釣りを「ただの趣味」ととらえ、今までにあまり興味を示してこなかったのなら、経営者としては少し損をしているかもしれない。釣りは企業経営においてもビジネスにおいても、さまざまなプラスの効果をもたらすからだ。詳しく説明していこう。
目次
経営・ビジネスに求められる要素
そもそも経営・ビジネスを成功させるために必要な要素とは何かを、まず考えてみよう。その要素が、釣りを始めることによって得られるなら、経営者にとって釣りを始める意義があると言える。
人間力
ビジネスには「人間力」が求められる。あなたが経営者であれば、事業やサービスを開発・提供する際にさまざまな人を巻き込み、高い向上心を持って働いてもらわなければならない。人間力があれば、多くの人を惹きつけ、高いモチベーションを維持して仕事をしてもらえるはずだ。
業務に関するスキル
人間力だけではなく、業務に関するスキルや専門知識を経営者が持っていることも、ビジネスの成功に結びつきやすい。
たとえば米EV(電気自動車)大手テスラのイーロン・マスクは、自身がプログラマーであったことで知られる。現在は直接プログラマーとして手を動かさないとしても、自社製品の性能を高めるための的確な指示を技術者たちに出せれば、ビジネスや品質向上のスピード感は飛躍的に高まる。
人脈づくり
人脈作りもビジネスを成功に導く上では欠かせない要素だ。事業においては、相性が良い企業と企業が良好な関係を築いた上でタッグを組めれば、「1+1」でも「2」以上の成果が出ることがある。そのことをより容易にするのが、経営者の人脈の幅広さだ。
深い思考にダイブする時間
「戦略作り」は当然、企業経営やビジネスにおいて結果を左右する。そしてその戦略を練るためには、しっかりと自分の頭の中で考えを巡らせることが必要になる。つまり、深い思考にダイブすることが求められるわけだ。こうした点から考えると、思考する時間を確保できないことは経営者にとってはかなり致命的なことであると言える。
釣りは2つの要素を得られる
経営・ビジネスに求められる要素を4つ挙げたが、釣りを趣味として始めるとこのうちの2つの要素が手に入る。「人脈作り」と「深い思考にダイブする時間」だ。
「人脈作り」としての釣り
経営者の中には釣りを趣味にしている人が少なくない。民間調査会社の東京商工リサーチが2016年に行った調査では、社長を対象にしたランキングで3番目に多かったのが釣りだった。
つまり釣りを趣味にすれば、自分以外のさまざまな社長と「共通点」を持てることになり、このことは人脈作りに非常に役に立つ。趣味の話で盛り上がれば関係が深まりやすいし、経営者の釣りコミュニティなどに参加すれば、人脈は一気に広がる。
釣りで人間同士の仲が深まることがイメージできない人は、映画やテレビドラマとしてもヒットした『釣りバカ日誌』というマンガを頭に思い浮かべてほしい。
釣りバカ日誌では、平社員のハマちゃんと経営者のスーさんが釣りを通じてさまざまな珍騒動を繰り広げながら、仲を深めていく。2人は経営者同士ではないものの、釣りが関係をぐっと近づけるのに一役買うということがイメージできるかと思う。
深い思考にダイブする時間になる
そして釣りで得られる2つ目の要素が「深い思考にダイブする時間」だ。釣りをしていると、仕掛けに魚がかからない時間が生じる。この時間は何か考えごとをするのには最適だ。じっと水面を眺めていると、考えごともはかどりやすい。
座っていた方が考えをめぐらせやすいのであれば、少し値が張ったとしても、釣り用品やキャンプ用品の有名メーカーの座り心地が良いアウトドア用のイスを用意したい。コーヒー好きな人は、魔法瓶に入った温かなコーヒーを思考のお供にしてもいいだろう。
「野外ミーティング」という発想
もう1つ、経営者にとっての釣りのメリットを挙げておこう。釣りを通じて人間同士の仲が深まりやすいことは前述の通りだが、釣りはゴルフと同じように、言わば「野外ミーティング」といった側面もある。
釣りもゴルフも、1回ごとにある程度長い時間がかかるものだ。ゴルフなら4〜5時間、釣りの場合はそれ以上の時間を共にすることも少なくない。そのため、一緒に釣りをする仲間と自然とさまざまな話をすることになる。
新たなる成功の突破口に
釣りという趣味自体も魅力的なものだが、経営者が釣りを趣味にすれば、この記事で紹介したような+αの効果も得られる。
ビジネスで行き詰まりを感じていたり、さらなる成功に向けたきっかけを求めていたりするなら、一度、気分転換の意味も込めてぜひ釣りを始めてみてはいかがだろうか。そのことが新たな成功の突破口になるかもしれない。
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文・岡本一道