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一家の大黒柱が亡くなると、残された家族は遺族年金をもらえる場合があります。

しかし、家族であれば必ずもらえるというものではなく、様々な条件があります。

第一の条件として、「亡くなった方に生計を維持されていた」という条件があります。

遺族年金は、家族を養っていた方が亡くなった後、養われていた家族の生活を支援するためのものです。

したがって、家族であっても亡くなった方とは別に生計を営んでいた方は遺族年金の対象にはなりません。

それを前提として、亡くなった方がどの年金制度に加入していたのかや、家族の続柄や年齢などによって遺族年金がもらえるかどうか、もらえる金額、いつまでもらえるかなどが決まってきますが、そのシステムは複雑です。

この記事では、一家の大黒柱にもしものことがあった場合に、残された家族はどの遺族年金がもらえるのかについて、要件やもらえる金額、いつまでもらえるのか等を解説していきます。

あなたはどの遺族年金がもらえる?チャートで確認しよう

遺族年金がもらえる場合でも、要件によってどの遺族年金をもらえるのかが異なってきます。

どの遺族年金にも細かい要件があり、そのすべてを理解するのは大変です。

そこで、最初にご自分がどの遺族年金に該当するのかをおおまかに確認できるチャートを用意しました。

まずはこのチャートでどの遺族年金がもらえるのかを確認した上で、後の解説をお読みいただければと思います。

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チャートの中には遺族年金がもらえない場合の救済策として支給される「寡婦年金」と「死亡一時金」も含まれていますが、この2つについては別の記事で解説します。

以下では、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2つについて、さらに詳しく解説を進めます。

遺族基礎年金

遺族基礎年金とは、国民年金に加入していた故人が、受給要件を満たしている場合に、残された家族に支給されるものです。

どんな場合に遺族基礎年金を受け取れるかについては、上のチャートにも書いてありますが、さらに細かい要件もあるのでご説明していきます。

亡くなった方と受け取れる方のそれぞれについて要件が定められているので、みていきましょう。

亡くなった方についての要件

遺族基礎年金を受け取るためには、亡くなった方が以下のいずれかの要件を満たしている必要があります。

① 国民年金に加入中だった
② 国民年金に加入していた60歳以上65歳未満の人で日本国内に住所がある
③ 老齢基礎年金を受給中だった
④ 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていた

①か②に該当する場合は、保険料の納付状況にも注意が必要で、以下の2つの条件のいずれかを満たしていなければなりません。

亡くなった日より2ヵ月前までの加入期間のうち、保険料納付済み期間(保険料免除期間を含む)が3分の2以上あること ・2026年(令和8年)3月31日までは、亡くなったときに65歳未満の人については亡くなった日の2ヵ月前までの1年間に保険料の滞納がないこと

受け取れる方についての要件

遺族基礎年金を受け取れる家族は、亡くなった方に生計を維持されていた「子どもがいる配偶者」または「子ども」です。

「生計を維持されていた」という要件を満たすためには、原則として亡くなった方と同居していて、遺族の前年の収入が850万円未満または所得が655万5千円未満であることが必要です。

ただし、別居していても仕送りを受けている、健康保険の扶養親族であった等の場合はこの要件を満たします。

ここでいう「子ども」は以下の2つの条件のいずれかを満たす子どもで、結婚していない場合に限られます。

18歳に到達した年度の末日(3月31日)までの子ども ・20歳未満で障害年金の障害等級が1級か2級の子ども この条件を満たす「子ども」がいない配偶者は、遺族基礎年金を受け取ることはできません。

ただし、要件を満たせば寡婦年金か死亡一時金のいずれかを受け取ることができる場合があります。

受け取れる年金額(年額)

遺族基礎年金の支給額は780,100円が基礎となります。

ただし、この金額は平成31年4月現在の「満額」です。

今後改正されることもありますし、亡くなった方の加入期間や保険料の納付状況によって減額されることもあるのでご注意ください。

受け取れる年金額は、780,100円を基礎として、そこに子どもの人数に応じて加算があります。

【子どもがいる配偶者が受け取る場合】
780,100円+子の加算額
【子どもが受け取る場合】
780,100円+2人目以降の子の加算額
子の加算額は、加算される1人目と2人目がそれぞれ224,500円ずつ、3人目以降は1人あたり74,800円です。

子どもが受け取る場合は、全員の分を合計して人数で割った金額が1人当たりの受給額となります。

遺族厚生年金

遺族厚生年金とは、亡くなった方が会社員や公務員で厚生年金に加入していて、受給要件を満たしている場合に、残された家族に支給されるものです。
遺族基礎年金に上乗せして支給されます。

