矢野経済研究所
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2022年度のパチンコ関連機器市場規模は前年度比103.4%の7,638億円

~スマート遊技機の導入開始に伴い、新たな設備機器需要が発生~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のパチンコ関連機器市場を調査し、現況、製品セグメント別の市場規模、メーカー動向、将来展望を明らかにした。

パチンコ関連機器市場規模推移

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1.市場概況

2022年度のパチンコ関連機器(パチンコ機、パチスロ機、周辺設備機器)の市場規模は7,638億円(メーカー売上金額ベース)となり、前年度比で103.4%、約248億円のプラスとなった。大分類別(パチンコ機、パチスロ機、周辺設備機器)ではパチンコ機の市場規模は4,105億円(前年度比94.5%)、パチスロ機は2,794億円(同107.8%)、周辺設備機器は737億円(同162.8%)となり、パチンコ機市場は微減で推移したものの、パチスロ機市場と周辺設備機器市場は拡大した。

2022年度のパチンコ機市場は、2021年度に発生した新規則機への入替特需が終了し、パチスロ機好調の影響もあってパチンコ機市場は微減から横這いに転じた。
一方、パチスロ機市場では、6月から登場した6.5号機とスマートパチスロ※(以下、スマスロ)が11月から導入されたことによって、店舗のパチスロ部門の業績が大きく回復した。パチスロ主力機の稼働実績が立て続けに好調であることから、パチンコホール経営企業の購買マインドはパチンコ機からパチスロ機に大きく傾くこととなった。
​経年劣化した設備のリプレイス需要に留まっていた周辺設備機器市場については、メダル補給システムと台間玉貸機が前年度実績を割り込んだが、その他の周辺設備機器市場は拡大している。スマスロの導入が開始され、スマート遊技機では必須となる専用ユニットという新たな周辺設備機器が登場した。専用ユニットはスマスロの稼働開始に先駆けて2022年10月から導入が始まり、半年間で台間玉貸機と台間メダル貸機の市場規模を大きく上回る規模となった。また、専用ユニットの導入に付随する形で、島工事や景品POSなど様々な設備機器の入れ替え需要が発生したことも、周辺設備機器市場の拡大に繋がっている。

※「スマートパチンコ(スマパチ)」とは、遊技機の内部に遊技球を封入して循環させることで、遊技球に直接触れることなく遊技できるパチンコ機。「スマートパチスロ(スマスロ)」は、遊技メダルを電子データ化することで、物理的な遊技メダルを使用せずに遊技できるパチスロ機。共に、内規変更によって従来機と比較してスペック設計の幅が広がり、多様なゲーム性を持つスマート遊技機の開発が可能になる。

2.注目トピック

パチスロの復調が鮮明に、設置シェアも上昇に向かう

2022年度から新たに登場したパチスロ6.5号機とスマスロの業績が好調に推移したことで、パチンコホール経営企業はパチスロ部門に投資を集中させる動きを強めている。2022年11月から市場に投入されたスマスロは、当初から良好な稼働実績を示した。2023年度においてもこの傾向は続いており、新たに登場した有力パチスロ新機種が継続して一定の実績を残したことで、パチスロ部門への投資意欲を決定付けたものと考えられる。
一方、スマートパチンコ(以下、スマパチ)については、2023年4月から導入開始となったが、導入された機種の稼働実績は今一つと言わざるを得ず、滑り出しが非常に好調であったスマスロと明暗が分かれる結果となっている。スマパチは登場して間もないため、普及ペースはこれからの新機種の稼働実績次第とも言えるが、パチンコホール経営企業の導入意欲は急激に低下している。

2023年初頭時点で、店舗内のパチンコ機とパチスロ機の設置比率は、4号機時代とほぼ同等の6対4程度となっていた。現在、パチンコ機よりもパチスロ機の稼働実績がより好調である点を踏まえれば、パチスロ機の設置比率が上昇する可能性も考えられる。
足元では、実際にスマスロを中心としてパチスロ機増台の動きも出てきており、これに合わせて、遊技機販売も徐々にパチスロ機の比重が高まっていくだろう。 

3.将来展望

2023年度はパチンコ機からパチスロ機への遊技客流出が顕著となり、店舗のパチスロ部門が活性化する一方で、パチンコ部門は急激に低迷することになった。僅か1年間ほどでこれまでのトレンドが逆転し、パチンコホール経営企業はパチスロ部門への投資を強化して、パチンコ減台、パチスロ増台の動きが表れた。
​当面、スマスロを中心にパチスロ部門への投資が継続すると見られるが、現在は低迷しているスマパチにおいても、今後登場する新機種によっては一気に普及が進む可能性も十分残されている。
スマスロからスマパチ、スマパチからスマスロの転換では、専用ユニットの入れ替えが必要無いため、スマスロからスマパチへと遊技客のトレンドが移り変わった場合でも、ホール側では素早い対応が可能になる。スマート遊技機の普及によって、これまでにないスピード感でトレンドが移り変わっていく可能性があると考える。

調査要綱


1.調査期間: 2023年6月~8月
2.調査対象: 遊技機(パチンコ機、パチスロ機)メーカー、周辺設備機器メーカーほか
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用
<パチンコ関連機器市場とは>
パチンコ関連機器市場とは、パチンコ機市場、パチスロ機市場、周辺設備機器市場の総称である。また、周辺設備機器市場とは、ホールコンピューター、玉補給機器などのホール内の設備機器の市場の総称である。
<市場に含まれる商品・サービス>
パチンコ機、パチスロ機、遊技機部品、ホールコンピューター、景品POS、計数機(玉・メ ダル)、景品自動払出機、会員管理システム、呼出ランプ、玉補給システム、メダル補給システム、台間玉貸機、台間メダル貸機、スマート遊技機専用ユニット

出典資料について

資料名2023年版 パチンコ関連メーカーの動向とマーケットシェア
発刊日2023年09月07日
体裁B5 289ページ
価格(税込)165,000円 (本体価格 150,000円)

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