2020年3月から商用サービスの提供が始まった5Gだが、2022年以降に商用利用が本格化するとされている。5Gの普及によって、どんなことが可能になるのか。

目次

  1. そもそも5Gとは
    1. 5Gの意味は?
  2. 5Gの3つの特徴
    1. 1.高速・大容量
    2. 2.低遅延
    3. 3.多数同時接続
  3. 1Gから5Gへの進化史
    1. 1G(1979年~)
    2. 2G(1993年~)
    3. 3G(2001年~)
    4. 4G(2010年~)
  4. 5Gで実現できることは?
    1. 安全な自動運転
    2. 高画質動画の視聴
    3. 遠隔手術が可能に
    4. 遠隔音楽ライブなどが可能に
    5. スマートファクトリー
    6. スマート農業
    7. eスポーツ
  5. 6Gでできることは?
  6. 5Gに関するQ&A
    1. 5Gスマホで何ができる?
    2. 5Gの実用例は?
    3. 5Gと4G、どちらが良い?
    4. 5G通信のデメリットは?
  7. 5Gで社会や産業構造に変化
  8. 事業承継・M&Aをご検討中の経営者さまへ
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(画像=Yingyaipumi/stock.adobe.com)

そもそも5Gとは

まず、5Gの概要について説明する。

5Gの意味は?

5Gは日本語で「第5世代移動通信システム」といい、「G」は「Generation(世代)」の頭文字だ。

モバイル通信を可能にするため、1980年代に最初に登場した通信規格が1G(1st Generation:第1世代)で、5Gは1Gから数えて5番目の通信規格ということになる。

5Gの3つの特徴

5Gの特徴は「高速・大容量」「低遅延」「多数同時接続」の3つだ。

1.高速・大容量

データ通信の速度を表す単位には「Gbps」が使われている。Gbpsは「Giga bits per second」の略で、「毎秒#### ギガビット」と読む。ビットは情報量の最小単位で、ギガは10億を意味する。5Gの最大通信速度は20Gbpsで、これは4Gの10倍以上に相当する。

これがどれほどの速さかといえば、「2時間の映画を3秒でダウンロードできる」と例えられるほどだ。

2.低遅延

情報を伝達する際に処理が追いつかず生じるタイムラグを遅延といい、5Gはこのタイムラグが短い。

4Gの伝達遅延は0.01秒だったが、5Gは0.001秒と4Gの10分の1に短縮した。自動運転や遠隔医療といった分野はタイムラグが命とりになりかねないため、5Gの低遅延によりさらに普及することが期待されている。

3.多数同時接続

5Gの特徴の3つ目は、多数同時接続だ。

これは1台の基地局が同時に接続できる端末数が飛躍的に増えることを意味する。4Gの同時接続数は1平方キロメートルあたり10万台だったが、5Gでは1平方キロメートルあたり100万台と、10倍になった。

5Gの多数同時接続により、スタジアムやコンサート会場など人が密集する場所でも、安定した通信を確保できるといったメリットがある。

1Gから5Gへの進化史

1Gから5Gに至るまでの歴史を振り返る。

1G(1979年~)

1G(第1世代移動通信システム)の始まりは1979年と考えられている。1979年に日本電信電話公社(NTTの前身)が世界で初めてセルラー方式の電話サービスを開始した。

当初のモバイル端末は車載式の「自動車電話」で、重量は約7キロもあった。自動車電話の次に登場したのが「ショルダーフォン」と呼ばれる肩からかけるタイプだ。ショルダーフォンも重さは約3キロあった。

2G(1993年~)

通信方式がアナログだった1Gとは異なり、1993年からの2Gは通信方式がデジタルに変わった。2Gに入ると電子部品の小型化が進み、端末はコンパクトになった。

サービス面に関しては、1Gは基本的に音声通話のみだったが、2Gからはデータ通信サービスが始まり、インターネットメールなどが利用できるようになった。

3G(2001年~)

2Gまでは国や地域ごとで異なる移動通信システムが採用されていたが、2001年の3Gからは「全世界で同じ端末を使えること」を目標に、システムの標準化が進んだ。

携帯電話端末は多機能化が一層進み、カメラ付き携帯の登場や赤外線通信など日本独自の発展を遂げた。スマートフォンが登場する前の日本の携帯を「ガラケー」と呼ぶが、これは独自の進化を遂げた日本の携帯を「ガラパゴス携帯」と呼んだことにちなむ。

4G(2010年~)

米Appleが2007年に「iPhone」を発売し、2008年には「iPhone 3G」が日本でも発売された。また、Googleが開発したAndroidを搭載したスマホが登場するのが2009年で、移動通信システムが2010年から4Gに入ると、本格的なスマホ時代が到来した。

5G

5Gで実現できることは?