亡くなった方についての要件

遺族厚生年金を受け取るためには、亡くなった方が以下の①から⑤のうちいずれかの要件を満たしている必要があります。

【短期要件】

・ 厚生年金に加入中だった
・ 厚生年金に加入中に初診を受けた傷病により初診日から5年以内に亡くなった
・ 障害等級1級または2級の障害厚生年金の受給権者だった

【長期要件】

・ 老齢厚生年金を受給権者だった
・ 老齢厚生年金の受給資格期間を満たしていた

①か②に該当する場合は、保険料の納付状況にも注意が必要で、以下の2つの条件のいずれかを満たしていなければなりません。

亡くなった日より2ヵ月前までの加入期間のうち、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あること
・2026年(令和8年)3月31日までは、亡くなったときに65歳未満の人については亡くなった日の2ヵ月前までの1年間に保険料の滞納がないこと

受け取れる方についての要件

遺族厚生年金を受け取れる家族は、亡くなった方に生計を維持されていた方のうち、以下の要件を満たす方です。

番号が若いほど優先順位が高く、先順位の方がいれば高順位の方は遺族厚生年金をもらうことはできません。

①  配偶者または子ども
遺族基礎年金と異なり、子どもがいない配偶者も遺族厚生年金を受け取ることができます。

ただし、配偶者のうち夫については55歳以上である場合に限られます。
また、受給する配偶者が30歳未満の妻である場合は、受給期間が5年間に限られます。

「子ども」の要件は遺族基礎年金の場合と同じです。

子どもがいる配偶者と「子ども」は遺族基礎年金も合わせて受給することができます。

②  55歳以上の父母
ただし、支給されるのは60歳になってからです。

③  孫
「子ども」と同じ要件を満たす必要があります。

④  55歳以上の祖父母
ただし、支給されるのは60歳になってからです。

受け取れる年金額(年額)

遺族厚生年金の支給額は、遺族基礎年金のように定額ではありません。

亡くなった方が厚生年金に加入していた期間中の収入や納付月数などに基づいて計算されます。

計算方法は原則として次の【1】のとおりですが、【2】の計算方法で計算した方が金額が高くなる場合は、そちらの金額が支給額となります。

【1】

平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの被保険者期間の月数・・・①

平均標準報酬月額×5.481/1000×平成15年4月以降の被保険者期間の月数・・・②

(①+②)×3/4=遺族厚生年金支給額

【2】

平均標準報酬月額×7.5/1000×平成15年3月までの被保険者期間の月数・・・①

平均標準報酬月額×5.769/1000×平成15年4月以降の被保険者期間の月数・・・②

(①+②)×1.000(※)×3/4=遺族厚生年金支給額

※昭和13年4月2日以降に生まれた方については0.998で計算します。

計算方法が大変複雑なので、支給額の目安を掲げておきます。

以下の金額は概算による目安なので、実際の正確な金額については年金事務所や年金ダイヤルなどでご確認ください。

支給額はいずれも年額で、単位は円です。

平均標準報酬月額 遺族基礎年金
遺族厚生年金 遺族基礎年金+遺族厚生年金
妻のみ 妻と子1人 妻と子2人
20万円 324911 324911 1337711 1564011
25万円 406139 406139 1418939 1645239
30万円 487366 487366 1500166 1726466
35万円 568594 568594 1581394 1807694
40万円 649822 649822 1662622 1888922
45万円 731050 731050 1743850 1970150
50万円 812277 812277 1825077 2051377
55万円 893505 893505 1906305 2132605
60万円 974733 974733 1987533 2213833

遺族年金の請求方法

遺族年金は自動的に支給されるものではなく、遺族が請求する必要があります。

遺族基礎年金のみを受給する場合は亡くなった方の住所地の市区町村役場で、遺族厚生年金を受給する場合は年金事務所または街角の年金相談センターで請求の手続きを行います。

手続に行く際には、以下の必要書類を揃えて持参しましょう。

・年金請求書
・年金手帳(故人の分と請求者の分の両方)
・年金証書
・恩給証書
・戸籍謄本(亡くなった日以降のもの)
・請求者の本人確認書類(健康保険証など)
・世帯全員の住民票の写し(生計維持の証明のため)
・亡くなった方の住民票除票(世帯全員の住民票しに含まれている場合は不要)
・死亡診断書のコピー
・請求者の収入が確認できる書類(所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票など)
・子の在学証明書または学生証など(中学生以下の子については不要)
・年金の受け取りを希望する預金口座の通帳、印鑑など

事情によっては他にも書類が必要となる場合もあります。

詳しくは窓口で確認してください。

年金請求書の書き方

「年金請求書」は年金事務所で受け取るか、日本年金機構のホームページからダウンロードして入手することができます。

遺族基礎年金のみを請求する場合と遺族厚生年金を請求する場合で様式が違いますが、遺族厚生年金を請求する場合の様式を例として掲げておきます。

請求書の正式名称は「年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)」といいます。

記入するページは5枚あります。

年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)

