小規模企業共済制度,メリット,注意点
(写真=kan_chana/Shutterstock.com)

経営者や従業員には退職後の生活資金を目的とした様々な退職金制度があるが、小規模企業や個人事業主にも国の機関が運営する退職金制度がある。今回は、比較的小規模の事業を営む経営者や個人事業主などが加入できる「小規模企業共済」についてお伝えする。

制度の概要、加入資格や手続きは?

小規模企業共済は、国の機関である中小機構が運営する退職金制度だ。

毎月掛金を払い込むことで、法人の役員は法人が解散した時や自身の疾病・負傷・老齢によって退任した時や自身が死亡した時、個人事業主は事業を廃止した時や自身が死亡した時、老齢によって条件を満たした時などに「共済金」を受け取れる。

個人事業主の共同経営者も加入することができ、個人事業主が廃業した時や廃業に伴う退任、疾病・負傷による退任や、共済契約者である個人事業主の死亡時に共済金を受け取れる。

小規模企業共済は、法人の役員や個人事業主などが第一線を退いた際の生活の安定や、事業の再建などを図るための資金をあらかじめ準備しておくための制度だ。加入後6ヵ月以上経過して、加入者が上記のような状態になった場合に、掛金の額と納付月数に応じて共済金が支払われることになる。

加入資格は「小規模企業者」のみ!加入できる人・できない人

小規模企業共済に加入できる人は、以下のいずれかに該当する小規模企業者だ。

1.建設業、製造業、運輸業、不動産業、農業、サービス業(宿泊業、娯楽業に限る)などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20 人以下の個人事業主または会社の役員

2.商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業、娯楽業を除く)を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社の役員

3.事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員、常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合の役員

4.常時使用する従業員の数が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員

5.常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人などの士業法人の社員

6.上記1・2に該当する個人事業主が営む事業の経営に携わる共同経営者(個人事業主1人につき2人まで)

このように、主に従業員数が20人以下の比較的小規模の法人などの役員や個人事業主が加入できる共済制度である。また、この制度に加入できない人の要件も以下のように定められている。

1.配偶者などの事業専従者(ただし共同経営者の要件を満たしていれば共同経営者として加入できる)

2.協同組合、医療法人、学校法人、宗教法人、社会福祉法人、社団法人、財団法人、NPO法人(特定非営利活動法人)などの直接営利を目的としない法人の役員など

3.アパート経営などの事業を兼業している給与所得者(法人または個人事業主と常時雇用関係にある人)

4.学業を本業とする全日制高校生など

5.会社などの役員とみなされる人(相談役、顧問その他実質的な経営者)であっても、商業登記簿に役員登記されていない場合

6.生命保険外務員など

7.独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する「中小企業退職金共済制度」、「建設業退職金共済制度」、「清酒製造業退職金共済制度」、「林業退職金共済制度」(以下「中退共など」)の被共済者である場合

加入する際の手続き方法

加入にあたっては、契約申込書と掛金を引き落とす預金口座の振替申出書を提出することになる。また法人の役員の場合には履歴事項全部証明書(商業・法人登記簿謄本)など役員登記されていることが確認できる書類、個人事業主の場合には所得税の確定申告書(または開業届)の控えを窓口で提示する。

手続きは、中小機構が業務委託契約を結んでいる商工会・商工会議所・中小企業団体中央会・中小企業の組合・青色申告会・金融機関(銀行・信用金庫・信用組合など)の窓口で行う。

窓口によって手続きが異なることや、郵送による手続きは行えないことに注意したい。また、事前に掛金の引き落とし口座がある金融機関に「掛金預金口座振替申出書」を提出し、確認印をもらっておく必要がある。申込日から約40日後に中小機構から「小規模企業共済手帳」と「小規模企業共済制度加入者のしおり及び約款」が届くと、加入手続きが完了する。

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