5Gが本格的に普及すると、何が実現するのか。

安全な自動運転

5Gの普及により、進展が期待されているのが自動運転だ。

自動運転にはレベル0からレベル5まであり、最終段階のレベル5に至ると、すべての運転操作が自動化される。

自動運転がこのようなレベルに到達するには、5Gの「高速・大容量」「低遅延」「多数同時接続」が欠かせない。システムが車の運転を操作するためには、膨大な量のデータを送受信し続けなければならないからだ。

また、通信のタイムラグは事故の原因になり、5Gレベルの通信の低遅延化は必須だ。都市部など交通量の多いエリアで自動運転車が走行するには、1つの基地局が多数の端末に接続できる環境も必要になる。

高画質動画の視聴

5Gへの移行で、動画をめぐる環境も変わるだろう。

超高画質の4K・8K映像は解像度が高いだけにデータ容量も大きい。4Gではこのような動画を視聴するのに時間を要してしまうが、5Gになれば超高画質動画の視聴もスムーズになる。

動画広告をはじめとする動画市場へのインパクトは大きいだろう。

遠隔手術が可能に

遠隔医療も5Gの普及で進展することが期待されている。

地域によっては過疎化が進み、医師が不足しているなど地域医療が抱えている課題は少なくない。遠隔手術を含む遠隔医療が可能になれば、そのような地域医療が抱えている課題も解決に向かう可能性がある。遠隔手術などは5Gの低遅延特性が活用できる有望分野だ。

遠隔音楽ライブなどが可能に

5Gを活用した取り組みとして注目されているものに、遠隔音楽ライブもある。

これは離れた場所にいるプレーヤーが同時にパフォーマンスし、それを5Gネットワークでつないであたかも一緒にいるような臨場感をつくり出す試みだ。

遠隔音楽ライブも5Gならではの取り組みといえ、今後、さらに進化する可能性もある。

スマートファクトリー

IoT(Internet of Things: モノのインターネット)やAI(人工知能)などを活用し、製造プロセスを遠隔で管理して作業の効率化、自動化を実現するスマートファクトリーも、5Gの普及に伴い増加すると予測される。

このようなスマートファクトリーを運営するために、企業などが一定の敷地内に5Gネットワークを構築することをローカル5Gといい、ローカル5Gの導入も今後、加速するだろう。

スマート農業

農業のスマート化も、5Gの進展とともに普及が期待されている。例えば、無人トラクターや農薬・肥料を散布するドローンなどを活用することで、農作業の省力化が図られる。そのほか、センサーやカメラなどを使って生育状況を把握し、農作物にとって最適な環境をつくり出すためのAI診断などもスマート農業では可能になる。

このような農業のスマート化も、地方に5Gネットワークが普及するのを待たずとも、ローカル5Gを構築できれば実現可能で、注目テーマの1つだ。

eスポーツ

5Gとの関連で成長分野の1つと有望視されているのがeスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)である。

eスポーツも高速・大容量や低遅延といった通信環境を必要とする。すでにローカル5Gを活用したeスポーツ大会が開催されており、eスポーツ市場は今後、さらに成長する可能性がある。

6Gでできることは?

5Gの普及もさることながら、すでに6Gに向けた研究開発も進んでいる。

移動通信システムが6Gになると、最大通信速度は100Gbpsを超えるとされている。これは5Gの5倍超の水準だ。遅延も5Gの約10分の1、同時接続も5Gの約10倍と、飛躍的に向上することが見込まれている。

6Gの世界の通信速度は人間の脳の情報処理速度に近づくと考えられており、従来の視覚と聴覚で認識する映像による情報伝達よりもさらに進んだ「多感通信」の実現も可能になるという。

5Gに関するQ&A

5Gスマホで何ができる?

5Gの特徴の1つは高速・大容量通信で、例えば5Gスマホを使うと、2時間の映画を3秒でダウンロードすることも可能だ。また、データ容量の大きい4K・8K動画などもストリーミング再生で視聴できるようになる。

5Gの実用例は?

5Gの普及により実用化が進むと考えられているのが、自動運転や遠隔医療といった低遅延の通信環境が欠かせない分野だ。

異なる場所にいるプレーヤーが同時にパフォーマンスをして5Gでつなぐ遠隔ライブは、すでに実施例がある。

5Gと4G、どちらが良い?

移動通信システムとしての性能だけをみれば、5Gは4Gと比べて格段に優れている。最大通信速度は10倍超、低遅延は10分の1、同時接続数は10倍だ。

もっとも、5Gの基地局は整備中であり、5Gを利用できる通信エリアは限られている。5Gスマホを購入する際などは、通信環境が整っているかを確認した方がよい。

5G通信のデメリットは?

5Gでは高速・大容量通信が可能になるため、データ通信量が増える可能性が高い。スマホなどの契約プランによっては、通信料金が高くなる場合もある。

また、5Gはデータ通信量が多いだけに電力消費もかさむ。さらに、5Gの端末は4Gの端末と比べて概して料金は高い。

5Gで社会や産業構造に変化

5Gが本格的に普及することによる影響は、高画質動画の視聴や映画のダウンロードといった個人的なものにとどまらない。

自動運転の進展やスマートファクトリー、スマート農業の実現などを通じて社会や産業構造が変わるほどのインパクトを5Gは持っており、5Gのメリットをどのように生かしていくか、さらなる議論が待たれる。

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