Z世代は2023年現在で10代〜20代の世代で、経済面や労働面で中心的な存在となる世代である。中小企業がZ世代人材を採用し、存分に力を発揮してもらうためには、その特徴と仕事に対する価値観に基づいたアプローチが必要だ。

本記事では、Z世代の特徴や他の世代との違い、中小企業で活躍してもらうためのポイントなどについて解説する。

目次

  1. Z世代への理解を深めよう!特徴と働き方に持つ視点
    1. Z世代はいつから?別の呼び方は?
    2. Z世代の他に何世代がある?
    3. Z世代の次は何世代?
  2. 中小企業がZ世代を採用する際の具体的なポイント4つ
    1. 1.デジタル採用戦略の強化
    2. 2.採用プロセスのスピードアップ
    3. 3.インターンシップや職場体験の提供
    4. 4.キャリア開発の機会の提示
  3. Z世代が中小企業で活躍するための関わり方5つ
    1. 1.デジタルスキルを発揮してもらう
    2. 2.チームワークを重視する
    3. 3.仕事の目的とゴールを共有する
    4. 4.フレキシブルな働き方を推進する
    5. 5.自己啓発をサポートする体制を構築する
  4. Z世代の特性とニーズを理解し、強みを生かす方法で人材を活用しよう
2023年の働くZ世代の特性: 4つの採用ポイントと5つの関わり方
(画像=VitaliiVodolazskyi/stock.adobe.com)

Z世代への理解を深めよう!特徴と働き方に持つ視点

2023年現在の成人は「Z世代」と呼ばれており、市場に与える影響力は非常に大きいとされている。経営者は、まずZ世代の特徴や就労する際に持っている視点などについて理解を深めておこう。

Z世代はいつから?別の呼び方は?

Z世代は、1997年~2012年頃に生まれた世代を指す。別名「ジェネレーションZ」と呼ばれ、ミレニアル世代の次に位置する世代なので「ポストミレニアル世代」とも呼ばれている。

Z世代は、幼少期からインターネットやスマートフォンなどのデジタル機器に触れている世代だ。テクノロジーの急速な発展と普及を経験しており、デジタルネイティブな世代とされている。オンライン検索で情報収集したり、ソーシャルメディアを通じて交流したりすることに比較的抵抗が少ない。

また、グローバル化が進んだ社会を経験しているため、多様な文化や意見を許容しやすく、社会的な公平性や持続可能性に対して関心を持つ傾向がある。社会人として働く際には、個人の自己表現や自己実現を重視し、ワークライフバランスや柔軟性の高い働き方を求める人が多い。

Z世代の他に何世代がある?

Z世代の他にも、生まれた年によって「X世代」や「Y世代」などの分類がある。それぞれの特徴を把握しておこう。

・Y世代(ミレニアル世代)

Y世代は、一般的に1981年〜1996年頃までに生まれた世代を指す。別名「ミレニアル世代」とも呼ばれ、インターネットや携帯電話の普及、ソーシャルメディアの台頭など、デジタルテクノロジーの進化によって大きな影響を受けた世代だ。

Y世代は、Z世代のように生まれた頃からデジタルテクノロジーに触れている訳ではないため、生来のデジタルネイティブではない。一方で、個人の成長や充実した人生を重視する傾向があり、自己成長や意義のある仕事を追求する傾向がZ世代よりも強い。

また、社会的な問題に対しても関心を持ち、環境や社会への貢献にも積極的に取り組む人が多い。経済や社会の変化に対応するために新しいアイデアや創造性を持ち、チームワークや協力に重点を置く傾向にある。

・X世代(ジェネレーションX)

X世代は、一般的に1965年〜1980年頃までに生まれた世代を指す。X世代は、テクノロジーの進化や社会のグローバル化の影響を受けながら成長したが、パソコンやインターネットの接触経験は幼少期から青年期とY世代よりも遅い。

テクノロジーを活用する能力はあるものの、デジタル革命の途中に成長したため、ミレニアル世代やZ世代ほどテクノロジーに依存する傾向はない。

X世代は、バブル崩壊といった経済的な不安定さや社会的な変化を経験しており、自立心や適応力を持つ人材が多く、ワークライフバランスや個人の自己成長を重視する傾向がある。

また、長時間労働や同じ会社で勤め続けてキャリアの犠牲を払うことに抵抗があり、働き方の柔軟性や自己実現を重視しやすい世代だ。

Z世代の次は何世代?

Z世代の次の世代は「α(アルファ)世代」と呼ばれており、一般的に2010年代後半〜2020年代初頭に生まれた世代を指す。

α世代はデジタルテクノロジーがますます普及し、スマートフォンやタブレットなどのデバイスの使用が当たり前の環境で成長しており、Z世代以上にデジタルネイティブな存在としての特性を持っている。

デジタルテクノロジーを自然な形で利用し、情報やコミュニケーションにアクセスすることに慣れ親しんでいるため、異なる文化や価値観など社会的な多様性を受け入れる傾向にある。

