矢野経済研究所
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2023年のポリプロピレン出荷量は前年比103.4%の225万8,500トンの見込

~国内PPメーカーは樹脂の機能性向上に加え、環境対応製品のラインナップを強化~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は国内のポリプロピレン市場を調査し、樹脂別の動向、需要分野別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

需要分野別PP市場規模推移・予測

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1.市場概況

2022年の国内ポリプロピレン(以下、PP)市場(メーカー出荷数量ベース、輸出分を含む)は218万4,600t(前年比92.5%)となった。PP出荷量は2020年のコロナ禍による自動車分野等の需要低迷以降、2021年には前年の反動から若干の需要持ち直しがみられたものの、2022年は原材料価格の高騰や半導体などの部材不足の影響から製造業を中心に再び需要動向が悪化したことで、PP出荷量は再度減少に転じている。

2.注目トピック

カーボンニュートラルの実現に向けた環境対応ブランドの上市が活発化

PPメーカーでは、機能性の向上に加え、環境関連での開発テーマが増加している。従来からの自動車軽量化や食品包装における薄肉化のほか、モノマテリアル(単一素材)化によるリサイクル適性の向上や、環境対応製品のラインナップなどに取り組んでいる。

プライムポリマーは、2022年にカーボンニュートラル及びサーキュラーエコノミー社会の実現に貢献するポリオレフィンの新ブランドとして、「Re’PRM®(リプライム®)」及び「Prasus®(プラサス®)」の立ち上げを発表している。
2023年、プライムポリマーでは姉崎工場及び関係会社である徳山ポリプロ株式会社において、ISCC PLUS認証(国際持続可能性カーボン認証)を新たに取得し、国内の全製造拠点において同認証の活用が可能となったことを発表し、各拠点からマスバランス(物質収支)方式によるバイオマス製品「Prasus®」等を供給できる体制を整えている。

また、住友化学は2021年にリサイクルプラスチックブランド「Meguri™」を立ち上げている。「Meguri™」はケミカルリサイクルまたはマテリアルリサイクル技術によって生産したPE(ポリエチレン)、PP、アクリル樹脂などのさまざまなプラスチック製品を総称するブランドで、積水化学工業と共同で開発中のごみを原料とするPEや、廃棄されたプラスチックを再資源化した自動車部材向けのPPコンパウンドなども同ブランドとして展開している。

3.将来展望

2023年のPP市場規模は前年比103.4%の225万8,500tを見込む。2023年は半導体不足の解消に伴う自動車挽回生産による需要の回復に加え、人流回復による消費の持ち直しやインバウンド(訪日外国人客)需要の増加が期待されており、PP出荷量は増加に転じる見込みである。

調査要綱


1.調査期間: 2023年4月~7月
2.調査対象: ポリプロピレンメーカー
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
<ポリプロピレン市場とは>
ポリプロピレン(PP)は代表的な汎用樹脂の一種で、プロピレンの重合体である。本調査におけるPP市場規模は国内メーカーの出荷量ベース(輸出分含む)で算出している。
<市場に含まれる商品・サービス>
PP、PPコンパウンド

出典資料について

資料名2023年版 ポリプロピレン市場の徹底分析
発刊日2023年08月07日
体裁A4 130ページ
価格(税込)440,000円 (本体価格 400,000円)

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