が発生することはよく知られています。「気象病」と呼ばれる症状ですが、低気圧により血液中の酸素濃度が低下し、眠気や体のだるさを感じやすると言われています。
日照時間の変動
日照時間は、季節によって変動します。特に春は日照時間が長くなり始めるため、朝早く目が覚めてしまい、起きている時間がなくなって寝不足になることも考えられます。あるいは、昼寝をしてしまい、夜に眠れなくなることもあるでしょう。
睡眠不足で頭がさえなければ、メンタルにも悪影響を及ぼしかねません。
花粉症
春先に多くの人を悩ませる「花粉症」もメンタルに悪影響を与えます。花粉症にかかると免疫機能の働きが過剰になるため、体力を消耗して疲労を感じやすくなります。また花粉症の治療薬を服用する副作用で眠気が生じ、メンタル面でもテンションが下がることもあるでしょう。
これらの4つの原因に加えて、次に紹介する自律神経の乱れもメンタル不調の大きな原因になります。
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」がある
季節の変わり目にメンタル不調になる大きな原因として挙げられるのが、自律神経の乱れです。自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2種類があり、バランスをとって体の働きを調整しています。
「交感神経」と「副交感神経」の違いを知っておこう
交感神経は、主に仕事などで日中活動的に動いているときや緊張、ストレスを感じるときなどに心身を活発にします。一方の副交感神経は、眠っているときやリラックスしているときに働く神経で心身を休めて疲れを回復してくれるのが役割です。
基本的に交換神経と副交感神経は、平衡を保ち片方に偏って働くことがない状態を維持するのが理想といわれています。もし交感神経だけが高まった状態になると緊張によって体調不良になりやすく、副交感神経だけが高まると日中の活動に悪影響を及ぼしかねません。
自律神経の乱れによって起こる病気
自律神経の乱れによって起こる代表的な病気が「更年期障害」と「自律神経失調症」です。
更年期障害は、女性ホルモン(エストロゲン)が減少し、自律神経が乱れることによって起こる病気です。「頭痛」「めまい」「イライラ感」「不安感」といった症状などがあります。
一般的には、女性に多く起こる病気ですが、更年期障害になる男性もいます。男性の主な症状は「夜中に目が覚める」「仕事にやる気が出ない」「集中力・判断力・記憶力が低下する」などです。
もう一つの自律神経失調症は、ストレスなどが原因で自律神経のバランスが崩れ、さまざまな病状を引き起こすことを総称する言葉です。人は、なんらかの緊張やストレスを抱えて生きていますが、過度なストレスがかかった状態が長く続くと体が耐えられなくなり、自律神経失調症に陥る場合もあります。
メンタル不調と仕事の関係は?
メンタル不調になる原因は人によってさまざまですが、働いているかどうかでも違ってきます。なぜなら、例えば仕事上でノルマを背負っているとそれだけでもかなりのプレッシャーがあるからです。会社勤務であれば、対人関係が大きな心の負担になる人もいるでしょう。
厚生労働省が公表している「産業保健の現状と課題に関する参考資料」によると、労働者の業務に関連したストレスや悩みの原因のトップ5は以下の通りです。
- 1位:仕事の量(43.2%)
- 2位:仕事の質(33.6%)
- 3位:仕事の失敗・責任の発生(33.7%)
- 4位:対人関係(25.7%)
- 5位:会社の将来性(20.8%)
※複数回答 ストレスがある人を100として集計したもの
仕事がメンタル面に与える影響は大きいと言えるでしょう。しかし逆に、仕事をリタイアして年金生活になるとプレッシャーがなくなる代わりに生活が単調になり、出勤がないため規則正しい生活を送れなくなる可能性があります。加えて経済的な不安もあります。
メンタル不調を予防する方法
メンタル不調を予防するには、以下のような方法があります。できるかぎり実践したうえで、それでもメンタルに不調がある場合は医療機関を受診することが必要です。
バランスの良い食事を心がける
バランスの良い食事は、健康管理の基本です。食事には、副交感神経が活発になり身体がリラックスモードになる効果があります。逆に食事を抜くと交感神経が働いた状態が続くため、自律神経のバランスが崩れます。さらに「不規則な時間に食事する」「偏ったメニューの食事しかしない」といったことも自律神経の乱れを引き起こすため、避けるようにしましょう。
規則正しい生活で睡眠時間を十分にとる
人間は、人生の3分の1を寝て過ごします(睡眠時間8時間の場合)。そのため夜ふかし・朝寝坊を避け、規則正しい生活を送って十分な睡眠時間を確保しましょう。メジャーリーガーの大谷翔平選手の大活躍の源泉は「睡眠力」にあるといわれ、睡眠の重要性を口にしているアスリートは少なくありません。
それくらい睡眠は大事であり、良質な睡眠を十分にとることでリフレッシュされ、メンタル面にも好影響を与えることが期待できます。
軽い運動を行う習慣をつける
運動不足は、さまざまな病気の原因となりかねません。春先になれば日差しも暖かいため、外に出てジョギングやウォーキングなど軽い運動を行うとよいでしょう。屋内ならヨガなど無理のない範囲でできる運動もあります。
継続した運動を習慣づけることが大事ですが、例えば町内会などでラジオ体操を行っている場合は毎朝参加すれば習慣化できます。近所の方々とのコミュニケーションもとれるので一石二鳥でしょう。
趣味の時間でストレスを解消する
趣味に没頭している時間は、誰でも楽しいものです。これといった趣味がない人は、趣味になることを見つけるところから始めてみてはいかがでしょうか。
例えば好きな俳優が出演した映画のDVDを集めるなどコレクションを趣味にすることも一つの方法です。目標もできて生活に張り合いが出ます。趣味の時間を持つことは、ストレス解消には最適な方法です。
心理療法の治療を受ける
どうしても自力でメンタル不調が改善しない場合は、医療機関で心理療法を受けるのも1つの方法といえるでしょう。難しいのは、自分のメンタル不調がどの程度の状態なのか判断しづらいことです。生活に支障が出ている場合は、医療機関に行く判断もしやすいかもしれません。しかしそこまで重く感じられない場合は、放置してしまう人もいるでしょう。
メンタル不調が一定期間続く場合は、まず自分の状態を把握するために医療機関で受診してみることも大事です。「病は気から」という言葉もありますので、医師に症状を打ち明けるだけでも心が軽くなる場合があります。
メンタルを整えることが体調不良の防止につながる
本記事では、春先の季節の変わり目に起こるメンタルの不調について見てきました。環境の変化や気温の寒暖差、花粉症など季節的な要因で起こるメンタル不調もあります。メンタル不調の症状が重いと体調不良に結びつくケースもあるため、日ごろからストレスを軽減する生活を心がけることが大切です。
今までの生活習慣に問題がある場合は改善し、メンタルをきちんと整えることが体調不良の防止につながります。紹介した予防方法を参考にしてメンタルを整え、季節の変わり目を乗り切っていきましょう。