コロナ禍が転職・副業の勇気がない人に訪れた「ラストチャンス」な理由
(画像=fotomek/stock.adobe.com)

新型コロナウイルスを「ピンチ」と捉えるか「チャンス」と捉えるかで、アフターコロナにおける人生は大きく変わる。解雇や収入減は、見方を変えれば転職や副業の良い機会だ。コロナ禍で落ち込んでいても仕方がない。前向きに未来を見据える姿勢が重要だ。

コロナ禍で大企業の従業員の年収に大きな影響

新型コロナウイルスにより、年収に大きな影響が出た人は少なくない。日本有数の大企業の中でもボーナスの不支給を決める企業もあるような状況で、不況のあおりを大きく受けやすい中小企業の従業員ならなおさら収入への影響は大きい。

航空業界はコロナ禍で移動需要が大きく落ち込んだことから、特に経営に大きなダメージを受けている。日本航空(JAL)の場合、2020年の客室乗務員の平均年収は前年よりも3割ほど減ることになった。乗務回数に応じた手当やボーナスが減ったことが理由だ。

観光業界も厳しい。旅行大手JTBは2020年7月、冬のボーナスを出さないことで労使が合意した。同じく、旅行大手のHISも20020年の夏のボーナスの支給を見送っている。

パーソル総合研究所のアンケート調査

パーソル総合研究所が2021年1月に発表したアンケート調査の結果では、コロナ禍以前の給与とコロナ禍以後の給与見通しの差額が業種別に紹介されており、調査対象の業種全てでコロナ禍以後の個人年収が減る見通しとなっている。

例えば、「宿泊業、飲食サービス業」では28万5,000万円の減額、「生活関連サービス業、娯楽業」では18万円の減額、「運輸業、郵便業」では16万2,000円の減額、「製造業」では15万6,000円の減額となる見通しだ。

<コロナ禍以前と以後(見通し)の年収減ワーストランキング>

宿泊業、飲食サービス業28.5万円減
生活関連サービス業、娯楽業18.0万円減
学術研究、専門・技術サービス業16.8万円減
運輸業、郵便業16.2万円減
製造業15.6万円減
不動産業、物品賃貸業14.5万円減
卸売業、小売業12.3万円減
その他のサービス業10.0万円減
電気・ガス・熱供給・水道業9.0万円減
情報通信業7.9万円減

※出典:パーソル総合研究所

コロナ禍による年収減を「副業・兼業」を始める機会に

このような年収減を多くの人が「ピンチ」と捉える。生活のことを考えるとそれも仕方がないが、状況がすぐに好転しないのであれば、後ろ向きに考えてばかりもいられない。この機会に「副業」に乗り出せば、将来的にその個人の年収は大きくアップするかもしれない。

幸いなことに、最近は日本政府も「副業・兼業」の普及・促進を図っており、民間企業の中でも社員の副業を認めるケースが増えてきた。

人材大手のリクルートキャリアが2020年3月に公表した「兼業・副業に対する企業の意識調査(2019)」によれば、社員への兼業・副業を推進もしくは容認している企業の割合は、前年に比べ2.1ポイント上昇し、30.9%に上っている。

なかなか勇気が無くて副業を始めていなかった人も、「コロナ禍」に背中を押してもらい、この機にクラウドソーシングサイトなどを通じて副業を始めてみてはいかがだろうか。

コロナ禍は転職の「チャンス」、スキルアップの視点も重要

勤めている企業の経営悪化により、自分が解雇されるリスクが高まっている場合は、落ち込んでいる暇はない。もし、いま勤めている企業が「ブラック企業」であるなら、転職も視野に入れ、積極的に転職サイトや転職エージェントを活用したいところだ。

ビフォーコロナにおいても転職者数は年々右肩上がりで増えており、より良い条件の仕事を探そうと転職する人は以前よりも多くなっている。総務省が2020年2月に明らかにしたところによれば、2019年の転職者数数は351万人となり、過去最多を更新したという。

しかし、ただ単に解雇されるのを待っていてはダメだ。よりよい転職先に就職するためには、自らのスキルを高めておくという姿勢が欠かせない。

幸い、在宅勤務などにより、以前よりも自分の時間に充てられる時間が多くある。ウェブセミナーを受講したり、エンジニアであれば新たなプログラミング言語を習得したりと、積極的に「自分磨き」をすることが推奨される。

「コロナを機に転職して良かった」と後々思えるような結果となれば、コロナ禍はその本人にとって「苦い思い出」ではなくなるはずだ。

また、副業を始めるよりはハードルが高いが、将来の「独立」に向けて今から動いておくという選択肢もある。最近では大企業も業務の一部をフリーランスに任すケースが増えている。自分の腕に自信があるなら「副業から始めていずれ独立」という道もありだ。

常に前を向く姿勢が重要

冒頭で触れた通り、コロナ禍を「ピンチ」ではなく「チャンス」と捉えれば、数年後にいまより年収がアップしているという状況もありえる。状況を暗く考えすぎず、常に前を向いて行動する姿勢が重要だということを常に忘れないことが大切なのだ。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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