亡くなった被相続人の預金がどの金融機関の口座に、どれくらいあるかを正確に把握するにはどうすればよいか?について見ていきます。
相続人が知らない銀行口座は意外とあるものです。
相続税の課税漏れとならないようにするのはもちろん、預貯金債権には10年という時効があり、遺産分割の対象にせずに10年を過ぎてしまいますと銀行のものとなってしまう可能性もあります。
1. 預金の探し方
被相続人の預金通帳や口座開設届、キャッシュカード、振込明細等を探します。
通帳等が見つかったら、その金融機関に残高証明書を発行してもらって金額を確定させます。
なお必ず「被相続人の死亡日現在の解約価額(経過利息込み)」の残高証明書を取得することにご注意下さい。
また残高証明書の取得にあたっては、通帳をお持ちの口座に限らず、「取引支店の全口座」分の記載依頼をしましょう。
特に、ゆうちょ銀行の場合は、簡保保険も含めて「現存照会手続き(取引口座の網羅性を確認する手続き)」をする事が必要です。
1-1. 遺品の中から何かヒントを
遺品を整理していくと、通帳やキャッシュカードはなかったけど、金融機関のカレンダーや郵便物、メモ書き等で見たこともない金融機関がある場合があります。
そういった預貯金している可能性が高いと推測される金融機関に対しては「残高照会」を依頼します。
その際、支店ごとに照会するのではなく、全店照会(名寄せ)します。
ただし、手間だけでなく、費用もかかるので、残高照会の依頼先については慎重に吟味した方がいいでしょう。
1-2. 通帳の中身にもヒントがある?
銀行間での預金の移動をした事がある人も多いのではないでしょうか?
ご自身名義のA銀行からB銀行へ口座を移動させることです。
その場合通帳にはA銀行には預金が減っていてB銀行は預金が同額増えています。
このようにA銀行とB銀行の通帳があれば、つじつまが合うのですが、A銀行からお金が減っているのに増えた銀行口座が見当たらないとなれば、必ず他の銀行口座があるはずなのでそこからたどっていく方法もあります。
また通帳が最近の通帳しかない場合は金融機関にいけば、手数料は取られますが最高10年間の取引明細書を発行してくれるので依頼するのもいいでしょう。
- 参考:税務署より怖い民法の話
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冒頭でも触れましたが、預貯金債権の時効は10年です。
つまり、10年を経過すると銀行は相続人に対して預貯金を返さなくてよくなり銀行のものとなってしまうのです。
例えば、税務調査等で預金の計上漏れが発覚すると相続税率(最高55%)+加算税(最高15%)+延滞税を課税されたとしても、何パーセントかは手元に残ります。
しかし、時効が成立してしまうと、100%手元に残りません。
実際、金融機関はこの休眠口座から得る利益は莫大なもののようですね。
2. 預金の相続税評価
預金は原則、相続発生日の残高で評価します。また定期預金については既に発生している利息(既経過利息)も評価に含めなければなりません。
対象財産 | 評価額の確認方法 |
現金 | 保有金額 |
預貯金 | 普通預金の場合、相続発生日までの残高 定期預金の場合、相続発生日までの残高に利子を加えて、源泉徴収税を差し引いた金額 |
(提供:相続サポートセンター)