2015年にSDGs(持続可能な開発目標)が採択されて以来、世界各国はさまざまな環境問題・社会問題に取り組んでいる。その中で、日本のSDGs達成度はどれくらいなのだろうか。本記事では日本のSDGs達成度や課題、上位国の事例などを紹介する。
目次

日本のSDGs達成度は?世界ランキングから見る現状
SDGs達成度のランキングは、国連の研究組織である「SDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)」が毎年公表している。以下の表は、同レポートで公開された2022年のランキングである(上位20ヵ国)。

多少の順位変動はあったものの、上位3ヵ国のスコアは前年比でほぼ横ばいとなった。大きく順位を上げた国としてはスイスやラトビア、ポルトガル、逆に順位を下げた国としてはオランダやベルギーが挙げられる。
一方、日本は前年から順位をひとつ落としており、SDGs達成スコアも0.2ポイントのマイナスとなった。アジアの中では好位置につけているものの、欧州勢からは大きな差をつけられている。
SDGsへの貢献度が高い国内企業のランキング
国内企業のSDGsランキングについては、民間調査会社の「ブランド総合研究所」が公表している。以下のデータは、同社が公表した「SDGsの取り組みの評価が高い企業ランキング」をまとめたものである(上位20社)。
前年に引き続きトップにランクインしたのは、ジェンダー平等や持続可能な街づくりに取り組む『トヨタ自動車』だった。日産自動車や本田技研工業も順位を上げていることから、自動車業界は積極的にSDGsを導入していることが分かる。
また、ヤクルトや伊藤園をはじめ、飲料系のメーカーも大きく順位を上げている。例えば、今回で上位につけたアサヒビールは、独自のサステナビリティ推進体制を築き上げて、6つの重点テーマに取り組んでいるようだ。
全体としては、CO2排出に関わる自動車業界や、食品ロスに関わる飲食業界が多くランクインする結果となった。
日本が抱えるSDGs達成に向けた課題
アジアの中で日本は高い評価を受けているが、実はSDGsのゴールによって達成度にばらつきがある。
中でも達成状況が悪いのは、ジェンダー平等や環境に関するゴールだ。具体的には男女の賃金や職階の格差、化石燃料への依存度などが問題視されている。
事業承継・M&Aをご検討中の経営者さまへ
THE OWNERでは、経営や事業承継・M&Aの相談も承っております。まずは経営の悩み相談からでも構いません。20万部突破の書籍『鬼速PDCA』のメソッドを持つZUUのコンサルタントが事業承継・M&Aも含めて、経営戦略設計のお手伝いをいたします。
M&Aも視野に入れることで経営戦略の幅も大きく広がります。まずはお気軽にお問い合わせください。
【経営相談にTHE OWNERが選ばれる理由】
・M&A相談だけでなく、資金調達や組織改善など、広く経営の相談だけでも可能!
・年間成約実績783件のギネス記録を持つ日本M&Aセンターの厳選担当者に会える!
・『鬼速PDCA』を用いて創業5年で上場を達成した経営戦略を知れる!
SDGs達成度の上位国の取り組み事例
では、SDGs達成度で上位につける北欧は、どのような取り組みを行っているのだろうか。
徹底した廃棄物削減やスタートアップ支援/フィンランド
フィンランドは「リデュース」と「リサイクル」を徹底しており、街中の至るところで廃棄物削減への取り組みがされている。また、SDGsスタートアップへの支援も手厚く、国営研究所の運営によって商品・サービスの開発環境を整えている。
そのほか、地域による独自の施策が充実している点も、フィンランドの大きな特徴だ。例えば首都のヘルシンキでは、飲食店や商業施設の持続可能性をスコア化することで、市民や観光客のサステナブルな活動をサポートしている。
SDGsについて学べる教育の場を提供/デンマーク
デンマークは教育面に力を入れており、全寮制市民学校の「フォルケホイスコーレ」でSDGsに関する学習の場を提供している。若い頃から環境問題・社会問題を意識させることで、国民が自律的にSDGsへと貢献するような仕組みだ。
さらに、デンマーク人はダイバーシティ実現にも積極的であり、社会全体がマイノリティや他人種を受け入れている。幸福度ランキングの高さ(※)からも、SDGsの関連施策を成功させていることが分かるだろう。
(※)国連による2018年のランキングで第3位。
新型コロナやウクライナ情勢によるSDGsへの影響
欧米を中心に、現在では世界各国がSDGsの取り組みを進めているが、実は2020~2021年における世界のSDGs達成度は減少している。これは、新型コロナウイルスやロシア・ウクライナ危機によって、一部のゴールが遠のいてしまったためだ。

SDGsはあらゆる環境問題・社会問題の解決を目指しているため、上記のような感染症や紛争、経済ショックなどが巻き起こると達成度が下がってしまう。
コロナ禍やロシア・ウクライナ危機はしばらく続くことが予想されるため(※2022年10月現在)、引き続き世界各国への影響を注視しておきたい。
日本のSDGsに関する質問集
国内企業がSDGsに貢献するには、日本ならではの課題や問題点に目を向けることが重要だ。ここからは日本のSDGsに関する質問集として、経営者が気になるポイントを簡単にまとめた。
Q1.2022年のSDGs達成度ランキングは?日本は何位?
ドイツのベルテルスマン財団によると、2022年における日本のSDGs達成度ランキングは163ヵ国中19位である。アジアの中ではトップクラスだが、上位を占める欧州勢には差をつけられる形となった。
なかでもジェンダー平等や環境保護に関する目標の達成度は、SDGs先進国から大きな遅れを取っている。
Q2.日本の達成度が高いSDGsの目標は?
日本が順調にスコアを伸ばしている目標としては、「貧困をなくそう」や「すべての人に健康と福祉を」、「質の高い教育をみんなに」などが挙げられる。一方で「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」については、進捗が停滞していると評価された。
つまり、貧困面・教育面での達成度は高いものの、環境保全については多くの課題を抱えている。
Q3.日本が達成しているSDGsの目標はいくつ?
2022年時点で日本が概ね達成できている目標としては、次の6つが挙げられる。
・貧困をなくそう
・すべての人に健康と福祉を
・質の高い教育をみんなに
・働きがいも経済成長も
・産業と技術革新の基盤をつくろう
・平和と公正をすべての人に
一方で、ジェンダー平等や環境保全に関する目標は、全体的に評価が低い傾向にある。
Q4.SDGsを達成しないとどうなる?
世界各国がSDGsの目標を達成できない場合、環境面では温暖化やエネルギー問題、生物多様性の喪失などが深刻化すると考えられる。また、社会面では貧困や少子高齢化、経済面では格差拡大や失業率アップなどが深刻になるだろう。
また、企業にも配慮が求められつつあるため、SDGsに取り組まない場合はステークホルダーからの評価を下げてしまう恐れがある。
Q5.SDGsの優先目標はどれ?
SDGsの優先目標は、全ゴールの根幹である「貧困をなくそう」である。ただし、SDGsは環境面にも配慮した国際目標であるため、ほかのゴール・ターゲットも軽視はできない。
日本の課題を意識し、外部から評価されるSDGs対策を
世界的に見ると、日本のSDGs達成度はそれほど低くない。しかし、ジェンダー平等や環境面では欧州に差をつけられており、重点的に取り組むべき課題も多く存在する。
国や自治体だけではなく、企業にも具体的な対策が求められつつあるため、本記事を参考にしながら外部評価につながる計画を立てていこう。