相続サポートセンター
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土地というのは、世の中にひとつとして「全く同じ」ものが存在しない点が価値を計る上では難しいところです。
つまり、一見同じように見えても、立地、形状、道路との関係などさまざまな要素で価格が変動するのです。また、同じ土地が周辺の状況によって価格変動することもありえます。では、土地を相続する場合の問題および、代表的な評価方法を見てみましょう。

1. ☆遺産分割で問題になりやすい?

遺産分割で一番、評価が問題になりやすいのは不動産ではないでしょうか。相続税を計算する上での基準は明確に定められていますが、遺産分割協議における不動産の評価方法は法律で決まっているわけではありません。つまり、相続人同士の話し合いに委ねられるため、各人が自分の都合で評価方法を主張し、それらが対立することも考えられます。
不動産は「一物四価」とも呼ばれており、対象不動産の主な評価方法として「時価」「公示価格」「固定資産税評価」「路線価」といった評価方法があるので、同じ対象物でもさまざまな価格になるのです。
「時価」というのは、実際に市場に出して売買した際に売れる価格のことですが、これは時代や周辺環境の条件によって大きく変化する可能性があります。
「公示価格」というのは、国土交通省が「標準地」を基準として選定した3万点余りの土地について、毎年1月1日時点の地価を不動産鑑定士の評価に基づいて毎年3月下旬に公示しているものです。
「固定資産税評価」とは、固定資産税課税のための基礎となる評価額ですが、市区町村長が3年ごとに評価替えを行い、不動産取得税や登録免許税など他の税金の指標としても使われているものです。
「路線価」は税務署やインターネットなどで公表されている「路線価図」によって調べることのできる土地価格であり、相続税や贈与税の指標として使われているものです。
どの価格を使うかということ自体、相続人間での意見がまとまらない場合は遺産分割ができない=名義変更もできないということになり、最終的には調停や裁判などに発展するケースもあります。

2. ☆路線価方式による評価方法とは

では、相続税における土地の評価について考えてみましょう。宅地を評価する場合、その土地が存在する場所によって「路線価方式」「倍率方式」のどちらを使うかが決まっています。自分が相続した土地がどちらの方式なのかというのは管轄税務署の「財産評価基準書」によって確認することができます。
基本的に、市街地にある宅地は「路線価方式」で評価されます。路線価とは「道路に接する標準的な土地1平方メートルあたりの価額のことです。おおよそ、時価に対して8割程度の金額になることが多く、毎年7月に国税庁から公表されています。上記に述べたようにインターネット及び国税局や税務署で閲覧可能です。
具体的に計算する方法としては「対象となる敷地が接する路線価×土地の面積」といった式が基本になります。ただ、宅地の形状といっても本当に様々で、間口が広い、狭い、角地であるなど、形状や条件は千差万別です。そのため、すべての土地を一律に定めることは適切ではないという判断のもと、「画地調整」という評価額の調整が行われます。これは、路線価にそれぞれの条件により定められた調整率をかけて計算します。画地調整にはこのようなものがあります。

1.一方のみ道路に面している場合

道路からの奥行きの距離が長め、短めといった土地は通常より安く評価されます。
評価額=路線価×奥行価格補正率×面積

2.正面と側方で道路に面している場合

2面が道路に面している角地は利用価値が高いとされているため、評価額も高くなり、 正面と側面が道路に接している場合
A.正面路線価×正面の奥行価格補正率
B.側方路線価×側方の奥行価格補正率×側方路線影響加算率
C.評価額=A+B×面積

3.正面と裏面が道路に接している場合

A.正面路線価×正面の奥行価格補正率
B.裏面路線価×裏面の奥行価格補正率×二方路線影響加算率
C.評価額=A+B×面積

また、間口が狭い、奥行が長すぎる、がけ地にある、形状がいびつであるなどの土地は、それぞれの補正率をかけて評価額を減額することになっています。

3. ☆倍率方式による評価方法とは

路線価が定められていない地域では、「倍率方式」という計算方法を使います。倍率方式では「評価額=固定資産税評価額×倍率」のように、固定資産税評価額に国税局長が一定の地域ごとに定めた倍率をかけて評価額を求めます。
倍率はその宅地が過去に売買された実績の価格や公示価格、不動産鑑定士による鑑定評価額などをもとに定められており、インターネットや税務署の「評価倍率表」で閲覧することもできます。

3-1. ☆まとめ

特に路線価を使った計算は、土地の条件を考慮することが必要なため若干難しく感じられることでしょう。実際の計算は専門家に任せるとしても、自身の土地の利用価値を知るために知識をつけておくことは大切です。(提供:相続サポートセンター