法人税,クレジットカード,納付
(写真=PIXTA)

法人税などの国税も、クレジットカードで納付できる。個人名義のカードでも問題ない。法人税をクレジットカードで納付することには、税金を一元管理できるなどのメリットがある。この記事では、法人税をクレジットカードで納付するメリットや方法、注意点などを解説する。

法人税もクレジットカードで納付できる

これまでは現金を用意して金融機関や税務署の窓口、あるいはコンビニなどで納付するしかなかった法人税だが、2017年1月からクレジットカードでも納付できるようになった。法人税だけでなく、以下の税金もクレジットカードで納付できる。

・申告所得税及び復興特別所得税
・消費税及び地方消費税
・地方法人税(連結納税を含む)
・相続税
・贈与税
・源泉所得税及び復興特別所得税
・源泉所得税
・申告所得税
・復興特別法人税(連結納税を含む)
・消費税
・酒税
・たばこ税
・たばこ税及びたばこ特別税
・石油税
・石油石炭税
・電源開発促進税
・揮発油税及び地方道路税
・揮発油税及び地方揮発油税
・石油ガス税
・航空機燃料税
・登録免許税(告知分のみ)
・自動車重量税(告知分のみ)
・印紙税

納付の方法は、「国税クレジットカードお支払サイト」で納付情報やクレジットカード情報を入力するだけなので簡単だ。クレジットカードは法人名義である必要はなく、個人名義のカードも使用できる。
https://kokuzei.noufu.jp/

クレジットカードによる税金の納付には、支払いの手間が軽減される、あるいは現金支払いを繰り延べられるといったメリットがある。決済手数料が発生するなど注意すべき点もいくつかあるが、クレジットカードによる税金納付は検討する価値があるだろう。

法人税をクレジットカードで納付する6つのメリット

法人税などの税金をクレジットカードで納付するメリットは、以下のようなものがある。

1. 支払う手間や現金を持ち歩くリスクの軽減

最大のメリットは、支払う手間や現金を持ち歩くリスクを軽減できることだろう。

これまでは現金を用意し、金融機関や税務署の窓口、あるいはコンビニなどで納付書を用いて納付しなければならなかった。しかし金融機関などに出向くには、時間も手間もかかる。また現金を持ち歩くことになるため、盗難や紛失などのリスクもある。

それに対してクレジットカードによる税金の納付では、インターネットを利用するため手間は大幅に軽減され、現金を持ち歩くリスクもなくなる。また自宅で24時間いつでも納付できるため、利便性が極めて高い。

2.税金を一元管理できるようになる

税金を一元管理できることもメリットと言えるだろう。

近年個人事業主や小規模法人は、クラウド会計ソフトを利用しているところが多い。クラウド会計ソフトは、クレジットカードの利用明細をオンラインで読み取り、帳簿を自動的に作成してくれる。

これまで法人税などの税金は現金で納付しなければならなかったため、会計ソフトに個別に入力する必要があった。クレジットカードで納付すれば他の勘定科目と同様、クラウド会計ソフトで一元管理できる。

3.手持ちの現金がなくても支払いができる

手持ちの現金がなくても納税できることも、クレジットカードで税金を納付するメリットだ。クレジットカードでの税金納付では、手続きをした日が納付日になる。したがってカード利用代金の引き落とし日が納付期限を過ぎていても、延滞税は発生しない。つまりキャッシュアウトを繰り延べできるので、キャッシュフローに余裕が生まれるのだ。

4.分割払いも利用できる

クレジットカードによる税金の納付では、分割払いも利用できる。これも、大きなメリットと言えるだろう。分割払いでは、3回、5回、6回、10回、12回、またはリボ払いを利用できる。分割払いを利用するとカード会社に利息を支払うことになるが、キャッシュフローはさらに改善する。ただし、ボーナス払いは利用できない。

5.ポイントやマイルも貯まることがある

クレジットカードによる法人税などの税金納付では、ポイントやマイルが貯まることがある。税金が多額になる場合には、これも大きなメリットになるだろう。ただし税金納付でポイントやマイルが貯まるかどうかは、カード会社の規約による。

6.家族などの国税も納付できる

家族などの国税も、クレジットカードで納付できる。納付情報に家族などの情報を入力すれば、カード名義人と異なる人の税金でも納付できる。これもメリットと言えるだろう。

法人税をクレジットカードで納付する5つのデメリット

法人税などの税金をクレジットカードで納付することには、デメリットや注意点もある。

1.決済手数料がかかる

法人税などの税金をクレジットカードで支払う際には、決済手数料がかかる。決済手数料は最初の1万円までは76円(税抜)で、以後1万円を超えるごとに76円(税抜)かかる。表にまとめると以下のようになる。

