株式には、上場している株式と上場していない株式の2種類があります。
これらの株式をそれぞれ「上場株式」「非上場株式」というのですが、この2つの株式においては、それぞれ評価方法が異なるため、まずは、被相続人の所有していた株式が上場株式なのか、それとも非上場株式なのかを調べる必要があります。
そして、その株式の種類に応じて、適した評価方法にて評価額を計算しなければなりません。
上場株式とは
東京証券取引所などの証券取引所で、会社の株式が取り扱われることになることを、「上場」といい、その株式を発行している会社を「上場会社」、そして、上場会社が発行する株式のことを、「上場株式」といいます。
上場株式の評価方法
上場株式の時価は、証券取引所が公表している売買価格のうち、被相続人が亡くなった時点での取引価格になります。
また、証券取引所が休日などにより、被相続人が亡くなった時点での取引価格がわからない場合は、亡くなった日に一番近い日の取引価格を評価額とすることができます。
上記の価格を亡くなった月の価格、その前月の価格、その前々月の価格、そして毎日の最終価格の平均額と比較し、最も低い価格を評価額とすることもできます。
引用元:国税庁 「上場株式の評価明細書」
非上場株式とは
非上場株式とは、別名「取引相場のない株式」とも呼ばれ、その名のとおり、上場株式のように証券取引所で取り扱われていない、取引価格が形成されていない株式のことをいいます。
取引価格がないことから、評価をする場合は特定の計算方式に則って算出しなければなりません。
非上場株式の評価方法と判定
非上場株式の評価方法は2種類あり、1つは「原則的評価方式」、もう1つは「特例的評価方式」です。
2つの評価方式には、同族株主のいる場合とそうでない場合とで、それぞれ下記のような条件があります。
【同族株主のいる会社】
【同族株主のいない会社】
原則的評価方式
原則的評価方式を用いて株式の評価額を算出する場合は、会社規模・類似業種比準価額・純資産価額の3つの要素を計算しなければなりません。
会社規模の判定とそれぞれの評価方法
会社規模を判定する際には、従業員数・総資産価額・取引金額の3つの要素をもとに、会社の規模を大会社・中会社・小会社の3つに区分します。
大会社の場合は、類似業種比準方式にて評価をおこない、小会社であれば、純資産価額方式、そして中会社は、類似業種比準方式と純資産価額方式との併用方式となります。
総資産価額(帳簿価額) | 従業員数 | 取引金額 | 判定 | |||||
卸売業 | 小売・サービス業 | 卸売・小売・サービス業以外 | 卸売業 | 小売・サービス業 | 卸売・小売・サービス業以外 | |||
20億円以上 | 10億円以上 | 10億円以上 | 50人超 | 80億円以上 | 20億円以上 | 20億円以上 | 大会社 | |
14億円以上 20億円未満 |
7億円以上 10億円未満 |
7億円以上 10億円未満 |
50人超 80億円未満 |
50億円以上 | 12億円以上 20億円未満 |
14億円以上 20億円未満 |
0.90 | 中会社 |
7億円以上 14億円未満 |
4億円以上 7億円未満 |
4億円以上 7億円未満 |
30人超 50人以下 |
25億円以上 50億円未満 |
6億円以上 12億円未満 |
7億円以上 14億円未満 |
0.75 | |
7,000万円以上 7億円未満 |
4,000万円以上 4億円未満 |
5,000万円以上 4億円未満 |
5人超 30人以下 |
2億円以上 25億円未満 |
6,000万円以上 6億円未満 |
8,000万円以上 6億円未満 |
0.60 | |
7,000万円未満 | 4,000万円未満 | 5,000万円未満 | 5人以下 | 2億円未満 | 6,000万円未満 | 8,000万円未満 | 小会社 |
類似業種比準方式
業種の類似した上場会社の平均株価、1株あたりの配当金額、年利益金額、純資産価額などの要素を比較し、類似業種比準価額を算出します。
純資産価格方式
相続税評価額で評価した資産の金額から、負債の金額、法人税相当額を控除した金額を、発行済株式数で除して算出します。
会社規模 | 評価額 | |
大会社 | 類似業種比準価額 (純資産価額の方が低ければ、純資産価額) | |
中会社 | 大 | 類似業種比準価額×0.90+純資産価額×0.10 |
中 | 類似業種比準価額×0.75+純資産価額×0.25 | |
小 | 類似業種比準価額×0.60+純資産価額×0.40 | |
小会社 | ①純資産価額 ②類似業種比準価額×0.50+純資産価額×0.5 ※①と②のいずれか低い方 |
特例的評価方式(配当還元方式)
原則的評価方式のように会社規模などの要素ではなく、直近2年間の配当金額を元にした「配当還元価額」を用いて評価額を算出します。
算出の際は、直前期末以前2年間の平均を「年配当金額」とし、1株あたりの資本金等の額は1株50円換算をおこないます。
年配当金額÷10%×1株あたりの資本金等の額÷50円
まとめ
上場株式の場合は、取引相場があるため比較的簡単に評価額を計算することができますが、非上場株式の場合は、取引相場がないため、会社規模や株主の種類に応じて同業種の株価なども考慮しながら評価額を計算することもあります。
計算式も複雑になっているところがあるため、より専門的な知識が必要になります。
自分で評価することは非常に難しいため、株式の評価をする際は専門家である税理士に相談することをおすすめします。
(提供:相続サポートセンター)