ペット,動物病院,運営,アンケート,2019年
(写真=Irishasel/Shutterstock.com)

全国のペット・動物病院を対象として犬猫の診療頭数の増減傾向を尋ねると、犬は31.3%が減少、猫は30.7%が増加

~動物病院および獣医師は増加傾向で推移、施設間競争は激化へ~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役:水越 孝)は、国内のペット・動物病院の運営実態、製品・メーカー評価、ニーズ等に関する法人アンケート調査を実施した。ここでは、臨床現場における犬猫の診療頭数の動向について公表する。

臨床現場における犬猫の診療頭数の増減動向(地域区分別)

臨床現場における犬猫の診療頭数の増減動向(地域区分別)

1.調査結果概要

本設問では、診察している犬猫の診療頭数について、増減傾向を増加・減少・横ばいの三択で回答を得た。上図から犬猫別に増減傾向(全体)をみると、犬は減少と回答した施設割合が増加回答の施設割合を約20ポイント上回り、他方、猫については増加回答の施設割合が減少回答の施設割合を20ポイント上回っていることから、臨床現場においても犬の減少傾向、猫の増加傾向が伺われる結果となった。

また、犬猫の最近の診療頭数の増減傾向を、都市部(東京都及び政令指定都市)とその他地域の地域区分別にみると、総じて横ばいが多い中、増加と減少とを比較すると、犬の場合、東京都、政令指定都市、その他地域いずれの地域区分においても減少が増加を上回っており、猫はそれとは逆に地域区分を問わず増加が減少を上回っている。
増減の差でみると、犬は東京都、政令指定都市、その他地域(非都市部)の順に差が大きくなっており、都市部よりも非都市部において犬の診療頭数の減少傾向が強まっていることが伺われる。また、猫については、東京都、その他地域、政令指定都市の順に増減の差が拡大している。

同じ設問で増減の前年比についても聞いているが、犬の減少比率の場合、対前年比10%台での減少とする施設がおよそ半数に及び、対前年比10%未満の施設と合わせると減少傾向にある施設の8割以上が含まれる。また、猫の増加比率については、対前年比一桁%~10%台までのレンジに増加傾向にある施設のおよそ8 割が含まれている。一方で、全体の4割ないし5 割の施設が対前年比横ばいで推移しており、ある程度限られた範囲での増減トレンドではあるが、注目トピックに述べる国全体のトレンド(動物病院を取り巻く事業環境)が診療現場に確実に現れてきつつあると本調査結果から考察する。

2.注目トピック

動物病院を取り巻く事業環境

農林水産省の統計によると、犬猫を中心としたペット・小動物を対象とするわが国動物病院の施設数は近年増加傾向で推移している。2010年以降でみても、同年に10,175 件であった動物病院は、2018年には11,981件と件数で1,806件、率(2010年比)にして17.7%純増している。
また、犬猫をはじめとする小動物医療に携わる獣医師の数も、動物病院と同様に増加傾向で推移している。2010年以降でみても、同年に13,404人であったところ、2016年には15,463人と、2,059人(2010年比15.4%増)増加している。このように犬猫を中心とする小動物を対象とした動物病院および獣医師は増加傾向で推移している。

また、高齢化に伴いペットにおいても癌や慢性疾患が増加傾向にあり、医薬品など治療や診断に関する製品・サービスへのニーズも疾患変遷の影響を受けている。医療機器については、診断用は概ね網羅的に導入が進んでいる一方、治療用機器は提供する獣医療や標榜する診療科目に応じて製品ニーズが変化している。

動物病院の施設経営の面については、施設間の競争環境が厳しさを増す中、様々な経営課題のうち集患・増患に向けた取り組みの重要性を指摘する施設が多くみられる一方、対応策の効果に満足を得ている施設は少ない。競争状況は今後一層厳しさを増すと思われるが、施設の所在地域や規模により捉え方に違いがみられている。