経営者の中には「ゴルフ」や「読書」を趣味にしている人が多い。ゴルフは人脈作り、読書はさまざまな知見を得るのに役立つ。一方、経営者が「DIY」を趣味にするのも十分ありだ。クリエイティブな思考が身につくほか、「価値を創造する」という原点回帰にもつながるからである。
目次
経営者の趣味になぜDIYが魅力なのか
DIYは「Do It Yourself」(ドゥ・イット・ユアセルフ)という英語の略語だ。直訳すると「あなた自身でやる」「あなた自身で取り組む」といった意味になるが、このDIYというワードは、家具や身の回りのものなどを自分でつくる行為を指すのが通例となっている。
DIYを趣味にしている人は経営者だけではなく一般に広くいるが、この記事では「経営者の視点」で、企業トップがDIYを趣味にする効能について説明していきたい。
DIYはクリエイティブな趣味
まずDIYは極めて「クリエイティブ」な趣味であるということを強調したい。
ある程度スキルが身につき、ゼロから家具や小物を製作する場合、どんなものをどんな材料でどのような手順でつくっていくか、自分自身で考えなければならない。その過程で自身の「想像力」と「創造力」の両方が高まっていく。
経営者にはこのクリエイティブな能力が非常に重要だ。まだ世にない製品やサービスを構想し、それを実際に事業として展開して成功させていくためには、想像力と創造力は高ければ高いほどいい。DIYという趣味により、このような企業トップに求められるスキルを伸ばすことができる。
QOLの向上に直結する趣味
DIYは、「QOL」(クオリティ・オブ・ライフ)、すなわち「生活の質」の向上につながることも特筆すべき点だ。
自分にぴったりの家具や小物をそろえれば、日々の生活の満足度が高まる。経営者の中にはプライベートな時間を十分にとることができない人も多い。そのため、自宅で過ごす短い時間をより心休まる充実した時間にする工夫が求められる。
DIYで製作した自分にパーソナライズされた家具や小物は、そのような充実した時間を過ごすために役立つ。
「価値を創造する」という初心に戻れる趣味
企業トップが経営を成功させるために「数字」にシビアになることは当然だが、中には帳簿上の数字ばかりに気を取られ、肝心の自社の事業の根幹をなす「商品」や「サービス」に目が行き届かなくなることがある。
そんな中でDIYに取り組み、「ゼロからつくる」「価値を創造する」といった行為をしていると、「自社事業が創りだしている価値は何か」「顧客への貢献とは何か」といった、初心に立ち返るきっかけを得やすい。
DIY初心者の心得
DIYに興味を持った経営者が、まず心得ておかなければならないことはどんなことだろうか。
まず何からつくる?
まずは基本を学ぶために、書店でDIYに関する書籍を買い、完成までに必要な材料や手順が書かれた小物を「指示通り」につくっていこう。その過程でDIYの基本的なスキルが身についていく。
準備のポイントは?
最初から工具を完璧にそろえようと思わなくてもいい。工具は1つずつ「使いこなせるようになっていく」ことが重要で、まずは最初につくる家具や小物に必要な最小限の工具を買い、使い方をしっかりと身につけたい。
ありがちなミスは?
凝り性の人の中には、最初からサイズが大きいものや難易度が高い家具に挑みたくなる人も少なくないが、基礎的なスキルがないのにそのようなものに挑戦すると、うまくいかないことが多い。そうすると嫌気がさしてDIYが趣味として続かなくなるため、まずは簡単なものから挑戦することを心掛けたい。
DIYが発展すると……
DIYの初心者は、まず何より「小さな成功」を積み重ねていく視点が重要だ。スキルが身についていけば、将来的には自分でも驚くようなものをつくりあげることも可能になる。
自分にぴったりの「サウナ小屋」も
たとえば「サウナ」だ。数人用のサウナ小屋であればサイズはそんなに大きくなくていいだろう。地面に土台をしっかりと築くスキルやサウナヒーターの設置に関する知見も必要となるものの、DIYの延長として取り組むことができる。
自分の好みに合わせて設計したサウナであれば、サウナの中でじっと考え事をしているときに、非常に秀逸なビジネスのアイデアが思い浮かびやすいはずだ。
別荘を自分で建てるという発想も
DIYは、極めがいのある趣味と言える。DIYという趣味が高じて別荘まで建ててしまう人もいるほどだ。企業経営に成功した人であれば、別荘の部材や設備にもお金をかけられることから、自分にとっての快適な空間を追求することができる。
DIYは実は社長にぴったりの趣味?
DIYというと、たっぷり時間に余裕がある人の趣味と感じるかもしれない。しかしこの記事で説明したように、クリエイティブな能力がつき、自分のQOLが高まり、しかも経営者としての原点回帰にもつながるという、社長にぴったりな趣味でもある。
文・岡本一道