遺産相続という言葉自体は知っていても、ある人が一生の中で経験するのはせいぜい多くて2~3回程度のものです。ほとんどの人は慣れない手続きに戸惑うものですから、あらかじめ流れを知っておくことは大切です。
1. 遺産分割とは
相続が発生すると、被相続人(亡くなった人)の名義になっていたあらゆる財産的価値を持つものが相続人に承継されます。ただ、民法の決まり通りに引き継ぐ必要はなく、法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)全員が合意すれば自分たちの納得のいくように分けてよいのです。この法定相続人全員での話し合いのことを「遺産分割協議」と呼んでいます。
2. 相続人調査をする
遺産相続をするにあたって最初にやるべきことは相続人の調査です。ここで相続人を漏らしてしまうようなことがあればその先の手続きはすべて意味がないものになってしまいますので慎重に進めなくてはなりません。法定相続人全員を調べるためには「被相続人の戸籍を、死亡時から出生まですべて遡る」という作業を行います。役所による戸籍のコンピュータ化、戸籍法の改正、婚姻、転籍、養子縁組など、あらゆる理由で作り変えられた被相続人の戸籍謄本、除籍謄本を取ってそこに記載されている子供を調べ上げるのです。
3. 相続財産調査をする
相続人調査と同時並行でやっておきたいのは相続財産調査です。被相続人の名義になっていたものをくまなく調べるというのは実はかなり骨の折れる作業になります。手がかりになるものは被相続人が残した遺品、特に郵便物などでしょう。こういったものから相続人も知らなかった預貯金などが判明することもありますし、場合によっては知らなかった借金が見つかることすらあります。その他の重要な資料は、特に不動産につき市区町村長役場の税務課で取得する固定資産税評価証明書や名寄せ台帳などの書類です。こういったものを取り寄せることにより、面積の小さい土地なども発見できることがあります。
4. 遺産分割協議をする
相続人、相続財産の調査が終わったらいよいよ遺産分割協議に入ります。遺産分割協議の結果をまとめた「遺産分割協議書」という書類は、あらゆる相続手続きで使用しますので法定相続人全員が実印で押印して作成することになります。実際の遺産分割は被相続人と相続人各人の関係や貢献度、被相続人からの援助の有無など色々な事情で調整していくことになりますが、ここでまとまらないケースも珍しくないため、自分たちだけでどうしても無理だと思ったら早めに弁護士への相談を検討することも大切です。特に相続税申告が絡んでいる人については申告期限(相続開始を知ってから10カ月)に間に合わないと税務的に不利になることもあるため、一刻も早く協議をまとめなくてはなりません。戸籍収集などは専門家に任せて取得してもらうこともできますので、なるべく早め早めの準備を心がけましょう。(提供:相続サポートセンター)