大切な家族や身近な親族などの方が亡くなると、迷う暇もなく葬儀の準備を始めなければならなくなります。
ゆっくり考えている時間がないため、わずかな時間で葬儀の細かな内容まで決めなければなりません。
慌てずに準備を進めていけるよう、あらかじめその流れを知っておきましょう。
葬儀や法要の方法にはさまざまな方法がある
葬儀や法要といって一般的にイメージされるのは、仏式といって仏教の考えにもとづいた方法によるものだと思います。
しかし、その亡くなった人の信仰によっては神道にもとづいた神式、キリスト教の考えにもとづいたキリスト教式などさまざまな方法があります。
ここでは、もっとも一般的にイメージされると思われる仏式の葬儀・法要について説明していきます。
喪主とは何をする人なのか、誰が喪主になるのか
喪主とは、葬儀の内容をとりまとめ、僧侶や会葬者など来場者への対応を行う人です。
葬儀を行う際には、必ず喪主を決めなければなりません。
喪主が行うべき特に重要な役割は、以下のようなものがあります。
儀全体の監督
喪主は葬儀に関する最終決定者となります。
そのため、葬儀の形式や日時、費用に関することを決めていきます。
ただし、喪主だからといってすべて一人で決めてしまうと、トラブルの原因となるため必ず他の親族・関係者と話し合って決めるようにしなければなりません。
また、葬儀当日は決めたとおりに進行しているか、その状況をチェックしなければなりません。
さまざまな挨拶
通夜式や告別式の中では、喪主として挨拶をする場面が何度かあります。
おもな場面としては、僧侶の方が到着した時やお布施を渡す時、会葬者に対して受付をする時、出棺時、精進落としの開式や閉式の時などがあります。
院への連絡
檀家となっているお寺やお付き合いのあるお寺に連絡を取り、葬儀の日程について打ち合わせを行います。
また、亡くなった人やその家族が寺院とのお付き合いのない場合は、寺院を探して手配するところから始めなければなりません。
寺院を手配するためのサイトなどもあるほか、周辺の人から情報を得るなどして、寺院への連絡を早めに行う必要があります。
儀会社の選定
葬儀会社を最終的に選定するのも喪主の役割です。
亡くなった病院などで紹介してもらうことも可能ですが、割高になってしなうこともあります。
できれば複数の会社から見積もりを取るなどして料金を比較するほか、葬儀を行う時間などの条件についても違いを確認しておきましょう。
誰にどのタイミングで連絡するといいのか
危篤状態になって、いつ亡くなってもおかしくないような状況になった場合には、家族や特に近しい親族や友人、仕事上の付き合いがあった人などの中から連絡をする範囲を決めて、知らせるようにしましょう。
こうすることで、実際に亡くなった時にも連絡はつきやすくなりますし、連絡を受けた人も慌てずに準備をすることができます。
また、実際に亡くなった時に誰にどのタイミングで連絡するのかについては、家族や親族とも相談しながら決めるようにしましょう。
法要のスケジュールについて
仏式で行われる場合、亡くなった直後に通夜式や告別式を行いますが、その流れで初七日法要が行われることもあります。
また、その後は四十九日、一周忌、三回忌、七回忌……という形で法要が行われるのが一般的です。
ただし、地域や宗派などによっても違いがあるため、その慣習に従うべきということがいえます。
喪主一人の判断だけではなく、家族や親族とも相談していつまで法要を行うのか、そして誰に連絡するのかを決めておく必要があります。
葬儀にいくらくらいかかるのか
葬儀に多くのお金がかかると考えている人は多いと思いますが、実際の金額まで知っている人は少ないと思います。
そこで、葬儀にはどのようなお金がかかるのか、そしてその金額はいくらくらいになるのかを知っておくと、葬儀の際に慌てずに済むことでしょう。