納付税額 決済手数料(税抜)
1円~1万円 76円
1万円超~2万円 152円
2万円超~3万円 228円
3万円超~4万円 304円
4万円超~5万円 380円
※以降、1万円を超えるごとに決済手数料76円(税抜)が加算される。

2.領収証が発行されない

法人税などの税金をクレジットカードで納付する場合、領収証は発行されない。領収証が必要な場合は、金融機関や税務署の窓口で現金で納付しなければならない。なお納税証明書の発行は、クレジットカードで納付手続をしてから3週間程度かかる。

3.カードの利用限度額を考慮しなければならない

クレジットカードで納付できる法人税などの税額は、当然ながらそのクレジットカードの利用限度額以下だ。クレジットカードの限度額が税額より少ない場合は、そのカードで納付することはできない。なおクレジットカードで納付できる税金の限度額は、納付手続1回につき1,000万円までだ。

4.ネット上で変更や取消ができない

クレジットカードでの法人税など税金納付に際して、誤って手続をしてしまってもネット上では変更や取消ができない。その場合は、所轄の税務署に出向いて変更・取消の手続をする必要がある。

5.クレジットカードでは納付できない税金もある

地方税は、クレジットカードでは納付できない。法人税などの国税はクレジットカードで納付できるが、地方税に関してはまだクレジットカードでの納付に対応していない自治体があるからだ。

法人税の納付で使えるクレジットカードの種類

法人税などの国税を支払うために使えるクレジットカードの種類は、以下のとおりだ。

Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、TS CUBIC CARD

個人名義のクレジットカードでも法人税を納付できる

法人税などの税金を支払う際のクレジットカードは、個人名義のものでも問題ない。「国税クレジットカードお支払サイト」においては、カード名義人の入力が求められることはないからだ。

法人税をクレジットカードで納付する方法 6つのステップ

法人税などの税金をクレジットカードで納付する方法は、以下のとおりだ。

1. 納付書を用意する

まず、法人税など税金の納付書を用意する。納付情報は自分で入力する必要があり、誤って入力した場合は、変更や取消のために税務署まで行かなくてはならなくなる。納付情報は、納付書を確認しながら間違いのないように入力しよう。

2. 国税クレジットカードお支払サイトを開く

次に、国税クレジットカードお支払サイト(https://kokuzei.noufu.jp/)を開く。

3. 「ご利用にあたっての注意事項」を確認する

国税クレジットカードお支払サイトの冒頭に、「ご利用にあたっての注意事項」が掲載されている。内容は、以下のとおりだ。

・領収証が発行されないこと
・クレジットカード納付の手続日が納付日となること
・納付手続の取り消しができないこと
・納税証明書の発行まで3週間程度かかること
・決済手数料がかかること

4. 納付情報を入力する

次は、法人税など税金を納付するにあたっての納付情報を入力する。

・氏名(漢字及びカナ、法人税なら法人名)
・郵便番号
・住所
・電話番号
・整理番号(納付書の右上に書かれている8ケタの数字)
・納付先税務署
・納税項目(法人税)
・申告区分
・本税
・加算税
・利子税
・延滞税
・課税期間
・合計金額

などを入力する。金額を間違えた場合、支払った税金は税務署で取消手続をすることで還付されるが、決済手数料は返金されない。

5. クレジットカード情報を入力する

次に、クレジットカード情報を入力する。入力する内容は、以下のとおりだ。

・カード番号
・有効期限
・支払い方法
・セキュリティコード
・納付手続完了メール送付先メールアドレス

6. 納付手続完了メールを受け取る

以上の手続を終えると、納付手続完了メールが送られてくる。

クレジットカードによる法人税の納付に決済手数料がかかる理由

クレジットカードによる税金納付は、国税庁長官が指定した民間の納付受託者(トヨタファイナンス株式会社)が利用者から納付の委託を受け、立て替え払いによって国に納付する仕組みになっている。したがって、納付受託者が国へ税金を納付した後、利用者からクレジットカードの利用代金を受け取るまで、納付受託者は貸し倒れリスクを負う一方で、利用者は現金支払いの繰り延べという利益を得ることになる。

決済手数料は、このような納付受託者のリスクと利用者の利益を考慮し、納付受託者が決定している。なお決済手数料は、国の収入になるものではない。

出典:国税庁『クレジットカード納付のQ&A』
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/nofu-shomei/nofu/credit_nofu/credit_qa.htm#a15

金融機関やコンビニ、税務署の窓口ではクレジットカードによる納付はできない

クレジットカードによる法人税など税金の納付は、インターネットでしかできない。金融機関やコンビニ、税務署の窓口などからは、クレジットカードによる納付はできない。

出典:国税庁『クレジットカード納付のQ&A』
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/nofu-shomei/nofu/credit_nofu/credit_qa.htm#a17

