https://israeru.jp/business/business-column_01/あ" target="_blank" rel="noopener">「ビジネスにおけるイスラエルと日本の大きな違い、イスラエルとビジネスをする上での心得」にも記述しましたが、日本のビジネスマンは海外企業から“Ultra-Honestly”=「超正直者」や“Super Polite”=「超丁寧」だと見られがちです。イスラエルの様々なイノベーティブなテックスタートアップ企業の日本代表を20年以上務めた経験から、日本のビジネスマンを“Super Polite”とするならば、イスラエルのビジネスマンは “Chutzpah”=「フツパー」だと考えます。
フツパー 精神
それでは一体“Chutzpah”=「フツパー」とは、どんな意味なのでしょうか。辞書には「厚かましさ、大胆さ、豪放である」と書かれていますが、その中でも「大胆さ」の意味合いが一番近いと感じます。
これまでの私のビジネス経験から、ビジネスにおける“フツパー”とは「大胆さ+質問力」だと考えています。質問力は「不明点の答えを問いただす力」で、問いの質、投げかけ方を向上させることで様々な課題・難題を解決させる事ができると考えます。このスキルはビジネスにおいて、大変重要なスキルだと言えるでしょう。
イスラエルスタートアップ企業の方々と会議を重ねる度に、必ず本質を突く質問をして来る彼らの質問力の高さに感心しています。相手が何を求めているのかを理解した上で回答を行うので、質問能力だけでなく、回答力も高くなります。
イスラエルのスタートアップ企業(以下、スタートアップ)と日本企業との会話例を見てみましょう。
スタートアップ:「本件、御社側で社内会議を行う必要があることについて、了解いたしました。それでは、御社側にボールがあるという事ですね。」
日本企業:「はい」
スタートアップ:「いつその結果を教えてもらえますか?●月●日の今日と同時刻に打ち合わせをしましょう。」
日本企業:「えっ、はい。わかりました。では、オンラインのリンクを送ります。」
この会話例からわかるように、質問力と大胆な言動力で会話をリードできます。『具体的に●月●日●時』と次回のミーティングを決定させたことで、相手側が決められた時間の中で必ず宿題を済ませないといけなくなり、目的への到達時間をミニマイズすることができました。
ほんの一例にすぎませんが、みなさんの日々の仕事にも役立つソフトスキルの1つかと思います。
ネバーギブアップ精神
イスラエルスタートアップ企業の方々にもう一つ重要なエネルギー源がネバーギブアップ精神です。どんな難題に直面しても対応できるネバーギブアップ精神をもっています。
日本人的にいうと『絶対あきらめない精神』のことです。誰もが一度ぐらいは「面倒くさい」と思ってしまった経験があるでしょう。例えば、成し遂げるまでのプロセスを「面倒くさい」と思うことで、結果的に目標の60%までしか達成できなくなってしまいます。
ビジネスにおいて、イスラエル人は「面倒くさい」と思うことはほぼありません。「絶対諦めない気持ち」を強く持ちながら常に目標に向かっていきます。
20年間で多くの経験をしてきましたが、イスラエル企業人に圧巻された経験をお話します。
「大胆(フツパー精神)+あきらめない(ネバーギブアップ精神)」
このイスラエル企業は、世界初の電子株式取引所であるナスダック(NASDAQ)の上場企業で、当時私が日本代表を担当していました。日本でのビジネス拡大をミッションに、日本代理店の開拓とエンドユーザーへの営業展開を行っていました。
木枯らしの吹く11月中旬、イスラエル企業のワールドワイドセールスのトップとアジアパシフィックのトップが来日し、日本代理店候補企業と打ち合わせを行ったときの話です。会議の目的は、代理店契約に関しての詳細詰め及び契約締結をおこなう事でした。会話の流れの中で日本企業の営業本部長が「もう少し早ければ御社に250台の発注できたのにな・・・」とこぼした一言で、イスラエル企業のワールドワイドセールストップに火がつきます。まさにフツパー精神と諦めない精神のコンビネーションが炸裂した瞬間でした。
「ユーザーが求めている仕様は?弊社商品でも問題なくいける」「金額は?納期は?弊社も同金額で同じ納期でいける」そしてなんと最後に「他社への発注をとにかくキャンセルして、弊社の商品に切り替えてほしい」と言い出しました。この無茶な依頼をなんと1時間以上も懇願していました。
私も長く現場で営業をしていましたが、発注後にも関わらず、『キャンセルして切り替えてほしい』とのリクエストを見たのは初めてでした。ネガティブに言えば、「失礼」で「しつこい」行動かもしれませんが、ポジティブに言えば、大胆(フツパー )で絶対に諦めない精神です。
結果、残念ながら発注の切り替え獲得はできなかったものの、イスラエル側の情熱と諦めない精神が日本企業と担当者にも伝わったのでしょうか、それをきっかけに、その後日本国内で1億円を超える案件を両社で一緒に成し遂げる事に成功しました。絶対受注するぞ!という、熱い気持ちと諦めない精神があったからこそ不可能をチャンスへと変えた出来事でした。
イスラエル企業人が持つ「フツパー精神」を原点とした 「フツパー精神」 +「鋭い質問力」と、どんなことがあっても諦めない 「フツパー精神」 + 「ネバーギブアップ精神」は、業界問わず、ビジネスにおいても非常に重要なソフトスキルの一つであります。「大胆さ」「質問力」そして「諦めない精神」をもつことが、ビジネス成功への近道だと感じます。是非、みなさんも意識して実行してみてください。
起業家精神のルーツ“CHUTZPAH”
イスラエルのフツパー精神に興味があれば、起業家精神のルーツ“CHUTZPAH”の本をお薦めします。
書籍名:『起業家精神のルーツ フツパー』 2021年3月CCCメディアより発売開始
作者:インバル アリエリ
作者紹介:イスラエル テルアビブ大学卒 法学士号 経済学士号 経営学修士号MBA取得。イスラエル国防軍(IDF)のエリート情報課部隊にて中尉従事を経験。非営利団体、Start-up Nation CentralのVP、8200EISPの設立メンバー兼役員。民間企業Modu社、Rada Electronic社など多数の企業役員職も歴任。
本書の作者であるインバル アリエリはビジネスパーソンに必要なソフトスキル講演活動を世界的に行い、フォーチュン500に選ばれた世界的グローバル企業からも高い評価を得ています。雑誌フォーブスなどでも取り上げられました。
ビジネス成功への参考本としてお勧めです。また、インバル アリエリ のソフトスキルをライブで講演をお聞きになりたい、企業の役員、新規事業部、人材開発部、投資会社やVCの方はこちらまでお問合せください。