MA Channel:ちょっとためになるコラム
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中堅・中小企業のM&Aを支援し、企業の存続と発展に貢献してきた日本M&Aセンターは2016年にシンガポールに初の海外拠点を設け、本格的に海外のM&A業務を展開しています。2021年9月時点で、海外拠点はASEANの4か国(シンガポール、インドネシア、ベトナム、マレーシア)に広げ、成約数や売り手企業の案件数も増加しています。日本企業による全体のM&Aの内訳でも、2割程度が海外案件のクロスボーダーとなっています。国内の高齢化と人口減少による市場縮小の流れで経営者の視線はますます海外に向かっています。日本M&Aセンターの海外スタッフの情報をもとに、タイを加えたASEAN5か国のM&Aレポートを連載でご紹介します。初回はアジアを代表する金融ハブのシンガポールです。

高い付加価値を生み出すシンガポール

アジアと中東をつなぐマレー半島の南端に位置し、東京23区ほどの国土に570万人が住む貿易都市・シンガポール。古くから貿易の要所として繁栄してきました。現在では世界中からヒト、モノ、情報、テクノロジーを集積させ、アジアを代表する都市国家となっています。人口の約4割を長期滞在や永住権を持った外国人が占めるアジア経済の金融ハブとして機能しています。外資系企業の誘致を国策として進め、シンガポールに拠点を置く海外企業は約7000社と言われ、日系企業だけで約1000社を数えます。在留邦人も約3万7000人と多く、1965年建国の貿易都市は1人当たりGDPで日本を大きく上回り、世界有数の富裕国の地位を獲得しました。

ビジネス環境の優位性

国際的なビジネス環境ランキングで上位のシンガポール。ビジネス面で多くのメリットを享受できます。

(1)安定した政治・社会情勢
(2)駐在員の生活環境の良さ
(3)言語・コミュニケーション上の障害の少なさ
(4)整備された法制度・明確な運用
(5)電力・運輸・通信などインフラの充実

英語が公用語のため、言葉の面でほかのASEAN諸国と比べて、意思疎通が図りやすい環境です。何より企業向けの優遇された税制も魅力的です。法人税は17%で香港に次いで低く、その他の各種優遇制度も充実しています。アジアを拠点に持つ外資系企業は統括会社をシンガポールに置き、各国の事業を子会社の形にする例も多く存在します。アジア各国の法務、労務管理、知的財産など一元化できるバックオフィスをシンガポールに置き、業務の効率化を進めています。

ASEAN進出の第一歩に最適

魅力的なビジネス環境に後押しされる形で、日本企業がASEANで行うM&Aはシンガポールが最も多く、2018年には約4割を占めました。他国に比べて、会計や税務、法務など制度面で透明性が高く、企業として大きなリスクを取ることなく手堅くM&Aを行える環境と言えます。またシンガポールはASEANの中では高齢化も進み、日本に比べて経営者の引退年齢も若く、中小企業の事業承継問題も抱えています。ASEANで事業展開を考える経営者にとって、M&A戦略を立てる上でシンガポールが対象国として最適な理由となります。

業界初『中堅・中小企業向け』ASEAN M&Aを解説した書籍

日本M&Aセンターは、中堅・中小企業経営層を対象に、東南アジア(ASEAN)でのM&Aという「成長戦略」の成功事例を紹介しながらノウハウを示す書籍『ASEAN M&A時代の幕開け 中堅・中小企業の成長戦略を描く』を発刊しました。本書は、堅苦しい大型海外M&Aの専門書が中心であったこれまでの海外M&Aに関する書籍と異なり、ストーリー形式の事例や実際にM&Aで海外進出した企業のインタビューを取り入れ読みやすさを重視し、“M&Aによる海外進出”をより身近に感じられる内容となっています。

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日本M&AセンターがASEAN M&Aのノウハウを紹介
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西井 正博
西井 正博(ニシイ・マサヒロ)
日本M&Aセンター 海外支援室 シンガポール・オフィス所長
2008年日本M&Aセンターに入社。入社以来、一貫して中堅・中小企業M&Aを担当。2016年シンガポール国立大学のMBA課程修了後、シンガポールオフィスの設立に携わり、以降は東南アジアンの中堅・中小企業と日本企業の海外M&A支援に従事。これまで30件以上の国内外M&A支援実績を持つ。
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