香水や化粧品の小さな個人事業を経て、税理士業界に飛び込んだ桑田氏。
相続を専門とし、資産家を中心にサポートを行い、年間150件以上の案件を対応しています。
近年では、SNS・書籍を通した発信にも力を入れており、
幅広い世代から注目を集めている桑田氏に、税理士になったきっかけや、ブランディング、
今後の展望などをインタビューしました。
Q1. 桑田先生が税理士を目指したきっかけを教えてください。
学生時代に小さなビジネスと、家族の相続を経験したことがきっかけです。
自分の力で自由に人生を拓いてく姿に憧れて、
学生時代に自分のビジネスを始めました。
以前から興味があり、情報収集するなかでビジネスチャンスが見えた香水から始まり、
アパレルや化粧品も取り扱いました。
自分ではじめた仕事をしながら、学生生活を過ごしていましたが、
ずっと心の中でモヤモヤしていたことがありました。
それは、「この仕事は社会に貢献しているのかな?」ということです。
社会的に意味のある仕事に、自分の人生を懸けたいという思いがあったのです。
そこで、「自分の熱量をすべて捧げられる社会の役に立つ仕事は何だろう?」
と日々アンテナを張っていた頃、祖父が他界。
家族で相続に向き合う大変さを経験しました。
私達以外にも相続で困っている人がいるはずだと考え、
相続に関する悩みを世の中からなくせるような仕事をしたいと強く思いました。
人生を懸ける仕事を見つけた感覚でした。
また、「数字を読めること」が、ビジネスには重要であると考えていたため、
数字を扱いながら、相続の悩みを解決できる税理士の世界に飛び込むことを決意。
2018年に円満相続税理士法人に参画し、同年に税理士試験に合格しました。
Q2. 事務所で提供しているサービスの内容を教えてください。
当社は、相続を専門にサービスを提供しています。
お客様は、基本的に個人です。
事業承継も取り扱っておりますので、経営者の方もいらっしゃいますが、
会社の決算などの顧問は行っておらず、
経営者個人の株式などの承継に関する税務が、当社の業務です。
資産額は、5,000万円前後から数十億お持ちの資産家まで幅広く、
年齢層は、40〜50代以上の方が多くを占めています。
ご相談の内容は、お亡くなりになる前の相続対策や遺言から、
お亡くなりになった後の相続税申告まで、
相続に関する税務周りはすべて取り扱っています。
特に近年は、相続をテーマにした書籍やテレビ番組、
ネットの記事が増えている影響で、生前の相続対策のご相談が増えています。
月10〜20件の案件が動いていて、1時間のご相談で完了する単発のお客様もいらっしゃいますが、
対策や申告を行うとなると、一人のお客様に対して3カ月から半年ほどかけてサポートを行います。
お客様から直接、「ありがとう」と感謝の言葉をいただける仕事なので、
非常にやりがいを感じています。
Q3. SNSを活用したブランディングをはじめた理由を教えてください。
SNSが持つ威力は感じていたものの、
私自身は、もともとSNSで私生活を投稿することが苦手でしたので、
最初の一歩を踏み出す勇気がありませんでした。
そこでまず、顔出し不要で始めやすく感じていたTwitterアカウントを開設し、
自分のメモアプリのように使いはじめました。
現在は、Instagramでの投稿やTikTokでの動画配信も行っています。
ターゲットは、相続の悩みを持っているお客様や、
税理士・弁護士・司法書士などの士業の先生方。
文章や動画にまとめて発信することで、自分の頭の整理もできるので、
ブランディングに限らず、私自身のアウトプットとしても、非常に役立っています。
Q4. 特に力を入れているSNSはどれでしょうか?
