日本の高速道路のほとんどは、NEXCOという高速道路事業会社が管轄しています。NEXCOは地域によって、東日本・中日本・西日本の3社に分かれており、新しい高速道路の建設や既存の路線の管理・維持を行っております。
ただし、東京や大阪などの大都市に関しては、主に都市圏内だけを通っている都市高速というものが存在します。首都高や阪神高速、名古屋高速、福岡高速なんかがその例です。都市高速はNEXCO管轄のいわゆる通常の高速道路と同様に自動車専用道路となっており、基本的に信号がなくノンストップで走行ができます。
しかし、都市高速は、
・管理会社がNEXCOとは違う
・通常の高速道路とは利用用途が違う
・高速道路の通っている土地柄の違い
などの理由から、通常の高速道路との違いがいくつかあります。
この違いを周知していないと、都市高速で通常の高速道路と同じような運転方法で走行してしまい、都市高速での走行でかなり苦戦することになります。
特に、たとえば東名高速道路(以下 東名)〜首都高3号渋谷線のように通常の高速道路と都市高速を継続して走行する際等に、運転方法の切り替えがうまくできず、都市高速での走行がおぼつかなくなります。
都市高速をより安全に快適に走行するために、都市高速が通常の高速道路と違う点をしっかり学びましょう。都市高速の特徴を理解することで、初心者やペーパードライバーの方も都市高速の走行を怖がらず、安全に走行しドライブや旅を楽しむことができるようになるはずです。
目次
複雑な都市高速。いくつもの路線が入り組んだ構造
都市高速の特徴といえば、まずは複雑の路線が複雑に入り組んでいる点です。近年では、高速道路は各地で新しい路線が次々と誕生しているため、複雑な構造をしているポイントが増えてきましたが、それでもまだまだ都市高速の方が複雑な入り組み方をしているといえます。
たとえば首都高でみてみると、まず環状線となる都心環状線があり、都心環状線から放射線のように1号羽田線やら2号目黒線やら、4号新宿線、5号池袋線などが通っています。さらに、外側には中央環状線、湾岸エリアには湾岸線なども存在します。
一言で首都高といってもかなりの路線数があり、それらをまとめて一般的には首都高と呼ばれています。この複雑な構造は、通常の高速道路とは違う点です。
通常の高速道路なら、路線名を覚えれば通っている地域や区間がある程度わかりますが、都市高速の場合は、〜号〜線まで覚えないと通っている場所が把握できないため、実際走行する際に迷うことになります。
ちなみに、首都高は管轄する路線の総距離が337.8kmであり、これは東名(346.7km)や中央自動車道本線(344km)の総距離とほぼ同じくらいの距離となります。
狭い空間に建設されているゆえの激しい道路形状
NEXCO管轄の高速道路は、広大な敷地のある土地を選択して道路を通しているところが多く、建設ルートもなるべく直進になるように設計されています。特に、近年は建設技術が向上していることから、険しい山岳地帯もトンネルで貫けるようになり、新東名高速道路のようなほぼ直進の高速道路もできるようになりました。
対して都市高速は、建設された時代にまだ建設技術が現在より劣っていた点や、都市部を通すために、どうしても高層のビルや既存の建築物の間を通さないといけない部分が多かったのです。
そのため、都市高速はカーブや起伏の激しい部分が多い傾向にあります。カーブに関しては、通常の高速道路よりも急なところもあり、通常の高速道路と同様の感覚で走行すると、カーブでふらついたりよれたりしてしまいます。
首都高ではカーブや起伏の激しさは、都心部の路線や区間になればなるほど大きい傾向にあります。首都高でもたとえば外側に位置する湾岸線なんかは、起伏はあるもののカーブはほとんどない設計になっています。
そして、通常の高速道路は車線幅が基本的に3.5mで設計されているのに対して、都市高速は基本的に3.25mとやや狭く設計されています。しかも都市高速は、路肩がないところも多いため、制限速度が通常の高速道路の片側2車線区間がだいたい時速80kmのところ、都市高速では時速60kmに設定されています。
