独占インタビュー | ジェイコブ・フォス(会長顧問)


Jacob Fass (ジェイコブ・フォス) 氏は、ベンチャーキャピタルファンドやスタートアップ企業、合弁事業、ハイテク事業などの専門家で、現在は国際的なビジネスコンサルタントとしても活躍しています。現職前は、ハイテク分野のスタートアップ企業でCEOやバイオテック企業で取締役を歴任し、イスラエルの外交官としてもオーストリア、クロアチア、チェコ、ハンガリー、日本、韓国、オランダ、台湾との経済関係の構築に貢献しました。 Jacob氏は、日本文化にも精通し、浮世絵やこけしコレクターとしても知られます。この記事では、現在Jacob氏が深くかかわる、国と国を繋いで次世代の起業家を育てるビジネス活動に注目しました。

2016年京都にて。ベイト・ハシャロムのCEO(左)、ジェイコブ・フォス氏(右)
(画像=2016年京都にて。ベイト・ハシャロムのCEO(左)、ジェイコブ・フォス氏(右))

――― Jacob氏がアドバイザーとして積極的にサポートしているMabsut (マブスット) について教えてください。

Mabsutは、アクセラレーターで、スタートアップ企業を次のステージに成長させるためのサポートをしています。私は、ビジネスでも外交官としても、長年にわたり数々の国と経済活動に関わってきた背景から、当地の業界ネットワークを広く持ち、これをイスラエル企業の進出に活かしています。Mabsutでは様々な観点から3社を厳選し、さらにその中でも日本市場にフィットする、MabsutグループのZota pay (ゾタペイ) を優先的に市場展開できるようにサポートしています。コロナ禍で日本でのオリンピックの開催は延期になりましたが、このZota payは国内で流通しているクレジット会社以外の各国特有のクレジットカードや支払い手段に対応することができる、技術とサービスを提供します。多くのインバウンド客が見込まれるオリンピックなど国際イベントに対応するため、当サービス導入のニーズが高まっています。

Mabsut
(画像=Mabsut)

―――Azrieli (アズリエリ) というプライベート・カレッジの設立の目的は何ですか?

イスラエル国内のスタートアップ企業を支援し、アクセラレーターとしてサポートするためです。20~30のスタートアップ企業がAzrieliには在籍し、実践でビジネスケースを創出したり、ロードショーとしてスタートアップ企業を広める広報的な役割も務めます。Azrieliはアイデアを捻出するフォーカルポイントとして、中心的な存在を目指します。

―――スタートアップ企業が海外に市場を拡大し、成功するためのアドバイスをお願いします。

当地にネットワークがあるパートナーと手を組むことは、成功への近道だと思います。そしてスタートアップ企業の持つアイデアを実現する為の資金も欠かせません。私の場合は、アクセラレーターとして、スタートアップ企業が既に特許を登録済みであるかなどは、注目する点のひとつです。自分のネットワークが当該スタートアップのマーケットとも一致するかも判断材料です。

―――日本市場においての成功の鍵は何ですか?

2018年(左から)在日イスラエル大使館の元経済大臣ノア・アシェル氏、元経済産業大臣の世耕弘成氏、ジェイコブ・フォス氏
(画像=2018年(左から)在日イスラエル大使館の元経済大臣ノア・アシェル氏、元経済産業大臣の世耕弘成氏、ジェイコブ・フォス氏)

2018年(左から)在日イスラエル大使館の元経済大臣ノア・アシェル氏、元経済産業大臣の世耕弘成氏、ジェイコブ・フォス氏

日本は他の市場参入より長く時間を要することを認識しておくべきですね。長い場合は、芽を出すまでに7年近くかかる場合もあります。ただ現在日本は技術革新を必要としている国ですので、最新技術にハングリーな状態です。ピンポイントで企業のニーズと合致するようなイノベーションであれば、最大の機会を迎えているとも言えます。

―――今後の展望を教えてください。

私自身の展望としては、ファンドを形成してイスラエル企業と日本企業のジョイントベンチャーに出資していくことなどを考えています。日系企業も欧米企業にならって、研究開発のの一部をイスラエル企業と組むことで、技術革新をよりスピーディーに行えると思います。自動車産業を例に挙げてみても、スマートセンサー、サイバーソリューション、カメラなどの領域で日系企業との親和性がとても高いので、きっとフィットすると思います。私はそんなイスラエルと日本のビジネス文化のギャップを埋めて、ビジネスをマッチングさせていく活動を続けていきたいと思います。