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引用元:https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todoke/izoku/20180305.files/105.pdf 1枚目には、亡くなった方と請求者に関する情報や受け取り口座、生計を同じくしている子についての情報を記入します。

公的年金等

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引用元:https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todoke/izoku/20180305.files/105.pdf 2枚目には、現在受給している公的年金があれば記入します。

「履歴」の欄には何も書かずに提出して構いません。

公的年金の加入履歴は役所の方で把握しているので、その情報をプリントアウトしたものに署名捺印をして添付するのが一般的です。

死亡原因や受給資格

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引用元:https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todoke/izoku/20180305.files/105.pdf 3枚目には、亡くなった方の死亡原因や受給資格について詳しく記入します。
内容が複雑な項目もあるので、分からないところは適当に記入せず、窓口で質問しながら正確に記入しましょう。

生計維持証明書

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引用元:https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todoke/izoku/20180305.files/105.pdf 4枚目は「生計維持証明書」になります。
収入関係については、所得証明書などの証明書類も提出することになるので、正確に記入してください。

機構独自項目

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引用元:https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todoke/izoku/20180305.files/105.pdf 5枚目は「機構独自項目」です。
細かい項目が多いですが、適当に記入せず、窓口で質問しながら正確に記入しましょう。

年金の選択と併給

遺族年金を受給していた人が自身の老齢年金も受給できる年齢になった場合など、1人の方が複数の年金の受給資格を満たす場合があります。

公的年金は原則として1人につき1つの年金しか受給することができず、複数の年金の受給資格を満たす場合はいずれか1つの年金を選択しなければなりません。

もっとも、以下のケースではそれぞれ支給事由が共通するため「1つの年金」とみなされ、あわせて受給することができます。

・遺族基礎年金と遺族厚生年金
・老齢基礎年金と老齢厚生年金
・障害基礎年金と障害厚生年金

これに対して、以下のケースでは支給事由が異なるため併給することはできず、いずれかを選択しなければなりません。

・遺族厚生年金(遺族基礎年金を含む)と障害厚生年金
・遺族厚生年金(遺族基礎年金を含む)と旧厚生年金の遺族年金
・(65歳前)遺族厚生年金(遺族基礎年金を含む)と特別支給の老齢厚生年金

以下のケースは、特例的に併給することができます。

遺族厚生年金と老齢基礎年金
ただし、遺族基礎年金は支給されません。

遺族厚生年金と障害基礎年金
ただし、遺族基礎年金は支給されません。

遺族厚生年金と老齢厚生年金
遺族厚生年金の方が老齢厚生年金より高額の場合は、その差額が遺族厚生年金の支給額となります。

遺族厚生年金より老齢厚生年金の方が高額の場合は、遺族厚生年金は全額支給停止となります。

複数の年金を受けられるようになった時の手続

年金は、受給権者が請求することで初めて支給されるものです。

現在受給している年金をそのまま受給し続ける場合でも、新たに受給できるようになった年金の請求手続が必要です。

その上で、複数の年金のうちどれを受給するか選択する必要がある場合は「年金受給選択申出書」を提出しましょう。

なお、選択しなかった年金も支給停止となるだけで、受給する権利はそのまま残ります。

したがって、選択した年金よりも支給停止とした方の年金の方が有利な状況となった場合は、選択替えをすることができます。

選択替えの手続は、改めて「年金受給選択申出書」を提出します。

遺族年金はいつまでもらえる?

遺族年金は、必ずしも終身もらえるわけではありません。

様々な受給権消滅要件があるので、まとめておきます。

一般的な要件

・死亡したとき
・結婚したとき

法律上婚姻はもちろん、事実婚も含まれます。

・亡くなった方と養子縁組していた方が離縁をして親族関係が終了したとき
・直系血族以外の方、直系姻族以外の方と養子縁組をしたとき

事実上の養子縁組も含まれます。

子・孫に関する要件

・18歳到達年の年度末(3月31日)を経過したとき
・障害等級1級または2級の子・孫については20歳になったとき、もしくは20歳未満で障害等級1級または2級に該当しなくなったとき

父母・孫・祖父母に関する要件

亡くなった方が死亡した当時に胎児であった子が出生したとき

妻に関する要件

・夫が亡くなったときに30歳未満であった「子のいない妻」については、遺族厚生年金を受給できるようになってから5年を経過したとき
・夫が亡くなったときに30歳未満であった「子のいる妻」については、30歳になる前に遺族基礎年金の受給権が消滅した場合は、そのときから5年を経過したとき

まとめ

遺族年金は、受給する権利があっても請求しなければ受け取ることはできません。

したがって、自分の場合はどの遺族年金をもらえるのかについて、この記事を参考に確認していただければ幸いです。

もらえる金額のシミュレーションや、その他分からないことがあれば、放置せずに年金事務所や街角の年金センターに相談して、適切に遺族年金を受給しましょう。
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