MA Channel:ちょっとためになるコラム
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継承開業は、まだ一般的な言葉ではありません。医療関係者の間においても認識されている方はまだ少ないと思います。私たち日本M&Aセンターの医療介護支援部は、クリニックの「継承開業」が一般的に医師の皆様に広く活用されるような世界を目指しています。
クリニックや病院を開業するには、自身で私財を投入してゼロから新規開業をするか、親や第三者が築き上げたクリニックなどを継承して開業をするか、のどちらかしかありません。実は2019年現在、クリニックの後継者不在率は90.3%という統計データもあるほど、後継者不在の課題が浮き彫りになっており、親から子への引継ぎすら実現していないケースが多いのです。
よって昨今、自然と増加してきているのが第三者へ引継ぎを行う「継承開業」です。

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継承開業は次世代の開業手段の主流になるか

継承開業のメリット

継承開業には、譲り渡す側・譲り受ける側双方にメリットがあります。
譲渡側にとっては、
(1)患者様への診療を継続できること
(2)勤務されている従業員の雇用を守ること
です。
何より、地域で重要な役割を有する医療機関として、地域医療の存続という観点で地域のメリットがあります。

譲受側は、
(1)開業費用を抑えることができる
(2)ゼロからスタートではなく、当初からスタッフもおり患者もいらっしゃる状況からスタートできることから、結果として新規開業するよりも早く損益分岐を超え、安定した経営基盤を築くことが可能
というメリットがあります。
また地元での認知度の引継ぎができたり、医師会への参加もしやすいケースもあり、定量的には測れないメリットを享受することも可能になります。

医師にとって「開業」は希望のライフスタイルの実現と同じ

医学部をご卒業され、研鑽の日々を超えた医師の皆様には数多くの選択肢が存在しているのではないでしょうか。
製薬会社をはじめとする企業や大学での研究開発、基幹病院で専門性を磨きながらの臨床治療、プライマリー医療でより身近な立場で患者様を診療しているなど、その働き方は千差万別です。
そして、新しい働き方・やりたい医療を検討する際、多くの皆様は開業するか否かを思い浮かべるのではないでしょうか。「機会があれば開業もありかな。」「良い場所があれば開業してもいいかな。」と思う反面、多忙な日々を過ごす中で開業の構想を練り準備を行うことは非常に困難とも言え、開業という道を漠然と考えている方も多いと思います。実際に開業されている医師の皆様に開業経緯について伺うと、「たまたま良い話があり、思い切って開業をした。」と今は偶発的に開業を選択されている方も多いのが実情です。そういった方は、非常に運がいいといえるでしょう。

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横山 朗(よこやま りょう)
日本M&Aセンター 医療介護支援部

外資系大手製薬会社出身。在職中にMBAを取得し、ヘルスケア領域の経営者に貢献すべく日本M&Aセンター医療介護支援部へ参画。クリニックの事業承継を多く手掛け、地域医療の存続に尽力している。
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