法人カード,審査基準
(画像=PIXTA)

経費節約や決済の際に、大いに役立つ「法人カード」。お得なサービスや補償が備わったものも多いため、法人カードに憧れている経営者は多いだろう。ただし、法人カードの審査は決して甘くはないので、申し込みの前には審査対策を万全にしておくことが重要だ。

法人カードの審査は厳しい?経営者が押さえたい審査基準

まず前提として押さえておきたいのは、一般的なクレジットカードと法人カードの審査傾向は大きく異なる点だ。個人が利用する場合とは違い、法人カードの提供会社には常に「倒産」というリスクがつきまとうため、法人カードは個人用カードに比べて審査がやや厳しいとされている。

それにともなって、カード審査の「判断基準」も個人用カードとは変わってくる。細かい基準はクレジットカード会社によって異なるが、以下では経営者が特に押さえたい審査基準を解説していこう。

1.会社の設立年数

起業したばかりの法人は業績が安定しづらく、経営を維持する力があるとは言い切れない。また、少しのトラブルで経営が大きく傾いてしまうリスクも高いため、法人カードの審査では「会社の設立年数」が重要な判断材料になっている。

一般的とされている具体的な基準は、「会社を設立してから3年」だ。ただし、3年経過しているからと言って必ずしも審査に通過できるわけではないので、あくまでも目安のひとつとして意識しておこう。

2.経営状況

申込人の返済能力を判断するうえでは、「会社の経営状況」も重要な判断基準となる。たとえば、赤字経営が続いている会社は返済に回せる資金が限られているので、どうしても「返済能力が低い」と判断されてしまう。

経営状況に関しては、「黒字経営を続けていること」がひとつの目安だ。この部分を判断するために、法人カードの申込書には売上高などを記載する欄が設けられているケースが多い。

「会社の設立年数・経営状況」の2つは、法人カードの審査でも特に重要性が高いポイントとされているので、申し込みの前には強く意識しておこう。

3.経営者個人の信用性

ここまでは会社に関する判断基準を紹介したが、実は法人カードの審査では「経営者個人の信用性」もチェックされている。経営者個人の資産状況に問題があったり、過去に金融事故を起こしていたりするケースでは、審査に通過できる可能性がぐっと下がってしまう。

したがって、法人カードの申し込み前には、個人情報も一度整理をしておくべきだ。時間的に余裕がある場合は、経営者個人の資産状況や返済能力、過去の返済実績などを見直しておきたい。

赤字経営やブラックリスト入りでは難しい?

本記事を読み進めている読者の中には、「赤字経営では難しそう」「ブラックリストに入っているから…」のように悩んでいる経営者もいるだろう。ブラックリストとは、延滞をはじめとした過去の金融事故が、個人信用情報に掲載された状態のことだ。

では、赤字経営やブラックリスト入りの場合、法人カードを持つことはできないのだろうか。これらの点について、以下で詳しく解説していこう。

「経営不振」以外の理由がある場合は、赤字経営でも法人カードを持てる可能性が!

赤字経営に関しては、結論から言えば法人カードを持つことは不可能ではない。赤字経営にもさまざまな要因があるため、以下のようなケースに該当する場合は、審査に通過できる可能性がある(※確実に通過できるわけではない)。

○赤字経営でも法人カードを持てるケースの一例
・売上高自体は大きい
・節税対策のために、あえて接待費や出張費などを増やしている
・資本金が多い

つまり、赤字経営の原因を考えたときに、「税金対策」のように説明できる理由がある状況下では、赤字をそこまで悲観する必要はない。ただし、単なる経営不振が要因となる場合は、やはり審査に通過することは難しいので注意しておこう。

また、一般的な法人は資本金が多いほど資金力があるとみなされるので、特に設立から間もないケースでは「資本金の額」が重要になる点も合わせて理解しておきたい。

金融ブラックや申し込みブラックは基本的にNG!ただし、将来的には持てる可能性も

ブラックリストに入っている状態、いわゆる「金融ブラック」は、ほとんどのケースで審査に落ちてしまう。金融事故をはじめとした個人信用情報は、判断材料として特に重視されているためだ。

ただし、延滞記録や債務整理、代位弁済などの個人信用情報は、最長で5年間しか保存されない。自己破産についても、10年が経過すれば個人信用情報から削除されるので、一度ブラックリストに入っても5年~10年待てば法人カードを持てる可能性がある。

また、短期間のうちに複数のカード会社に申し込むと、多重債務を疑われて「申し込みブラック」として扱われる点にも要注意だ。申し込みブラックも基本的に審査には通過できないが、半年間申し込みをしなければその記録が削除される。

金融ブラックや申し込みブラックに該当する場合は、「その情報が消えるまで待つこと」が望ましい選択肢だろう。

法人カードの審査を通過する5つのコツ!ポイントを押さえて法人・個人の信用力をアップ

ここからは、法人カードの審査を通過するためのコツを解説していく。実際の審査内容はカード会社によって異なるが、それでも審査にはある程度の傾向があるため、事前に対策を立てておくことは可能だ。