葬儀に要する費用⑴葬儀そのものにかかる費用
葬儀そのものにかかる費用には、棺や祭壇などの仏具、祭壇周りの花代や写真代、式場の設営や運営にかかる人件費、式場の利用料、火葬場での火葬にかかる費用、遺体を病院から葬儀会場まで搬送する費用、同じく葬儀会場から火葬場まで搬送する費用など、数多くの費用がかかります。
これらの費用は、ほとんどが葬儀会社に対して支払われるものです。
葬儀に要する費用⑵寺院などにかかる費用
一般的にお布施と呼ばれるものです。
通夜式や告別式でお経をあげてもらう際の費用、戒名をつけてもらったことへの費用がその主な内容となります。
寺院によって、あるいは宗派によってその金額には大きな違いがありますが、ほとんどのケースでは、実際に依頼しないとその金額がいくらになるのか分かりません。
葬儀に要する費用⑶食事やおもてなしにかかる費用
通夜式や告別式の後に、通夜振る舞いや精進落としとして料理を提供します。
また、火葬場では火葬が終わるまで時間がかかるため、その間に飲み物やお茶菓子などを準備します。
葬儀に参列した人への会葬御礼、香典をもらった人に対する香典返しなども必要となります。
葬儀に要する費用の平均額はいくらくらいなのか
葬儀に要する費用の内訳は、3つに分けることができました。
それでは、実際にそれぞれの費用はいくらくらいかかるのでしょうか。
ここに、葬儀についてのアンケート調査による葬儀の平均額を紹介します(一般財団法人日本消費者協会調べ)。
葬儀費用 | 寺院費用 | 飲食接待費用 | 合計 | |
全国平均 | 121.4万円 | 47.3万円 | 30.6万円 | 195.7万円 |
葬儀全体では、平均200万円弱の金額が必要となることが分かります。
ただし、葬儀の規模や葬儀会場の内容などによってその金額は大きく変わります。
あらかじめこの金額を頭に入れておいたうえで、実際のどれくらいの規模の葬儀を行うのか考えていきましょう。
また、葬儀費用をどのようにして準備しておくかを考えておくことも必要でしょう。
葬儀・法要のおおまかな流れ
家族や親族が亡くなってからは、さまざまな手続きを一連の流れで進めていく必要があります。
ここではそのおおまかな流れを説明します。
葬儀・法要にいたるまでの流れ
⑴臨終を迎えたとき
入院していた時は、医師から死亡が告げられます。
また、自宅で亡くなった場合には、医師に来てもらうか救急車で病院に搬送します。
また、持病がなく突然死や事故の可能性がある場合には、警察にも連絡しなければなりません。
このような状況の中ですが、家族や親族にはすぐに連絡しておきましょう。
また、寺院への連絡も早めにしておくといいでしょう。
⑵遺体の搬送
病院で亡くなった場合、速やかに搬送することを求められます。
まずは葬儀会社に連絡し、搬送の手配を行う必要があります。
葬儀会社をすでに決めている場合には、その会社に連絡を入れ自宅か葬儀会場へ搬送してもらいます。
葬儀会社をまだ決めていない場合には、いったん遺体の搬送だけを依頼することができるため、自宅に搬送してもらいましょう。
葬儀会社の選定は、自宅に戻ってから行うことができます。
また、病院を出発する前に、担当の医師に死亡診断書を作成してもらいます。
また、このタイミングで病院での費用の精算を求められることもあるため、支払の準備をしておきましょう。
⑶葬儀の打合せ
葬儀会社を選定したら、通夜や葬儀・告別式についての打合せを行います。
喪主を決めたら、その喪主が中心となって日時、式場の設備、準備するものの数、式の内容などを決定します。
打ち合わせが終わって式の詳細が決定したら、勤務先や関係者、すべての親族や近隣の人などに連絡をします。
これらの過程をすべて終えるのは、亡くなった日の翌日あるいは翌々日の午前中となることが多いと思います。
亡くなってからあっという間に時間が過ぎていきます。
