三種の神器
(画像=Rido/Shutterstock.com)
黒坂 岳央
黒坂 岳央(くろさか・たけお)
水菓子肥後庵代表。フルーツビジネスジャーナリスト。シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、東京で会社員を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。ビジネス雑誌やニュースサイトでビジネス記事を書いている。著書に『年収1億円超の起業家・投資家・自由業そしてサラリーマンが大切にしている習慣 “億超えマインド"で人生は劇的に変わる!』など。

利益を出し続ける経営者であり続けるには、三種の神器を保つ必要がある。それは「マーケティング、IT、英語」だ。この3つは会社を力強くリードする経営者が持っておくべき3大スキルである。

マーケティングは社長が最も適任な仕事

「社長の仕事は何か」と問われると「意思決定」とか「未来を見せる」などいろいろな意見が出てくるだろう。だが、ビジネスの大義を語る前に必要なのは「売上」である。一人社長ならいざしらず、従業員の人生を抱えて会社を成長させていくなら、売上がなければ何も始まらない。

必要なのは会社の製品サービスをたくさん売ってくれるセールスマン社員ではなく、社長自身が自分で新たな売上を上げ続ける「売る力」なのである。

筆者は高級フルーツショップを経営していたり、英語多読を用いた英語学習のオンライン学習プログラムを運営したりしている。細かい作業は従業員におまかせして、新サービスの開発や、販路の拡大は筆者がすべてやっている。

カスタマーサポートなどは従業員におまかせしてよいが、そもそもの売上を作る「マーケティング」は社長こそが適任と言えよう。もっともアジリティに優れ、決断力、決裁権を持っているのは他ならぬ社長なのだ。

経営者はITオンチ?プログラミングができなくてもIITは導入できる

日本の経営者はITオンチと言われる。筆者は過去に親類が経営する会社にお邪魔させてもらったことがある。そこには手書きの出退勤シート、連絡のやり取りは連絡ノートというアナログっぷりだった。月末には出退勤の時間の手計算に終われ、ビジネスコミュニケーションの齟齬でトラブルが発生していたのだ。

筆者は出退勤管理をICカードに変え、ビジネスコミュニケーションにチャットワークを導入。アナログをひたすらデジタルへと切り替えるように進言した。結果として月末の勤怠時間計算に数日要していたものが、自動計算システムを用いるとわずか5分間で完了し、ビジネスコミュニケーションも齟齬が一切なくなった。

また、システムに強い人間を他の社員より給与を高く設定することで採用しようとしていたため、クラウドソーシングで人材を採るよう進言。「人件費は固定費なので辞めたほうがいい。ある程度難しいシステムは外注して変動費にするべき」と伝えて、より効率的な採用を実現させた。

筆者は経営者に特別高度なプログラミング能力が必要、と言いたいわけではない。業務の非効率性を改善するためには効率的なシステムを見つけて、それを恐れず導入する。不要な人件費や経費削減につなげていく力が必要だ。

英語は世界市場に進出するための最高の武器

今の世は国内だけでなく世界的な情報発信力が物を言う時代だ。YouTube動画に英語字幕を入れるだけで海外からの視聴者も加わって、再生数が数倍、数十倍へと跳ね上がるケースもある。

動画配信だけで稼ぐYouTuberに限った話ではなく、たとえば国内の部品メーカーが部品の仕様の英語版、動画で部品の細かい様子を英語で発信するだけでも、マーケットは日本を飛び越えて世界になる。

実際、筆者の知っているある町工場の部品メーカー社長は、自社のネジを英語の媒体で発信したことで大きく売上を伸ばすことができた。他にも筆者の知っているフルーツ狩りの経営者は、英語で果物狩りのPR広告を打ち出したところ、インバウンド需要の波に乗り、今では利益の多くを外国人観光客から得ている。

筆者は社長が英語に強くなって、細々とした作業を英訳することをせよと言っているのではない。英語ができなければ、海外の事情を知ることはできないだろう。だから海外のマーケットを自社の売上に加える、という意思決定や情報収集のために英語力を身に着けよという意味である。

日本はこれから人口減少、少子高齢社会へと突入していく。マーケットは今後、右肩下がりに縮小し続けるだろう。海外という販路を持つことで、この逆境に打ち勝つことが出来るかもしれない。

いずれのスキルも、現場の従業員におまかせという経営者も少なくないだろう。だからこそ、この三種の神器を見につけておくことは他社との差別化において必須事項なのだ。

文・黒坂 岳央(水菓子肥後庵代表 フルーツビジネスジャーナリスト)