少しでも通過する可能性を高めるために、以下で紹介するコツはしっかりと理解しておこう。

1.申し込むタイミングを意識する

法人・個人の信用性は、申し込みを行う時期によって変わってくる。たとえば、設立してから2年目の企業や、翌年に繁忙期を迎える企業などは、申し込みのタイミングを少し遅らせたほうが審査を有利に進められるだろう。

つまり、法人カードの審査においては、「待つこと」も効果的な対策になり得る。何かしらの不安材料を抱えている経営者は、状況が改善してから申し込むことも検討してみよう。

2.固定電話を引く

携帯電話が広く普及した現代では、「固定電話回線を持っていない」という経営者も多いはずだ。特に1人で経営をしていたり、個人事業主であったりする場合は、固定電話がなくても事業をスムーズに進めやすい。

しかし、法人カードの審査においては、事業用固定電話の有無が重視されるケースが多い。たとえば、申し込み用紙の電話番号を記載する欄に、携帯電話の番号しか書けなかった場合には、それだけで信用性が下がってしまう恐れがあるのだ。

したがって、申し込みまでに時間の余裕がある経営者は、IP電話でも構わないので固定電話回線を用意しておきたい。

3.使っていないクレジットカードを解約する

クレジットカードは決済に便利であり、カードごとに異なるサービスが用意されているため、つい作り過ぎてしまう方も多いだろう。しかし、法人カードで利用できる「限度額」は、経営者個人が所有するクレジットカードをすべて合算して設定されるので、所有カードが多いほど限度額が下がり「返済リスクも高い」と判断されてしまう。

したがって、どうしても持ちたい法人カードがある場合には、使っていないクレジットカードを事前に解約することがポイントだ。複数のカードを持ち歩いている経営者は、これを機に各カードの使用状況を見直してみよう。

4.所有するクレジットカードのグレードをアップする

一般ランクのクレジットカードに比べて、高いグレードのカードは限度額が高めに設定されている。また、一般ランクより審査も厳しいので、「グレードが高いカードを持っていること」は個人の信用力につながる。

そのため、現在所有しているクレジットカードのグレードをアップすれば、審査に良い影響を与えられる可能性がある。すでに一般ランクのカードを持っている経営者は、ゴールドカードやプラチナカードにグレードアップすることを検討してみよう。

5.カード会社が直接実施するプロモーションで申し込む

駅や空港などの人の行き来が多い場所で、クレジットカードのプロモーションが実施されている光景を見たことはないだろうか。一般的なプロモーションでは、スタッフがサービスなどを積極的にアピールしており、興味を持った通行人はその場ですぐに申し込みができる。

実はこのプロモーションは、法人カードを持ちたい経営者にとって貴重なチャンスとなり得る。一概には言えないが、プロモーションでは営業担当にノルマが課されているケースが多いため、審査で優遇される可能性もゼロではないのだ。

カード会社に対してこだわりがない場合は、プロモーションを積極的に活用する方法もひとつの審査対策になるだろう。

カード会社選びも大切なポイント!審査を意識した会社の選び方

審査対策を意識するのであれば、クレジットカード会社の選び方も重要なポイントになる。前述でも触れた通り、カード会社によって審査の傾向はやや変わってくるため、申し込み先は安易に決めるべきではない。

カード会社選びで特に押さえておきたいポイントとしては、以下の点が挙げられる。

○カード会社選びで押さえたいポイント
・申し込める条件が厳しくない
・ステータスが高すぎない
・独自の審査基準を採用している

クレジットカードには申し込み条件が設定されているが、この条件はカード会社によって大きく異なる。会社の設立年数を例に挙げると、設立から間もない法人が申し込めるカードも実は存在している。申し込み条件は各カード会社のホームページなどで公開されているため、審査に自信のない経営者は、情報収集をしたうえで条件を満たせるカード会社を選ぶ方法もひとつの手段だ。

また、審査の不安材料が多い場合には、ステータスが高すぎず独自の審査基準を採用しているクレジットカードも検討しておきたい。たとえば、外資系のクレジットカード会社は国内企業とは異なる点を評価する傾向にあるため、数々の審査に落ちてしまった法人であっても、外資系であれば通過できる可能性がある。

なかなか審査に通過できない経営者は、一般的なクレジットカード会社とは異なる特徴を持った会社にも目を向けてみよう。

申し込みブラックを避けるために、審査対策は万全に

一般的なクレジットカードとは違い、法人カードでは会社の設立年数・経営状況も審査基準に含まれる。経営者個人に問題がなくても、経営面に難があれば評価は下がってしまうので、今回解説したコツやポイントはしっかりと押さえておきたい。

また、クレジットカードに申し込むかどうかは自由だが、短期間で繰り返すと「申し込みブラック」になる点には要注意だ。一度の申し込みで審査を通過できるように、事前の対策は万全にしておこう。

文・THE OWNER編集部