顧問先の不満の声から、契約解消を防ぐヒントを紹介。
今回は、顧問先の話にしっかりと耳を傾けず不信感を持たれたため、
顧問契約を解消されてしまったケースです。
大切な会社の話を軽々しく扱われる
下町の部品工場を経営して30年。
近年、今後の会社経営をどのようにしていくか、ずっと考えています。
事業承継を検討しているのですが、現在の経営状況では、
息子に継いでもらっても負担が大き過ぎるのではないかと思い、
なかなか決断ができずにいました。
とはいえ、長年続けてきた会社を廃業させる決意もできず……。
誰かには承継してほしいものの、
このことを相談できる相手がいなくて困っていたのです。
そこで、税務顧問をお願いしている会計事務所に連絡してみたところ、
内部事情のために担当が切り替わったので挨拶をさせてほしいとの話が。
このタイミングで事業承継のことを相談しようかと思ったのですが、
新しい担当者に会うと、相談を躊躇してしまいました。
というのも、挨拶に来た新しい担当者は、身なりもヘアスタイルもボサボサ。
「初対面なのに、どうしたんだ!?」と、目を疑ってしまいました。
とりあえず、挨拶の延長で「息子が継いでくれたら理想なんだけど......」と、
切り出してみると、「息子さんに継がせるんですね。了解です」と、
軽く受け流して、私の話にしっかり耳を傾けようとしてくれません。
そして翌月、担当者から「こないだの件なんすけど、
息子さんに承継するってことでいいですよね」との連絡が。
まだこちらの心の整理もできていないし、しっかり話も聞いていないのに、
大切な会社のことを軽々しく先に進めないでほしいという気持ちが湧いてきて、
「もう君には頼まない」と、つい声を荒げてしまいました。
会計事務所にとっては、多くの顧問先から受ける相談の一つなのかもしれませんが、
私にとっては会社の将来を左右する悩みなのです。
こんな担当者ばかりではないと思いますが、もっと実績があって、
信頼できる事務所に切り替えようという決心が固まりました。
顧客満足度を高めるワンポイントアドバイス
面談は傾聴が肝心!まずは顧問先の声に耳を傾けて
顧問先のオーナーは、自身が経営する会社の今後について
誰よりも真剣に考えて、苦しんでいるはず。
そのような相手の気持ちを察し、
どうしたいのかを丁寧に聞くことが重要です。
「息子さんがいるなら承継した方がいい」「この方法が効果的だから進めましょう」と、
決めつけて提案してしまうと、「こちらの思いを理解していない」と信頼を失ってしまう可能性も。
まずは、顧問先のオーナーがどうしたいのかについて、耳を傾けることが第一歩です。
そして、最適解をいくつか提案して、相手に意思決定をしてもらうことで、
納得感のある解決策を見つけることができます。
一つひとつ当たり前のことを、丁寧に行うことが、顧問先との信頼関係構築につながります。
職員が顧問先と話す際にも傾聴を徹底できるよう、
研修や日常の指導で取り入れていきましょう。