肥後銀行 岡本さん

日本M&Aセンターが行うM&A大学。 その卒業生として最前線で活躍するOB・OGバンカーに気になる情報をインタビュー。

今回は肥後銀行 法人コンサルティング部 事業承継・M&A室 推進役代理 岡本 遼平氏にインタビューした。

M&A大学とは
日本M&Aセンターが協業する地域金融機関に向けて行う、研修・出向制度。M&A大学入学者(地銀からの出向者)はM&Aシニアエキスパート研修(JMAC)、評価・概要書研修などの座学と日本M&AセンターとのコンサルタントによるOJTなどを経て、自ら顧客への提案からM&Aの成約、契約の締結までを完結できるM&Aコンサルタントとなることを目指す。

まず、入行から現在までのご経歴について教えてください。

岡本:元々、生まれ育った熊本で働き地域に貢献したいという気持ちがありました。金融機関であれば、個人から法人に対して幅広く貢献ができると思い、肥後銀行を就職先として希望していたところ、ご縁があり入行できました。

2008年に入行し、熊本県内外の4支店で営業や融資を学んだ後、2018年4月より日本M&Aセンターに半年間出向しました。2018年10月に出向から戻り、法人営業部(現法人コンサルティング部)でM&A業務を担当しています。

出向される前はM&Aに対してどのような印象をお持ちでしたか?

岡本:日本M&Aセンターに出向するまでM&Aに携わったことはなかったので、「M&Aって難しそうだな」といった漠然とした印象がありました。営業店の行員としての業務は、M&Aに関するお客様の情報を本部に共有することですので、M&Aのディール自体に携わる機会はありませんでした。ですので、そもそも銀行がM&A業務を行っているという印象も薄かったですね。

日本M&Aセンターへ出向された期間についてお話をお聞かせください。

岡本:配属されたチームが「仕事は自分で学んでいく」というスタンスでしたので、最初はとても苦労しました。一方で、机上での勉強だけではなく、提案活動やクロージング等、M&Aの実際のディールを一気通貫して経験させていただいたため、実際のやりとりだけではなく、現場の雰囲気そのものを知ることができたのは非常に貴重な機会となりました。短期間であらゆるディールステージを経験したため、出向から戻ってきた後もスムーズに業務に入っていくことができました。出向期間中に譲渡企業との受託折衝というシビアな経験を積むことができなかったことは唯一の心残りではありますが、出向経験はなにものにも変え難い貴重な時間でした。

多くのディール経験を積まれた中で、特に印象に残っているディールについて教えてください。

岡本:私が最初から最後まで携わった熊本のディールです。熊本の譲り受け企業に譲渡希望の案件をマッチングし提案したところ、「ぜひ譲り受けたい」とのご意向をいただきました。提案したのは8月頃でしたが、譲り受け企業・譲渡企業双方の意思が固まっていたこともあって10月にクロージングとなり、スピーディーに成約まで至った案件でした。私が最初から最後まで携わった案件で思い入れが強かったのと同時に、私の提案が譲り受け企業の社長に刺さった時の心地よさもあり、特に印象に残っています。

肥後銀行 岡本さん

半年間の出向期間でご自身の案件を成約させているのはすごい実績ですね。

岡本:ありがとうございます。もちろん自分の力だけではなく、日本M&Aセンターの案件担当者や肥後銀行のM&Aチーム、そして何よりお客様のご協力があって初めて成約ができたと考えています。

貴重なお話ありがとうございました。それではここからは、現在の貴行におけるM&A支援の取り組みについてお聞かせください。

岡本:私が出向から銀行本部に戻った2018年当時は、親族内承継担当が1名、M&Aチームが2名でしたが、事業承継に対するお客様のニーズの高まりを受け、2021年10月から「事業承継・M&A室」として室長以下12名に増員し、支援体制を強化しました。また、親族内承継とM&Aの担当割りを撤廃し、室員全員がお客様の課題にワンストップで対応できる体制を整えています。ここ熊本においても事業承継問題は非常に関心が高く、この問題の解決は地域経済に大きく資すると思っていますし、お客様からはもちろんのこと、行内からの期待も高まっているように感じています。

貴行内でM&Aをより普及させるために、今後取り組んでいきたいことはどのようなことですか?

岡本:銀行が事業承継・M&Aの支援をしていることをご存じないお客様がまだまだ多いのが実情です。「事業承継について相談するなら、まずは肥後銀行」とお客様に思っていただけるレベルにまで認知度を上げていきたいと思っています。そのためには、お客様を担当する現場の行員が、事業承継についてお客様と対話しやすくなるようなツールを導入することが重要だと考えています。現在、そのようなツールとして日本M&Aセンターグループが提供する企業評価システム「V-Compass」の導入を進めています。V-Compassを対話ツールとして使うことで、行員とお客様が経営について話すきっかけにしてもらい、そこからお客様が様々な課題やニーズについて行員に相談しやすくなるような環境を整えていきたいです。

日々顧客対応をされる中で、コロナ禍を受けて感じる変化はありますか?

岡本:コロナ禍はもちろんのこと、熊本県では震災や豪雨といった災害が立て続けに発生したため、廃業を検討するお客様が増えたように感じます。当行へのご相談はもちろんのこと、日本M&Aセンターのグループ企業が運営するBATONZ等、様々なM&A支援プラットフォームを利用するお客様が徐々に増えてはきているように感じます。

日本M&Aセンターへ期待することがあればお聞かせください

岡本:先程お話ししたように、後継者不在企業にとってM&Aが事業承継問題解決の有効な手段であるということを、まだまだお客様に浸透できていません。身売りといったネガティブイメージを持っている方が未だに多い印象です。そうではなく、M&Aは前向きな事業承継手法の一つであるということをお客様に認識いただくため、日本M&AセンターにはセミナーなどのPR活動を一緒に取り組んでいただきたいと考えております。その点では、2021年に当行と日本M&Aセンター共同で行った事業承継・M&Aカンファレンスは内外で大きな反響がありました。

事業承継・M&AConference2021の開催に伴い、岡本さんには大変ご尽力いただきました。

岡本:事業承継・M&Aカンファレンスでは、CM製作という初めての仕事をしたことが印象深いです。ブロック統括店の支店長15名にCM出演頂く企画で、なじみのある支店長の顔をお客様に見ていただくことで、このカンファレンスを認知していただくとともに、行員も日ごろ業務をともにする支店長が出ることで関心が高まるという効果があると考えての施策でした。企画自体は面白いものとなりましたが、多忙な支店長15名の撮影スケジュール調整に苦労したり、ドローン空撮を実施したため天気にも悩まされ、こんな企画するんじゃなかったと後悔もしました(笑)。ですがその甲斐あって、放映期間は一か月間でしたが、内外で大きな反響がありました。

最後に、岡本さんの今後の目標を教えてください。

岡本:事業承継・M&A支援を銀行の当たり前の業務の1つとして浸透させていきたいです。まだまだ事業承継に関するお悩みを銀行にご相談いただけるお客様は多くありません。肥後銀行が事業承継の課題を解決できるパートナーであることをお客様に認知していただき、銀行の幅広いソリューションによって、より多くのお客様の悩みを解決する、そのような環境にしていきたいと考えております。

肥後銀行 岡本さん

(インタビュー終わりに『あか牛Dining yoka-yoka』にて熊本名産「あか牛丼」をご一緒に頂きました。ミディアムレアで焼かれたあか牛が贅沢に敷き詰められ、非常に美味しい一品でした。)