TwitterとTikTokです。
Twitterは、仕事のなかでの気づきや自分の考えを残しておきたいと思い、
最初にはじめたので、過去の投稿を検索して、自分の文章を見返すこともあります。
また、業務に関する投稿を続けていくと、一般のお客様だけでなく、
士業の先生からの反響も増えていきました。
そのため、現在4,000人超いるフォロワーの多くが、士業の先生やその受験生です。
また、TikTokも同様に、士業と一般のお客様向けに動画を配信しています。
「税理士TikToker」として、相続に少しでも興味を持ってもらえるように、
難しい話題もわかりやすく解説することを心がけています。
現在、TikTokは1.5万人のフォロワーがいて、100万回再生を超える動画もあります。
Q5. TikTokでフォロワーを増やすためにしたことを教えてください。
実は、あまり策略的に進めてきたわけではないのですが、
テンポよく話すことは意識しています。
TikTokは、最後まで視聴してもらうと、TikTokからの動画の評価が高まるので、
途中で離脱しないための工夫も重要ですね。
あとは、自分が楽しくないと続けられないので、
自分自身が撮りたいと思う内容、伝えたいと思う内容を重視して作成しました。
バズらせることを目的にするのではなく、あくまで役に立つと信じられる内容の投稿を優先させています。
そして、コメント欄も侮れません。
マイナスの内容でもプラスの内容でも、コメント数が増えると、
盛り上がっている人気の動画であるとTikTokに認識されますので、
コメントに返信をすることもあります。
コメントは、私が気づかない目線での質問があったり、
客観的なフィードバックもあるので、次の動画に活かしたり、
新しいネタにつながったりすることもあり、
投稿していただいている視聴者さんには、感謝しています
このような細かい工夫を複数取り入れていった結果、
「税務署は葬儀用の現金を狙っています」「凍結された口座からお金を引き出す方法」の
2つの動画に関しては、100万回を超える再生回数を記録しました。
最近では、「税務署にタンス預金がバレる理由」「子ども名義の口座に貯金している人 必ず見てください」
「凍結された預金を引き出す方法3つ」の3つの動画が人気ですね。
Q6. TwitterやTikTokの投稿で、こだわっていることはありますか?
iPhoneで動画撮影も編集も自分ひとりで行っています。
ネタを決めたら、事前に原稿を作成し、短いものでは5分、
しっかり撮影するなら30分ほどかけて、何本か撮り溜めしています。
ほかのTikTokerも参考にして、映る角度や部屋の座る位置も決めてあります。
編集は、『CapCut』というアプリをずっと使っていて、
移動時間や自宅でのスキマ時間を活用して作業しています。
Twitterは、あまり深く考えず、思いついたことをすぐに投稿するようにしています。
ブランディングももちろん意識していますが、自分の考えを整理して、
メモのように蓄積していくのが習慣になっているので、時間はあまりかけず、
忘れないうちにサクッと投稿するようにしています。
Q7. 仕事のやりがいを教えてください。
お客様からの「ありがとう」という言葉と、
弊社のメンバーと一緒に、チームで1案件を終えたときにやりがいを感じます。
そのほかにも、はじめての種類の仕事は緊張しますが、それ以上にワクワクもしますね。
現在は、アメリカとの国際相続の案件に挑戦しています。
学生時代から英語は大好きなのですが、近年はほとんど英語を使っていなかったので、
日々勉強しながら取り組んでいます。
ほかにも、最近は研修やセミナー講師の依頼をいただくことも増えてきました。
Q8. 今後の展望や理想像を教えてください。
3階建てで考えています。
1階は、プロとしてさらに実務能力を上げていくこと。
2階は、相続に関わるお仕事をする人向けの研修活動を通じて、
間接的であっても、より多くの方々へ相続に関する知識を伝えること。
3階は、若い世代に自分の知見を発信していくことです。
ありがたいことに、案件が年々増えていて、現在は新規の受付を停止することもあります。
私1人で対応できるお客様の数には、どうしても限りがあるのです。
そのため、2階の研修活動では、自分の経験を相続関連のお仕事をしている方々に伝え、
よりハイレベルなアドバイスができる人を増やすことで、
社会全体で見たときに貢献できるのではないかと考えています。
今まで私は、ビジネスや税理士の世界で、
たくさんの先輩たちにサポートしてもらってきました。
今度は私が、働くことの楽しさや勉強することの価値を、
若い世代に伝えていきたいと思い、3階に自分の知見を発信することを置いています。
Q9. 座右の銘を教えてください。
「人生一度きり」。動いても動かなくても、1分1秒と時間は過ぎていき、もう時間は戻ってきません。
何事も全力で取り組むことが大切だと考えています!
- プロフィール
学生時代にビジネスを始めたが、祖父の相続をきっかけに相続に強い税理士になることを決意。
税理士法人山田&パートナーズを経て、円満相続税理士法人に参画。
相続や事業承継をメインにサポートを行い、書籍やSNSでの発信にも力を入れている。