2023年現在では幼児や小学生も含まれる世代であり、社会的、文化的に完全に形成されている訳ではないが、将来的に影響力を持つ世代として注目されている。

中小企業がZ世代を採用する際の具体的なポイント4つ

中小企業経営者は、Z世代の優秀な人材を採用して長期的な組織成長に寄与してもらうために、Z世代の特性とニーズを理解し、適切な採用戦略を構築する必要がある。

ここでは、中小企業がZ世代を採用する際のポイントを4つ紹介する。

1.デジタル採用戦略の強化

Z世代はスマートフォンやインターネットを日常的に使いこなすデジタルネイティブであり、求人情報もオンライン検索で探す傾向にある。

Z世代に自社の求人情報を見つけてもらうためには、自社のウェブサイトやソーシャルメディア、オンライン求人サイトなどを活用して採用情報を発信することが重要だ。

特に、ソーシャルメディアはZ世代との接点を持つのに適しており、企業のブランドイメージを強化し、職場の雰囲気や魅力的な働き方を伝えるためにもSNS戦略は欠かせない。

2.採用プロセスのスピードアップ

Z世代は情報をリアルタイムで調べる習慣があり、採用プロセスにも即時的な対応や結果の通達を求める。エントリーシートや履歴書などの応募書類へのフィードバックや面接のスケジューリング、オファーの提出時間はZ世代の印象を大きく左右するだろう。

中小企業側は応募に対して早めに回答し、Zoomを活用したオンライン面接なども利用しながら採用プロセスを迅速に進めることが推奨される。

3.インターンシップや職場体験の提供

Z世代は直接的な経験を通して、自身のキャリアの見通しを確認する傾向にある。

中小企業であってもインターンシップや職場体験を通じて実際の職場環境を体験させ、仕事内容や社風について具体的な理解を深める機会を提供した方がよい。

インターンシップを通して自社の魅力も発信でき、Z世代にとっては自社を応募先として選ぶ際の重要な判断基準となるため、積極的な取り組みが求められる。

4.キャリア開発の機会の提示

自己成長や自己実現を重視するZ世代は、企業選びの際にキャリアアップの可能性を考慮する傾向にある。

中小企業側は具体的なキャリアパスや研修、教育プログラムの情報提供、メンター制度などのキャリア育成支援をアピールすれば、Z世代にとって魅力的な雇用先となる可能性が高まるだろう。

Z世代が中小企業で活躍するための関わり方5つ

Z世代が組織内で最大限に力を発揮できるような環境を提供できれば、中小企業の競争力を高め、将来の成長につながるだろう。ここでは、Z世代が活躍できるような職場環境の構築や関わり方のポイントを5つ紹介する。

1.デジタルスキルを発揮してもらう

Z世代はデジタルネイティブとして育ち、スマートフォンやSNSなどのデジタルテクノロジーを日常的に利用しているため、デジタルスキルを発揮してもらうことを第一に考えてみよう。

Z世代はクラウド型のデジタルツールやMAやCRMといったデジタルマーケティングなど、新しいテクノロジーを積極的に導入して活用する世代だ。中小企業がこれらの新技術を取り入れる際に、Z世代の力を生かせば、デジタルトランスフォーメーションをスムーズに推進できるだろう。

また、Z世代のデジタルリテラシーを社内で共有してもらうことで、他の従業員のデジタルスキル向上への貢献も期待できる。

2.チームワークを重視する

多様な意見を先入観なしに尊重するZ世代は、複数人での共同作業で成果を生み出す能力に優れている。これは、学校教育や大学生活などでチームワークやプロジェクトベースの作業を経験してきた結果だ。

中小企業側は、Z世代が持つ柔軟性のあるクリエイティブな視点を活用し、共同作業やアイデアの共有を促進すれば、より大きなイノベーションを生み出せる可能性がある。それらを組織全体のパフォーマンス向上につなげられるだろう。

3.仕事の目的とゴールを共有する

Z世代は、担当している業務が自分の価値観や社会への貢献と一致することを重視する傾向にあるため、ただ単に業務を割り振るのではなく、目的やゴールを共有する姿勢が大切だ。

中小企業とはいえども、社会的な課題や持続可能性に取り組む姿勢を明確にし、Z世代の働くモチベーションを引き出すことが欠かせない。

自社の事業活動がどのように社会貢献につながり、社会にポジティブな影響を与えているのかを整理し、その中でZ世代の人材がどのような役割を果たしているのか伝えよう。

そのためには、経営者のみならず管理職やリーダー職層まで、仕事のゴールと目的を明確に理解しておく必要があるだろう。

4.フレキシブルな働き方を推進する

Z世代は、働き方を自分自身で選択することを望む傾向にあるため、リモートワークやフレックスタイム制のような変形労働時間勤務や柔軟性の高い働き方の選択肢を提供することが肝要だ。

Z世代にワークライフバランスを尊重した比較的自由な働き方を提供することで、労働生産性や満足度を向上させるだけでなく、組織への長期的な貢献も期待できる。

5.自己啓発をサポートする体制を構築する

Z世代は自己成長意欲が高く、キャリア形成のための学習機会を求めるため、スキルアップの機会を提供するように心がけよう。

具体的な取り組みとしては、社内外で実施する研修プログラムの提供、メンター制度の導入、社内でのキャリアパスの明確化などが考えられる。これにより、Z世代のモチベーションやエンゲージメントを高め、組織内で成長し続ける環境を整えられるだろう。

Z世代の特性とニーズを理解し、強みを生かす方法で人材を活用しよう

Z世代は、1997年~2012年頃に生まれた世代を指し、α世代が成人するまでは経済や労働市場の中心となる存在だ。デジタルネイティブとして高いデジタルテクノロジーへの理解を持ち、多様性を認めて社会貢献を重要視するという特徴がある。

中小企業経営者は、DXなどの先進的な業務での活躍を促すなど、Z世代特有の強みを生かすことを念頭に置いた人材活用を心がけて欲しい。

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文・隈本稔(経営・キャリアコンサルタント)