葬儀当日から納骨までの流れ
⑴通夜
通夜としての日時を連絡しているため、友人や勤務先などの関係者が通夜に列席することも多いと思います。
本来は夜通し別れを惜しむ式という意味合いがありましたが、葬儀会場で行われる場合、防犯上の理由もあって、夜通しの通夜として行われることは少ないと思われます。
⑵葬儀・告別式
亡くなった人を送る儀式として、そして会葬者が別れをする儀式として行われます。
その進め方は、宗派や寺院によって多少の違いがあります。
葬儀・告別式を終えると、火葬場で火葬されます。
この際、市区町村の窓口で交付された火葬許可証が必要となります。
火葬を終えると、火葬場で埋葬許可証が交付されます。
⑶納骨
仏式の場合、四十九日が経過したら納骨が行われることが多いようです。
お墓に納骨する際には、埋葬許可証が必要です。
この時、お墓がない場合はお墓を購入するか、永代供養とするのかといった検討も必要です。
家族葬 | 親族や親しい友人のみで行う葬儀 |
一日葬 | 通夜を行わず告別式と火葬のみ行う |
直葬 | 火葬のみを行う |
このほか社葬、自宅葬、密葬などの方法もあります。
もし希望する方法がある場合は、生前に家族などに伝えておく必要があります。
葬儀会社の選び方
最後に、葬儀会社の選び方について考えてみましょう。
葬儀会社や葬儀場の数は以前に比べてかなり増えているため、どのようにして選んだらいいか分からない人が増えています。
また、金銭面や葬儀当日の式の内容に不満を持つことも少なからずあるため、事前に情報を得るようにしておきましょう。
葬儀会社の形態について
葬儀会社といっても、その運営会社や運営形態によってさまざまな種類があります。
葬儀専門業者 | 多くはその地域ごとに複数の葬儀会場を持つ業者ですが、単独の葬儀会場だけで運営されている場合もあります。また、家族葬専用など多様化する葬儀の種類に特化した専門業者もあります。 |
冠婚葬祭互助会 | 生前に掛金を積み立てておき、亡くなった時にはその掛金を取り崩して葬儀費用に充てることができます。ただし、途中解約する際には手数料がかかることが多いため注意が必要です。 |
JA(農業協同組合) | 農業協同組合の組合員でなくても利用することができます。また、葬儀会社の紹介や業務委託を行っているところもあります。利用する際には、実際にどの業者と契約したのかを間違えないようにしましょう。 |
生活協同組合 | 原則として生活協同組合の組合員のみが対象となります。分かりやすい料金体系により、葬儀会社と連携してサービスの提供を行っています。 |
その他の業種からの参入 | 葬儀の情報をインターネットサイトで提供している業者があるため、そのサイトを利用して葬儀会社を比較したり実際に申し込みを行ったりすることができます。 |
葬儀会社を選ぶ際の注意点
特定の葬儀会社を決めていない場合、一番いいのは複数の葬儀会社から見積書を取り寄せることです。
すると、葬儀にかかる費用の額や担当者の対応を確認することができます。
また、質問に対して明確に答えてくれるかどうか、契約を強引に取ろうとしないかなど、その対応を比較しながら確認しましょう。
葬儀が始まると、そのすべてを葬儀会社に託すこととなるため、できるだけ慎重に判断するようにしましょう。
まとめ
葬儀に参列したことはあっても、喪主として式に参加したことのある人はそれほど多くないと思います。
身近な人が亡くなると、わずかな時間の間にあらゆる準備をしなければならないため、いろいろなことをゆっくり考えている時間はないかもしれません。
そのため、亡くなる前に本人の希望も聞きながら、あらかじめ葬儀や埋葬の話をしておくといいでしょう。
このような話をすることは決してタブーではなく、本人の希望に沿った葬儀・告別式を行うために重要なことなのです。
(提供:相続サポートセンター)