退職金、あなたはいくらもらえる?企業、勤続年数別の金額を大公開!
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老後の生活は退職金頼み、という考えの人は少なくないだろうが、退職金の金額は企業の規模や勤続年数、学歴、退職理由などにより大きく異なり、自分がいくら貰えるのか不確かなまま退職金を当てにするのは危険だ。実際どのくらいの金額になるのか。

退職金制度についておさらい

退職金制度について最初におさらいしておこう。退職金制度は義務ではないが、日本の多くの企業が導入している。制度の内容は企業によって異なり、支給要件も差がある。

退職金制度を導入している場合は、受け取り方は2パターンある。退職時に一括で受け取るか、分割して受け取っていくかだ。一般的に、前者を「退職金(退職一時金)」、後者を「企業年金」と呼ぶ。

この記事では、退職時に一括で退職金を受け取るケースの金額について、紹介していく。参考にするのは、厚生労働省が発表した「就労条件総合調査」の2018年版だ。

大卒・大学院卒の人の場合

まずは、「大卒」もしくは「大学院卒」の経歴を持つ人のケースを紹介する。就労条件総合調査の2018年版によれば、大卒・大学院卒の人の退職金の平均給付額は、勤続年数や退職の理由によって以下の通りとなっている。

勤続年数別

<大卒・大学院卒の人の退職金の平均額(勤続年数別)>

退職金、あなたはいくらもらえる?企業、勤続年数別の金額を大公開!
※出典:厚生労働省の2018年版「就労条件総合調査」

平均額は1,678万円で、勤続35年以上で支給額は平均を超えることになる。一方、勤続20~24年だと金額は1,058万円にとどまる。

退職理由別

この調査では「退職理由」による平均額も紹介されている。調査結果は以下の通りだ。早期優遇退職制度で退職した人の金額が最も高く2,326万円となっており、自己都合の1,519万円と比較すると、800万円以上も差がある。

<大卒・大学院卒の人の退職金の平均額(退職理由別)>

退職金、あなたはいくらもらえる?企業、勤続年数別の金額を大公開!
※出典:厚生労働省の2018年版「就労条件総合調査」

企業の規模別

企業規模(従業員の人数)によっても、退職金額の平均額は大きく異なる。基本的には、企業規模が大きい方が支給される年金の平均額も大きくなる。「定年退職」の場合の退職金の平均額は、企業規模によって以下の通りだ。

<大卒・大学院卒の人の定年退職の場合の退職金の平均額(企業規模別)>

退職金、あなたはいくらもらえる?企業、勤続年数別の金額を大公開!
※出典:厚生労働省の2018年版「就労条件総合調査」

高卒の人の場合

続いて「高卒」の経歴の人のケースを紹介する。勤続年数別の退職金の平均額は以下の通りだ。

勤続年数別

<高卒の人の退職金の平均額(勤続年数別)>

退職金、あなたはいくらもらえる?企業、勤続年数別の金額を大公開!
※出典:厚生労働省の2018年版「就労条件総合調査」

勤続20~24年だと、退職金の平均額は462万円にとどまる。平均額は1,163万円という結果だ。

退職理由別

一方、退職理由ごとの平均額は以下の通りとなっている。

<高卒の人の退職金の平均額(退職理由別)>

退職金、あなたはいくらもらえる?企業、勤続年数別の金額を大公開!
※出典:厚生労働省の2018年版「就労条件総合調査」

大卒・大学院卒の人のケースと同様に、早期優遇退職制度で退職した人の金額が最も高く、自己都合で退職するケースが最も低い。

企業の規模別

最後に大卒・大学院卒の人のケースと同様に、定年退職の場合の企業規模ごとの退職金の平均額も示そう。以下の通りだ。

<高卒の人の定年退職の場合の退職金の平均額(企業規模別)>

退職金、あなたはいくらもらえる?企業、勤続年数別の金額を大公開!
※出典:厚生労働省の2018年版「就労条件総合調査」

どのくらい退職金に頼れるのかの参考に

この記事では、民間企業で働く人の退職金の平均額を、企業の規模や勤続年数、学歴、退職理由などの観点から紹介してきた。老後の生活に必要な金額を計算した上で、どのくらい退職金に頼れるのかの参考にしていただければ幸いだ。

また、退職金の平均額については、業種によっても異なる点も知っておきたい。一般的には、退職金が高めの職種としては、金融業や建設業などが挙げられる。

ちなみに興味がある人は、公務員や国会議員、都道府県の首長などの退職金の金額を調べてみてはいかがだろうか。民間の平均とどのくらい異なるのか、もしくはほぼ同様なのかを知れば、より政治に関心を持てるかもしれない。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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