首都圏では東京都心から放射線のように都市高速である首都高が伸びていますが、さらに外側を各地方部へとつなぐ路線が伸びています。東名高速道路や東北自動車道がそれにあたります。
そんな首都圏を起点とする主要高速道路の一つに東関東自動車道(以下 東関道)があります。東関道は、他の主要路線にくらべると知名度は低めで、なじみのない方はどのあたりを通っているか知らない方もいらっしゃるかと思います。
東関道は、千葉県市川市の「高谷JCT」を起点に千葉県、茨城県を経由して茨城県茨城町の「茨城町JCT」で終点を迎えます。起点の高谷JCTは、首都高湾岸線や外環道と接続しており、連続で走行することができます。
通っているのが千葉県と茨城県だけということで、他の主要路線より距離も少なめですが、それでも東関道が担う役割は大きく、日々たくさんの方々が利用されます。さらに、東関道はこれからの期待値も高い路線であり、今後はさらに重要度が増すことを考えると今から東関道について知っておくことは大事なことなんです。
そこで、東関道について今後の可能性も含めていろいろとお話ししていきます。
目次
東関道、実は以前は違う路線名だった
東関道、正式名称は東関東自動車道ですが、実は以前に路線名称が変更になった経緯があります。高速道路の路線名が開通後に変更になるケースはかなりレアで、東関道のトリビアの1つであると同時に東関道の歴史を語るうえで重要な事柄です。
東関道が初めて計画にあがったのが1966年で、その際は、東京都心から当時まだ計画・建設段階にあった日本最大級の国際空港である新東京国際空港(現・成田国際空港)へアクセスするための路線として考えられていました。
そのため、1971年10月の初開通時は「新空港自動車道」(以下 新空港道)という名称で開通します。初開通からしばらくは千葉県区間のみの開通でしたが、1972年8月には「成田IC」まで、空港開業の翌日の1978年5月21日に空港の最寄りインターとなる「新空港IC」まで開通します。
新空港道の当初の計画は、千葉市〜成田市でしたが、その後成田市以北までの延伸の計画もできるなどして、空港以外の利用目的も考えられたことから、空港開業の翌年の1979年4月に名称が現在の東関道に変更されました。
ただし、成田IC〜新空港ICはそのまま新空港道の名称が残っており、新空港道は総距離が約3.9kmで2023年9月現在で日本の高速道路でもっとも短い路線となっています。
起点手前から「宮野木JCT」まではテーマパーク・商業施設・イベント会場の宝庫
東関道は、起点が千葉県市川市ということで東京のベットタウンとして栄えている街になります。そして、起点手前〜千葉県千葉市に所在地を置く「宮野木JCT」までは、まさに都市部のなかを走行していきます。
沿道には、さまざまな近代的施設が立ち並んでおり、東関道の重要性を高めているもっともな要因であり、それに伴い交通量も多い区間となっています。主な施設はこちらです。
・千葉県浦安市:東京ディズニーリゾート
・千葉県船橋市:ららぽーとTOKYO-BAY
・千葉市美浜区:幕張メッセ、ZOZOマリンスタジアム
今回あげたのはほんの一部で、他にもまだまだたくさんの施設があり、地域のみならず日本を代表する施設がめじろ押しです。
有名施設の系統や種類は地域で偏りがでたりすることもありますが、東関道沿道の有名施設は多方面の系統の施設を要しており、そのためさまざまなニーズの方々に必要とされているのです。
空港だけじゃない! 宮野木JCT~潮来ICは歴史ある街と建築物が続く
東関道は宮野木JCTをすぎて近くの「千葉北IC」を過ぎてから、都市部の景観から徐々に自然な景観へと変わっていきます。ここから、現状で直接つながっている茨城県潮来市の「潮来IC」までは歴史的な街や建築物が続きます。
主なところでみると、
・千葉県佐倉市:佐倉城址
・千葉県成田市:成田山新勝寺
・千葉県香取市:佐原の街並
などがあげられます。
佐倉城址の北側には国立歴史民族博物館があり、佐原の街並のなかには伊能忠敬記念館などの施設もあり、あらゆる歴史的な背景や雰囲気を感じられます。
さらに、千葉県の「酒々井IC」近郊には酒々井プレミアム・アウトレット、潮来IC近郊の鹿嶋市には鹿島神宮や鹿島港があり、各インター近郊に魅力的な施設が設置されているのです。
特に、成田市は成田国際空港のイメージが強いですが、成田山新勝寺という人気スポットもありますので、空港とお寺と合わせて楽しむのもおすすめです。
終点の茨城県側も沿道施設が充実
東関道は、茨城県の潮来IC〜「鉾田IC」までの約31kmの区間が現在未開通となっており、鉾田IC〜終点の茨城町JCTは開通している状況です。茨城町JCTでは、北関東自動車道(以下 北関東道)と接続しています。
現在開通している鉾田IC〜茨城町JCTでは、茨城空港の近郊を通っており、最寄りインターとなる「茨城空港北IC」も設置されています。
鉾田ICのある鉾田市は農業が主の街で、農産物の風景の他、鹿島灘からの太平洋を一望できるすばらしい景色も楽しめたりと、ドライブにはぴったりの街だといえます。
まだまだある期待性十分の未開通区間
東関道は潮来IC〜鉾田ICが未開通区間となり、こちらが開通すると晴れて全線開通となります。全線開通まであと少しですが、未開通区間が開通することによる期待はかなり高いことが予想されています。
まず、千葉県の成田国際空港と茨城県の茨城空港が高速道路1本でつながること。これにより、単純な車での移動以外にも交通の幅が広がりをみせます。
また、茨城県の鹿嶋市は工業地帯となっていることに加え鹿島港があること、鉾田市が農業が盛んなこと、終点の茨城町JCTより北関東道で東側に行くと港街で有名な大洗があること。これにより、工業製品や農作物を空路や海路で運搬するための輸送が向上します。
さらに、東関道の西側を通っている常磐自動車道にトラブルによる大渋滞や通行止めがあった際には、代替ルートとして東関道を利用することも可能です。
以上のことから、東関道の未開通区間にはさまざまな点での魅力があふれています。現在未開通区間は、整備と建設が進められており、2026年度には開通予定となっています。
一部区間が120kmまで制限速度が引き上げられた東関道
東関道は起点の高野JCT〜成田ICまでは片側3車線通行、成田ICより先は片側2車線通行となっており、道路もかなり整備されていて走行しやすくなっています。さらに、2023年7月3日より千葉県の「四街道IC」〜成田ICで、制限速度が時速120kmまで引き上げになったことにより、より快適に走行できるようになりました。
東関道内にはサービスエリアが設置されていませんが、千葉県の「海浜幕張PA」や「酒々井PA」はサービスエリア並みの施設が整っており、休憩ポイントとしておすすめです。酒々井PAは、東関道で唯一上下線でガソリンスタンドが設置されています。
起点付近の都市部の景観からだんだんと自然な景色に移り変わっていく過程や、佐原香取IC〜潮来ICの利根川と橋の景色などを楽しみながらドライブしていただければと思います。
■著者プロフィール、この著者のこれまでの記事は:https://www.mobilitystory.com/article/author/000017/