矢野経済研究所
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世界の気温上昇が止まらない。世界気象機関(WMO)は7月3日の世界の平均気温が観測を始めた1979年以降の最高値17.01℃となったと発表した。これ以降、連日、最高値を更新、7日には17.24℃を記録した。海水温の上昇も続いている。世界の海面温度は5月~6月に過去最高を記録、南極の海氷レベルも観測以来過去最低水準まで低下した(WMO)。米海洋大気庁によるとこの9日から10日にかけてメキシコ湾からフロリダ半島南西部の一部海面温度は35~36℃に達したという。

気温と雨量の相関は言うまでもない。9日から10日にかけて米ニューヨーク州に降った大雨は「千年に一度」と形容された。日本もまた然りである。九州は再び豪雨災害に見舞われた。2014年の広島北部豪雨以来、“線状降水帯” の発生はもはや日常茶飯事である。「数十年に一度」の大雨も各地で頻発する。多くの人命とともに生活基盤、経済活動、都市機能、そして、生態系そのものが危機に晒される。

猛暑の直接的な要因は太平洋の日付変更線から南米ペルー沖の海水温が平年より高くなるエルニーニョ現象である。7年ぶりに発生した今回のエルニーニョは通常より温度差が大きい “スーパー・エルニーニョ” と呼ばれ、影響は広範かつ深刻だ。スペイン、ポルトガル、イタリア、北米、中国、アジア各国で記録的な猛暑となっており、インド北西部では最高気温が50℃を越えた。

エルニーニョの “スーパー化” の背景に地球温暖化があるだろうことは誰もが察するところである。一方、“異常気象は10万年単位で繰り返される地球のサイクルが主因である” など地球温暖化を過小評価する向きもある。しかしながら、産業革命以降、世界の気温上昇の速度を押し上げた要因にCO2濃度の増加があることは疑う余地はなく、であれば私たちは私たち自身に出来ることを政策的に進めるしかあるまい。

今年11月~12月、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイでCOP28が開催される。議長を務める産業・先端技術大臣スルタン・ジャベル氏がアブダビ国営石油のCEOを兼務していることへの批判も根強い。しかし、その彼も「化石燃料の段階的な削減は避けられない。2050年までに排出の実質ゼロを達成したい」との考えを表明、「エネルギー転換は既存業界にとってもチャンス」であると語っている。COPは常に先進国と途上国など様々な立場の国益が対立する場となる。それゆえに調整役として彼の手腕が問われる。大胆かつ実効性の高い “現実解” に期待したい。

今週の“ひらめき”視点 7.9 – 7.13
代表取締役社長 水越 孝