コロナ禍では日々の感染拡大状況とともに、企業に向けた補助金の話題も関心を集めている。この機に乗じて不正受給する事例が全国で明らかになったり、通常営業するよりも休業した方が得になる補助金もあったりしたからだ。今回は、経営の助けとなる補助金や助成金について、ウェブサイトなどでの見つけ方を紹介する。
「不正受給」も問題となっている補助金
この記事では、補助金の不正受給問題や昨今のトピックスについて簡単に触れた上で、補助金制度を探す方法を説明していく。
経済産業省は公式サイト上で、「不正受給は絶対に許しません」という言葉を掲載し、コロナ禍での補助金の不正受給に対する警告を発している。警告文によると、現在、不正受給がなかったかどうかの調査を進めており、不正受給が発覚した際には、加算金と延滞金付きで補助金の返還を求めるとのことである。一方、調査が入る前に自主返還すれば、加算金と延滞金の支払いは免除される。
緊急事態宣言の発令時や「まん延防止等重点措置(まん防)」の適用時には、時短営業や休業に対する「協力金」が飲食店に支給され、他の業種からは不平不満も聞かれた。
コロナ禍で経営に打撃を受けた業種は広範囲に及ぶのに、協力金の支給対象が飲食店のみで不公平感が高まった上に、飲食店の中には協力金を受け取ることで通常営業より多くの収入を得た店もあったからだ。その一方で、休業要請に従わない飲食店が白い目で見られることもあった。
経産省・中小企業庁の情報サイトで掲載される補助金情報
それでは、中小企業の経営者が補助金を探す場合に便利な方法を紹介しよう。まずは、補助金の申請先である官公庁のサイトだ。
企業向けの補助金を多く取り扱っている経済産業省と中小企業庁は、ウェブサイト「ミラサポplus」を運営している。官公庁のウェブサイトというと、文字ばかりで専門家でなければ読みにくいサイトが多いというイメージがあるかもしれない。しかし、ミラサポは自ら「中小企業向け補助金・総合支援サイト」をうたうだけあって、専門知識を持たない中小企業の経営者でも見やすい工夫がなされている。
例えば、トップページには「よく見られている補助金・給付金」ページへのリンクの他に、「お知らせ」「人気のページ」「災害支援」といったテーマごとに最新情報を閲覧できるように設計されている。時流に合わせてニーズが高まっている補助金が、簡単に目に入るようになっているのだ。
さらに「支援者・支援機関を探す」「事例を探す」といったページもあり、セミナーの動画も公開するなど、単に経営者向けの補助制度の概要説明にとどまらない構成になっている。
補助制度に関しては、各都道府県や市町村、各都道府県の「よろず支援拠点」などの概要や申請方法を掲載している。
民間企業が全国版のサイト運営
補助金などの公的な情報の信頼性という意味では申請先である行政に勝るものはないのだが、ここには大きな落とし穴がある。いわゆる「行政の縦割り」により、他の官庁や自治体が管轄している制度が掲載されていないこともあるのだ。経営者自身が活用したい情報が明確ならそれでも構わないが、そもそも、どんな支援制度があるかを検索したい場合は適切とは言えない。
そこで紹介したいのが、株式会社補助金ポータルが運営するウェブサイト「補助金ポータル」だ。同サイトには、2022年7月3日時点で1万6,468件の補助金が登録されており、地域や利用目的を選ぶと、それに該当する制度を一覧で示してくれる。
例えば「東京都」は1,081件、「北海道」は936件、「経営改善・経営強化」は2,111件、「設備資金・運転資金」は1,538件となっている。キーワードを入力して調べる検索窓もあり、試しに地域を限定せず「コロナ」と打ち込むと6,889件が抽出された。ちなみに、補助金・助成金を検索するだけでなく、補助金の交付申請をサポートしてくれる専門家を探すこともできる。
商工会議所やよろず支援拠点を活用する方法も
ここまではウェブサイトでの検索方法を紹介してきたが、補助金の制度を知るには、商工会・商工会議所やよろず支援拠点を頼るという選択肢もある。
商工会や商工会議所は会員制の組織なので、非会員は相談に行けないだろうと思われがちだ。しかし、非会員であっても経営指導を受けることができ、コロナ禍においては、特に小売業や飲食・サービス業などからの、補助金や助成金をはじめとした支援策や資金繰りについての相談が例年より増加していた。
よろず支援拠点とは国が各都道府県に設置したワンストップ総合支援を目的とした経営相談所で、何度でも無料で相談できるという特徴がある。最初から専門家に経営相談をすると少なからず費用がかかるため、まずはよろず支援拠点の門をたたくのも良いかもしれない。
よろず支援拠点は、中小企業だけでなくNPO法人や一般社団法人、創業予定者などの層にも対応する。補助金・助成金などの紹介だけでなく経営全般の助言も行っているので、補助を受けた先の事業展開を含めた幅広い相談が可能となっている。ウェブサイトの活用の方が手軽かもしれないが、場合によっては、こうした支援機関の併用も検討してはいかがだろうか。
文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)