どれだけ売上があっても、資金繰りが悪化すると黒字倒産のリスクは高まる。会社経営を安定させるには、キャッシュフローを増やすこと、うまく回すことを意識しなければならない。中小企業の資金繰りを改善するには、どのような対策が考えられるだろうか。

目次

  1. 「在庫」と「売上債権」の見直しでキャッシュフローを生み出す
    1. コスト削減にもつながる在庫適正化
    2. 売上債権の回収とファクタリング
    3. 中小企業に有利な融資制度を活用する
  2. 入出金サイトを改善することでキャッシュフローを回す
  3. キャッシュフロー改善では資金の使い方も見直そう
  4. 長期的な資金繰り対策でキャッシュフローを改善しよう
資金繰りの失敗で会社を滅ぼさないためのガイドライン
(画像=Cagkan/stock.adobe.com)

「在庫」と「売上債権」の見直しでキャッシュフローを生み出す

中小企業のキャッシュフローは、在庫や売上債権に左右されやすい。例えば、在庫は将来の売上につながるものだが、量が多すぎると管理コストの増大を招いてしまう。

まずは在庫や売上債権の改善を目指して、基本的なキャッシュフロー対策を確認していこう。

コスト削減にもつながる在庫適正化

在庫には管理コストがかかるため、不良在庫は積極的に処分することを考えたい。売却価格が安くても早めに処分をすれば、管理コストを節約できるだけではなく、ある程度のキャッシュを生み出せる。

同様の理由で、稼働を停止している遊休資産についても早めの処分が重要だ。短期的には損失になるかもしれないが、長い目で見ると処分したほうが得をするケースが多い。

売上債権の回収とファクタリング

未回収の手形や売掛金がある場合は、早めに支払いを促すことが必要だ。これらの売上債権には時効があるため、先延ばしにすると回収できない事態になりかねない。

また、すぐにキャッシュが必要になるケースでは、売上債権を売却する「ファクタリング」も選択肢になる。ただし、ファクタリングは手数料が割高であるため、基本的には売上債権を取引先から回収することが望ましい。

ファクタリングのメリット

まずは取引先に支払いを促すことから始めて、どうしても回収が難しい場合はファクタリングを検討しよう。

中小企業に有利な融資制度を活用する

手っ取り早くキャッシュを増やす手段としては、金融機関などからの融資が挙げられる。中でも日本政策金融公庫や自治体(制度融資)は、中小企業向けの融資制度を実施している。

これらの制度は審査が通りやすく、かつ金利も低い傾向にあるが、融資実行までに時間がかかる点には注意したい。書類の準備期間まで含めると、早くても3週間~1ヵ月程度を要するため、余裕をもって準備に取りかかることが重要だ。

入出金サイトを改善することでキャッシュフローを回す

中小企業のキャッシュフローは、入出金サイトにも大きく左右される。例えば、売上の回収までに仕入れや税金の支払いがあると、資金力の乏しい企業は借入が必要になってしまう。

入出金サイトの改善は、「回収サイトの短縮」と「支払いサイトの延長」に分けて考えることが重要だ。具体的にどのような方法があるのか、いくつか例を紹介しよう。

キャッシュフロー

会社に入るキャッシュや支出額は変わらないが、入出金サイトを改善すると資金繰りに余裕が生まれる。余計な借入金を増やさないためにも、財務三表や会計ツールなどを活用しながら、徹底的な改善を目指していきたい。

キャッシュフロー改善では資金の使い方も見直そう

キャッシュの生み出し方や回し方を改善しても、使い方が悪いと資金繰りは悪化してしまう。投資は会社の成長に欠かせないものだが、キャッシュを温存するための工夫も同時に考えておきたい。

例えば、オフィスの移転では繁忙期を避けると、「敷金礼金なし」などのお得な物件が増える。そのほかの設備投資についても、業者がキャンペーンや割引をしている時期を狙うだけで、多くのキャッシュを温存できるかもしれない。

また、事業の中核に含まれない業務や、高度なスキルを要する業務は、外注に回すことを検討したい。自社だけで難しい問題を解決しようとすると、多くの人的リソースが無駄になり、本業で稼ぐ力を失ってしまうためだ。

ほかにも営業利益につながらない投資を減らす、効果の低い人材教育制度を撤廃するなど、企業によっては多くの改善点がある。長期的な視点をもって、資金の使い方を全体的に見直してみよう。

長期的な資金繰り対策でキャッシュフローを改善しよう

中小企業のキャッシュフローは、経営の安定度に直結する要素である。手元のキャッシュを増やし、かつ入出金サイトがうまく回るように調整できれば、多少の経営難は乗り越えられるはずだ。

黒字倒産のリスクを抑えるには、長期的な視点で資金繰りを改善することが重要になる。短期的なキャッシュ増減に惑わされず、大きな効果を期待できる対策に絞って取り組んでいこう。

著:片山 雄平
1988年生まれのフリーライター兼編集者。2012年からフリーライターとして活動し、2015年には編集者として株式会社YOSCAに参画。金融やビジネス、資産運用系のジャンルを中心に、5,000本以上の執筆・編集経験を持つ。他にも中小企業への取材や他ライターのディレクション等、様々な形でコンテンツ制作に携わっている。

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