2023年3月期決算の上場2456社のうち、有価証券報告書に「男性の育児休業取得率」を記載した1522社の男性育児休業の取得率(男性社員が育児休業や育児目的休暇を利用した人数÷配偶者が出産した人数)は、平均52.2%となったことが、東京商工リサーチが実施した有価証券報告書の集計で明らかとなった。
男性の育児休業取得率は、最多が「20%以上30%未満」の196社(12.8%)だった。次いで「10%未満」が189社(12.4%)、「30.0%以上40.0%未満」が183社(12.0%)と続く。
配偶者の出産と育児休業取得の時期のズレで取得率が100.0%を超えるケースもあり、「100.0%以上」が155社(10.1%)と1割あった。
一方、該当者なしを含む取得率ゼロは142社(9.3%)だった。
【男性育児休業取得率】
100.0%以上 155社(10.1%)
90%以上 53社(3.4%)
80%以上 87社(5.7%)
70%以上 80社(5.2%)
60%以上 140社(9.1%)
50%以上 176社(11.5%)
40%以上 129社(8.4%)
30%以上 183社(12.0%)
20%以上 196社(12.8%)
10%以上 134社(8.8%)
10%未満 189社(12.4%)
産業別にみると、男性育児休業の取得率の最高は「金融・保険業」の82.7%、最低は「卸売業」の42.1%だった。
業種別の傾向について東京商工リサーチでは「女性の就業者が多い“金融・保険業”は育児休業への理解もあり、取得しやすいようだ」と指摘する。
「卸売業」(42.1%)、「サービス業」(46.4%)、「建設業」(47.5%)、「小売業」(49.4%)の4産業は50.0%を下回った。
【業種別 男性育児休業取得率】
水産・農林・鉱業 75.2%
建設業 47.5%
製造業 50.1%
電気・ガス業 70.9%
運輸・情報通信業 53.9%
卸売業 42.1%
小売業 49.4%
金融・保険業 82.7%
不動産業 60.4%
サービス業 46.4%
育児休暇取得率の最高は、テストシステム、組込みボード開発のイノテック(東証プライム)の180.0%。次いで、福井銀行(同)177.3%、臨床検査薬大手の栄研化学(同)176.9%と続く。