新事業,ベンチャーキャピタル,出資を受ける
(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

新たに事業を開始したいとは思うものの、資金調達をどうするかは創業者の悩みどころだと思います。

右ならえで、株式会社・合名会社・合資会社・合同会社として開業することも一つの選択肢ですが、ベンチャーキャピタル(VC)から資金提供を受けることも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

そもそも日本では、ベンチャーキャピタルはあまり周知されてきませんでした。

過去にはベンチャーブームが何度かありましたが、オイルショックや円高不況により、ベンチャーキャピタルは下火になったままでした。

そんなベンチャーキャピタルから出資を受けるということはどういうことなのか。

メリットやデメリットを含めて紹介したいと思います。

ベンチャーキャピタルとは

ベンチャーキャピタルは、未上場企業などのベンチャー企業の株式などを引き受けて投資を行い、その企業が上場して株式が公開されたら、保有する株式を売却して出資額と株式売却額の差額として利益を追及する組織です。

もちろん、ベンチャー企業に出資するわけですから、出資先が倒産するなど投資が失敗するリスクも承知の上で出資をします。

その代わり、投資した金額の何倍というリターンを目標としています。

一般的には株式等の引受けが大半ですが、転換社債の引受けなど、さまざまなアプローチで出資します。

ベンチャーキャピタルから投資を受けるメリット

①ベンチャーキャピタルから投資を受けると、その後の資金調達が容易になりやすいです。

一度ベンチャーキャピタルから投資を受けた企業は、他の出資者から見ると「評価の高い会社」という印象を受けると見られ、追加の出資がしやすいようです。

ベンチャーキャピタルは評価機関としての役割も果たしているといえます。

投資を受けた企業はベンチャーキャピタルとの活動を通じて、企業はさまざまな知見を得ることができます。

②事業の提携先を紹介してもらえる可能性があります。

ベンチャーキャピタルはさまざまな情報を提供してくれるため、事業提携先を探している企業にとっては有用な情報を得ることができます。

③直接的に経営の支援を受けることができます。

ベンチャーキャピタルから投資を受けると、ベンチャーキャピタルは役員等を派遣して専門的な知見に基づく経営戦略やノウハウを提供してくれます。

ベンチャーキャピタルから投資を受けるデメリット

①出資者の意向が色濃く出て、ベンチャーを立ち上げた際に思っていた、やりたいことを根本的に変えられてしまう可能性があります。

②営計画どおりに成長しないと、資金を早めに回収されることがあります。

ベンチャーキャピタルは経営計画等を見て将来性があると判断したからこそ投資したのです。

その将来性が見通せなくなったと判断されれば、他の有望な企業に出資を移し替えられてしまう可能性があります。

③間接費用が多く掛かってしまいます。

資金調達を急ぎ過ぎると、焦って株式の上場のタイミングが早まってしまうことがあります。

株式を上場すると、株式の管理コストやその他の費用が多く掛かってしまい、赤字が続くと上場の継続が困難になります。

ベンチャーキャピタルから投資を受けるポイント

ベンチャーキャピタルの企業の評価軸については、さまざまな研究がなされていますが、実務上で重要となる検討項目につき、6つの要素があるといえます。

主にこのような評価方法は、デューデリジェンスチャートを用いた評価といいます。

市場性

ベンチャーキャピタルの投資において、最も重要な検討項目です。

大きな市場が急速に立ち上がる環境の下では、市場の成長性を説明できることは、ベンチャーキャピタル側に対して好印象を与えることができます。

製品と技術

ここでは、ベンチャー企業が開発して提供する財や役務の価値、そしてそれを証明する技術の優位性を評価されます。

この優位性もベンチャーキャピタルは重視しますので、説明できるだけの準備を進めておくべきです。

ビジネスモデルと財務状況

ベンチャー企業にとっては、どのタイミングで顧客から投下資本を回収し、事業を拡大していくかなど、ビジネスモデルの策定は非常に重要です。

また、ベンチャーキャピタル側でも企業評価の際に、投資対象企業のビジネスモデルが現実的であるか、それを資金的に裏付けることができるかは大きな関心事です。

競合優位性

製品やサービスについて、他の競合企業の有無、そして競合企業と比較した場合に勝ち目はあるか、課題は何かを分析します。

また、新規で算入する場合の障壁の存在を見極めることも重要です。

経営陣

ベンチャーキャピタルは、経営陣の資質が事業の成否に大きく依存することが分かっているため、あらゆる角度からの成功に必要な要素を企画できる経営陣であることが重要です。

投資に対するリターン分析

株式の売却によって利益を狙うベンチャーキャピタルにとっては、投資に対するリターンは上記の5つの評価事項とは独立した観点で分析します。

結論から言うと、いつまでたっても株式を公開し得ない企業には投資する意味がないので、「何年後までに上場する」などと期限を決めて、ベンチャーキャピタルに訴えなければ、投資を受けることができないかもしれません。

ベンチャーキャピタルとどう知り合うか

ここでは箇条書きにして、ベンチャーキャピタルにどうアプローチするかを紹介します。

①自分からベンチャーキャピタルに飛び込み営業をする(事前準備は入念にする)
③第三者に紹介してもらう
④ビジネスプランコンテストで何らかの賞を受賞し、その評価を基に自分の会社をベンチャーキャピタルに知ってもらう

まとめ

どんなビジネスも最初から大成功ということは、まずありません。

ベンチャーキャピタルから投資を受ける際に重視されるのは、やる気と情熱はもちろんですが、計画性が一番重視されるといってよいです。

計画どおりにビジネスを軌道に乗せるのは容易ではありません。

しかし、投資家であるベンチャーキャピタルと信頼性を構築するいい材料なのです。

投資を受けた後であっても、ベンチャーキャピタルに逐次報告するなど、有効な関係を築いていければ、ベンチャーを立ち上げた目的を上手く達成できるかもしれませんよ。(提供:ベンチャーサポート税理士法人