通常の高速道路にはない右出口・右分岐・右合流の存在
都市高速を走行するうえで、これが一番知っておいていただきたいポイントかもしれません。日本の道路は左側通行ということもあり、一般道や通常の高速道路は分岐や出口、合流などのほとんどが左側に設置されています。
ところが都市高速ではその左側設置の規則が当てはまらなく、右側に高速出口やジャンクションの分岐が設置されているところが多くあります。それゆえ、走行の仕方を変えなくてはいけません。
通常の高速道路なら、合流や分岐のある前後は左側と決まっているため、左側の車線が詰まることが多いですが、都市高速では右側に合流や分岐があるため、そのようなポイントでは右側の車線が混雑することがあります。
さらに、首都高の高速出口は通常の高速道路よりも簡易的につくられており、高速出口から一般道までの距離が短いところがあります。そうすると、一般道に出るところの合流の渋滞が延びて高速道路本線にまで影響することもあります。
一番効率よく走行するためには、都市高速の各出口や分岐・合流の方向を覚えることですが、なかなか大変なため、まずは都市高速は右側に出口や分岐があることを理解し、降りる予定の出口がどちら側にあるのか確認しておくようにしましょう。
連続するランプやジャンクション
都市高速は都市部から各地方へと延びる高速道路と高速道路を接続する役割があると同時に、都市高速内の移動、つまり近距離での移動の役割を担っております。さらに、先ほどお話しした複雑な構造をしているために、都市高速のインターと呼べるランプやジャンクションが連続する区間があります。
ランプを過ぎたと思ったら次のランプが現れたり、ジャンクションが連続であり分岐が何方向もある区間なんかも1カ所ではなく、複数カ所存在するのです。短い区間だとジャンクションとジャンクションの間が1km未満なんていうところもあり、都市高速の走行に慣れていない方は、迷ったり道を間違えたりしてしまいます。
そうならないためにも、都市高速走行時はあらかじめ自分が利用するランプやジャンクションの名称と位置、行く方面をしっかり確認するようにしましょう。
片方面しか利用できないランプやジャンクションが多い
都市高速は狭い土地のなかに設計されているところが多いため、ランプやジャンクションも通常の高速道路と比べると簡易的なつくりとなっています。それもあり、都市高速では片方面しか利用できないランプやジャンクションが多数あります。
通常の高速道路にも、いわゆるハーフインターとよばれる片方面にしか入口や出口がないインターや、片方面しかいけないジャンクションなどはありますが、都市高速はむしろ両方面に出入口のあるランプの方が珍しく、どちらかの出入口はないというランプが多いのです。
ジャンクションも、一定の方向からこないと利用できないところも多く、構造を知っていないとやはり迷ったり道を間違えたりする原因となりえます。
それに付随して、都市高速にも休憩ポイントとなるパーキングエリアがいくつか設置されていますが、片方面しか利用できないところが多いのが特徴です。たとえば首都高4号新宿線の「代々木PA」は、「三宅坂JCT」方面に向かう上り方面のみ利用可能で、「高井戸ランプ」方面に向かう下り線方面は利用ができくなっています。
都市高速を上手に走行するには
以上のことから、都市高速は通常の高速道路と異なる点がいくつかあります。まずはそれを理解することが、都市高速を上手に走行するポイントとなります。
NEXCO管轄の高速道路から都市高速に直接入った際は、看板や景色の雰囲気が変わるのでそれを目安にしたり、通常の高速道路と都市高速が変わるポイントは料金形態も変わるため、料金所が設置されているので、それを境に運転方法を変えるといいでしょう。
あとは、みなさんなにかと抵抗のある都市高速を走行する機会をなるべくつくること。実際に走行しながら、都市高速ならではの運転感覚をつかんでいくことも大事なことです。