日々の売り上げや利益を気にしている会社経営者は、世の中の多くの人よりもお金の使い道に敏感なはずだ。一般に高額消費と言えば、住宅や自動車、腕時計などである。このうち、住宅は実家があることから買わない選択肢もあるので、今回は多くの経営者が検討すると思われる自動車の購入に関し、3つの留意点を紹介する。

目次

  1. 自動車は「移動の手段」?
  2. 自動車は「空間」としても有用
  3. 自動車は「ブランディング」としても有用
  4. 経営者が車を選ぶ際に考えること
  5. 去り際の後ろ姿をどう演出するか
節税以外の「3つの視点」で考える経営者の車の選び
(画像=beeboys/stock.adobe.com)

自動車は「移動の手段」?

当然、自動車は「移動の手段」である。ただ、それでは電車やバスと変わらない。自動車がそれらの公共交通機関と異なるのは、いわゆる「ドアtoドア」で動ける点にある。つまり、自宅からオフィス、オフィスから取引先、取引先から他の取引先へダイレクトに移動できる移動手段だ。

これは、時間の節約という面で大きなメリットがある。電車やバスでは移動区間によって乗り換えも必要になる。乗り換えや駅(停留所)から目的地への徒歩の時間も含めると、時間のロスが大きい。一方、自動車は渋滞したり、事故に遭ったりしない限りは、最短の所要時間で到着できる。

ただし、自動車というのは保有に相応のコストがかかる。日常的な費用ではガソリン代のほか、2年ごと(新車購入後の初回のみ3年)の車検代、エンジンオイルやタイヤの更新代、毎年の車両税などがある。

また、賃貸物件に住んでいる場合は、駐車場を確保しなければならない。住んでいる地域によるが、地方でも中心都市なら月1~2万円ほどの駐車場代がかかる。これらを合計すれば、月数万円の出費増になってしまう可能性もあるので、自動車を持つ場合は念頭に置いておくべきだろう。

自動車は「空間」としても有用

さて、自動車は基本的に移動手段ではあるものの、外界と遮断されたプライベート空間である点も特徴の1つだ。

車内では、移動中に電話連絡やウェブ会議に勤しんだとしても、誰にも迷惑を掛けない。もし運転手がつくような立場なら、上記のような使い方を駆使することで生産性を上げられる。

もちろん、車内ですべきは仕事ばかりではない。自分で運転するなら、好きな音楽を大きな音量で流しても良いし、仮に運転手が付くなら、ゆっくりと仮眠をとるのも良い。その場合、前者ならオーディオにこだわった車が合うし、後者ならリクライニング機能に優れたワゴンタイプが望ましいだろう。

自動車は「ブランディング」としても有用

例えば、取引相手が持っている名刺入れやペン、バッグなどを見て「この人はセンスが良い」「オシャレだ」と思ったことはないだろうか。その相手がクリエイティブな職業だとしたら、それは演出の一環として選んだ物かもしれない。

米国で提唱された心理学上の概念に「メラビアンの法則」がある。これは、感情や気持ちを伝える際に、どんな情報に基づいて印象が決定づけられるかを調べた結果であり、言葉よりも態度や表情といった外形的な要素が印象を決めることがわかっている。

これが転じて「人は見た目が9割」といった主張になる。それだけ見た目が持つインパクトは大きく、例えば、セルフブランディングとして「成功している経営者」を印象付けたいなら、それなりの高級車に運転手を付けたり、高価格のスポーツカーに乗ったりするのがベターだろう。

一方で「創造的な人」と思われたいなら、レトロな輸入車などに乗れば、相手に「こだわり」「美意識」といったものを感じさせることができるかもしれない。「力強い人」と思われたいなら、ややアウトドアテイストの入った車も良いと言える。

もっとも、ビジネスシーンであまり目立った車に乗っていくと、好意的に思わない人もいる。何事も限度をわきまえることが大切だ。

経営者が車を選ぶ際に考えること

ここまでは、「移動手段」「プライベート空間」「ブランディング」という3つの視点から、自動車を持つメリットとデメリットを紹介してきた。各項目でも少し触れてきたが、自動車は新車に中古車も含めると、車種が無数にある。

その中には全ての要望を満たす車もあるかも知れないが、現実的には以上の3つの視点に優先順位を設け、予算に応じて最適な車を探してはいかがだろうか。

もちろん、3つの視点だけではなく、次の車検までの期間、数年後に売却した場合に想定される価格など、他にも考慮すべき点を挙げればキリがない。確かに選択肢は無数にあるが、数百万円の出費に当たり、考えられる条件は可能な限り意識しておきたいところだ。

去り際の後ろ姿をどう演出するか

このように、自動車は単に乗り物であるだけでなく、自らの所有物の1つとして、イメージづくりにも関係してくる。

よく「第一印象が大切」と言う。確かにそうだろうが、去り際の印象も同じぐらい大切ではないだろうか。例えば取引先を訪れた際、到着時は車を降りて1人で建物に入るのが普通だが、帰りは玄関前まで見送られることも多いはずだ。相手は、あなたの訪問に伴う最後の印象を、車の後ろ姿を見て抱くことになる。

そう考えると、仮に実用性を重視して車を選ぶケースであっても、見た目を気にしないわけにはいかないと分かるだろう。大切なのはバランスであり、やや大げさに言えば、自分が経営者としてどのように生きたいか、どのように見られたいかを具体化するツールの1つとして、愛車選びにはじっくりと時間をかけたいところだ。

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文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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