利便性の維持・整備を念頭に置いた高齢者住宅の供給に期待
~現在の生活環境や生活圏の維持を加味した住宅環境の整備に注目~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の高齢者向けの住宅市場を調査し、高齢者向けの住宅環境の現状、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。
1.市場概況
高齢者住宅市場(有料老人ホーム、軽費老人ホーム、シルバーハウジング、サービス付き高齢者向け住宅の4類型計)は年々新築供給での整備が進んでいる。国土交通省の住生活基本計画の中では、2030年までに高齢者人口に対する高齢者向け住宅の供給割合を4%とする目標を掲げており、その達成に向けて各事業者が新規供給を進めている。
2.注目トピック
高齢者住宅紹介事業者の役割拡大に期待
高齢者住宅は、老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など様々な類型があり、各類型の詳細や違いを認識するのは一般的に難しい。
入居対象となる要介護期の高齢者にとっては、一人一人に適した住環境、立地や金銭的負担の許容度合いなど、個別事情が異なる。そうした諸事情を汲み取り、高齢者住宅に関する有益な情報を利用者本人や家族に向けて情報提供するのが高齢者住宅紹介事業者である。
高齢者住宅が増え続ける中、物件ごとの特色の多様化や細分化が進むことで情報量が多くなっている。この情報を高齢者本人の立場になって検討し、住宅ごとの特徴やサービスに関する情報提供およびマッチングをさせることができるのが紹介事業者である。まだ紹介事業自体の認知度が低い状況であるため、今後はそれが向上していくことで、高齢者住宅紹介事業者の役割が大きくなっていくことが期待される。
3.将来展望
高齢者住宅に求められる要素として、開発用地の立地条件が挙げられる。これまでアクティブに生活をしてきた高齢者層にとっては、今後も現在の生活環境がベースとなる暮らしが求められている。地方であっても、その地方圏の中での都市部や中心部の立地、電車やバスの交通利便性が良好な立地、自然よりも買い物や娯楽施設の近隣地域が生活圏となっていることが多いため、高齢者の住宅環境においては利便性の維持・整備を念頭に置く必要がある。
日常生活を楽しめて、これまで以上に安心して暮らせる高齢者住宅を提供していくことが必要であり、現在の生活環境や生活圏と変わらない住宅環境の整備を進めていかなくてはならないと考える。
調査要綱
1.調査期間: 2022年10月~12月 2.調査対象: 高齢者住宅及び施設の供給・運営事業者、高齢者住宅紹介事業者等 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・email等によるヒアリングおよび文献調査併用 |
<高齢者住宅市場とは> 本調査における高齢者住宅とは、高齢者が生活しやすいように設計された住宅とし、介護サービスや高齢者向けの生活支援サービスを受けることが容易な環境が整備されているバリアフリーの集合住宅及び介護保険施設のことをさす。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム、ケアハウス、シニア向け分譲マンション、シルバーハウジング、介護老人保健施設 |
出典資料について
資料名 | 2022年版 高齢者住宅市場の徹底研究 |
発刊日 | 2022年12月28日 |
体裁 | A4 199ページ |
価格(税込) | 165,000円 (本体価格 150,000円) |
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