矢野経済研究所
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2020年度の低温物流市場規模は前年度比98.3%の1兆7,500億円

~コロナ禍による業務用冷凍食品の消費量減少が影響~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、低温物流市場を調査し、市場規模、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。

低温物流市場規模推移・予測

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1.市場概況

2020年度の低温物流市場規模は、日系低温物流事業者の国内外における販売高ベースで、前年度比98.3%の1兆7,500億円となった。2019年度まで好調に推移してきたが、2020年度は減少に転じた。

主な要因は、コロナ禍による外出自粛およびインバウンド(訪日外国人客)需要減少により、外食産業が大きく低迷したことを受けて、飲食店等向けの業務用冷凍食品の需要が減少したことである。巣ごもり需要により家庭用冷凍食品の需要は増加したものの、業務用冷凍食品の減少分をカバーできなかった。冷凍食品(業務用+家庭用)の消費量減少は、低温物流市場縮小の一因となった。

2.注目トピック

迫られるドライバー不足への対応

2024年4月より、トラックドライバーの時間外労働の上限が年960時間となる規制が始まる。この「2024年問題」によりドライバー不足はさらに加速するとされ、各社対策を実施している。低温物流事業者が現在取り組んでいる労働時間軽減策の特徴は、中継輸送やモーダルシフトなどにより、ドライバー1人あたりの走行距離の短縮に力点が置かれている点である。中継輸送とは、一つの工程を複数人で分担する輸送手段である。
モーダルシフトとはトラック輸送から海運・鉄道輸送へ転換することであり、CO2排出削減効果も期待されている。また、地域の輸配送機能を確保するために、大手・中堅低温物流事業者が地域の低温物流事業者を買収する事例も目立ってきた。今後はドライバー不足を背景としたM&Aがさらに増えると考えられる。

3.将来展望

2021年度の低温物流市場規模は、日系低温物流事業者の国内外における販売高ベースで、前年度比100.6%の1兆7,600億円と予測する。
市場拡大要因は、食品通販の利用率上昇、業容の拡大、物流費の増加が挙げられる。一方で、拡大阻害要因としては、業界としては前向きな取組みとなるが、輸送の効率化による物流費の削減(効率化)が考えられる。

調査要綱

1.調査期間: 2021年9月~12月
2.調査対象: 低温物流に関わる物流事業者・卸売事業者・メーカー、管轄省庁等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話によるヒアリング、ならびに文献調査併用
<低温物流市場とは>
低温物流とは、5℃~18℃の定温度帯、10℃~-18℃の冷蔵温度帯、-18℃以下の冷凍温度帯といった設定温度帯で、主に食品などの温度管理が必要な商品を生産地から消費地まで連続して輸配送する物流の仕組みである。

本調査における低温物流市場は、日系低温物流事業者(大手低温物流事業者、冷蔵倉庫事業者、低温系路線便事業者及び宅配便事業者、地域の有力低温物流事業者など)の販売高ベース(国内および海外における運賃、保管料、荷役料、関連サービス料等を含む)にて算出している。なお、大手商社や生鮮専門卸、大手食品卸、業務用卸売事業者などの販売高及び、主に輸送を受託(庸車)する中小低温物流事業者・個人事業主は除外する。
<市場に含まれる商品・サービス>
食料品・化学品(一部)における低温物流

出典資料について

資料名2021年版 低温物流市場の現状と将来展望
発刊日2021年12月28日
体裁A4 327ページ
価格(税込)165,000円 (本体価格 150,000円)

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