クレジットカードによる納付手続の内容を後日確認することができない

クレジットカードによる納付手続内容は、後日「国税クレジットカードお支払サイト」で確認することができない。納付手続内容を後日確認する方法は以下のとおりだ。

・国税クレジットカードお支払サイトの納付手続完了ページの画面を印刷するなどして保管する
・送られてくる納付手続完了メールを見る

納付手続完了メールには、以下の内容が記載されている。

・件名 国税のクレジットカード納付手続完了のお知らせ
・納付情報(納付区分番号、税額など)
・クレジットカード情報
(納税者のクレジットカード番号や氏名・住所などの情報は含まれない)

クレジットカードの利用明細には、以下のような情報が記載される。

(例)
申告所得税及復興特別所得税 または シンコクショトク/フッコウゼイ
消費税及地方消費税 または ショウヒ/チホウショウヒゼイ
法人税 または ホウジンゼイ

出典:国税庁『クレジットカード納付のQ&A』
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/nofu-shomei/nofu/credit_nofu/credit_qa.htm#a35

クレジットカード納付をするためのパソコン、スマートフォンの推奨環境

クレジットカード納付をするためのパソコン、スマートフォンの推奨環境は、以下のとおりだ。

パソコンの推奨環境

ブラウザは、IE9以上、Firefox47以上、Chrome53以上、safari9.1以上。

※1 サポートが終了しているOSを含め、上記以外は使用できないことがある。
※2 OSについてはいずれも日本語版であることが必要。
※3 OSは、最新のサービスパックを適用した上で使用することが推奨される。

スマートフォンの推奨環境

・iOS バージョン6.0以上、safari200
・Android バージョン4.0、4.1標準ブラウザ、バージョン4.2、4.4以上 Chrome、バージョン4.3 Chromium

※上記の推奨環境を利用した場合でも、端末によっては一部動作に制約がある場合や、正しく動作しない可能性がある。一部の機種で、画面の描画崩れが発生する場合もある。

出典:国税庁『クレジットカード納付のQ&A』
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/nofu-shomei/nofu/credit_nofu/credit_qa.htm#a45

確定申告書等作成コーナーまたはe-TAXからクレジットカード納付を行う際の手続方法

国税ホームページの「確定書申告書等作成コーナー」で申告書を作成した後、あるいはe-Taxを利用して電子申告・徴収高計算書データの送信あるいは納付情報登録依頼をした後に、「国税クレジットカードお支払サイト」へアクセスし、税金をクレジットカードで納付することができる。その際の手順は、以下のとおりだ。

1. 「国税クレジットカードお支払サイト」を表示する

確定申告書等作成コーナーを利用した場合は申告書を作成した後で表示される納付方法の案内画面から、e-Taxを利用した場合はメッセージボックスに格納される受信通知から、それぞれ国税クレジットカードお支払サイトにアクセスすることができる。

2. 注意事項の確認

利用にあたっての注意事項などを確認し、納付手続を開始する。

3. クレジットカード納付を行う税金の情報の確認・入力

e-Taxの場合は以下の情報が引き継がれるので、これらの内容が正しいかどうかを確認する。住所や氏名、電話番号、整理番号、納付税額の内訳などの情報は引き継がれないため、自分で入力する。

・納付区分番号
・納付先税務署
・税金の種類
・課税期間
・納付税額

確定申告書等作成コーナーには情報が引き継がれないため、すべての項目を自分で入力する。

4. 利用するクレジットカードの情報を入力

利用するクレジットカード番号や、納付手続完了メールの送信先アドレスなどを入力する。

5. 入力内容の確認

入力内容を確認する。納付手続を行った後はネット上で手続の変更・取消ができないので、慎重に確認しよう。

6. 納付手続の確定

「納付」ボタンを押すで、納付手続が確定する。納付手続が完了すると、なお納付済みとなった税金は、猶予などを受けることができない。

7. 手続の完了

納付手続の完了ページが表示され、納付手続完了メールが送られる。必要に応じて納付手続完了ページを印刷するなどして保管する。

出典:国税庁『クレジットカード納付のQ&A』
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/nofu-shomei/nofu/credit_nofu/credit_qa.htm#a31

法人税などの税金はクレジットカード納付を検討しよう

法人税をはじめとする税金をクレジットカードで納付することは、「支払いの手間が軽減される」「キャッシュフローに余裕が生まれる」などメリットが多い。「決済手数料が発生する」「領収証が発行されない」「クレジットカードの利用限度額の範囲でしか利用できない」などのデメリットはあるが、前向きに検討する価値はあるだろう。

文・THE OWNER編集部

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